解説 8 /全8
比例・反比例を使う
かみ合って回る2つの歯車。
歯の数が多い歯車は、速く回る? おそく回る?
解説1〜7で学んだことを、身のまわりの場面で使ってみよう。どの場面でも、まず「どの形でおけるか」を考えるところから始まるよ。
冒頭の歯車は、どちらだろう。まず予想してみよう。
予想かみ合って回る2つの歯車。歯の数が多い歯車は、歯の数が少ない歯車とくらべて、どのように回る?
1. 場面から「おく形」を見つける
場面の中で比例・反比例を使うときは、いつも次の順に考えるよ。
- ともなって変わる2つの量を見つけて、x と y を決める。
- 何が一定かをさがして、おく形を決める。y÷x が一定なら比例 y=
ax 、x×y が一定なら反比例 y=ax 。場面の言葉でいうと、x=0 のとき y=0 で「1あたりの量」が一定なら比例、「かけた量(全体の量)」が一定なら反比例だよ。 - わかっている1組の x・y を入れて、a を求める。
- 式を使って、聞かれた量を求める。
- 場面にもどして確かめる。単位、変域(x がとれる範囲)、答えの大きさを見る。
身のまわりの場面を、「何が一定か」で分けてみよう。
| 場面(x と y) | 一定のもの | 形 |
|---|---|---|
| からの水そうに水を入れる時間と、水の量 | 1分あたりに入る量 | 比例 |
| 針金の長さと、重さ | 1 m あたりの重さ | 比例 |
| 速さと、かかる時間 | 道のり(速さ×時間) | 反比例 |
| かみ合う歯車の歯の数と、回転数 | ?(2で確かめる) | ?(2で確かめる) |
| てこのおもりの重さと、支点からの距離 | 重さ×距離 | 反比例 |
「1あたりの量」が一定でも、比例とはかぎらないよ。はじめから 5 L 入っている水そうに、1分間に 2 L ずつ水を入れると、x 分後の水の量は y=
冒頭の歯車は、表の4行目。かみ合う歯車では、何が一定なのかな。次で確かめよう。
2. 歯車:かみ合う歯の数は同じ
歯車 A は歯の数が 24 で、1分間に 10 回転している。A とかみ合う歯車 B の歯の数を x、B が1分間に回る回数を y 回転とするよ。
歯車がかみ合うところでは、A の歯が1つ進むと、B の歯も1つ進む。A が1分間に送り出す歯の数は、24×10=
- B の歯の数が A と同じ 24 なら、B も A と同じ 1分間に 10 回転。
- 歯の数が 48(2倍)なら、1回転で 48 個の歯が送られる。1分間に送られる歯は 240 個だから、240÷48=5 回転。
- ほかの歯の数でも、歯の数×回転数=240。かみ合う歯車の歯の数と回転数は、反比例しているね。
予想B の歯の数が 48(24 の2倍)なら、1分間に何回転する?
発見歯の数×回転数 はいつも 240。歯の数が2倍になると、回転数は 1/2倍になる。かみ合う歯車の歯の数と回転数は、反比例する。
冒頭の問いの答えは、「歯の数が多い歯車は、おそく回る」。反比例(a=240 は正の数、x も正の数)だから、x が増えると y は減るんだ。自転車のギアを変えると、ペダルの重さや進み方が変わるのも、歯車の歯の数と回転数の関係を使っているからだよ。自転車の前と後ろの歯車は、直接かみ合うのではなく、チェーンでつながっている。それでも、チェーンが1分間に送る歯の数は前と後ろで同じなので、同じように「歯の数×回転数」が等しくなるんだ。
例題1 歯車の回転数
歯の数が 24 の歯車 A が、1分間に 10 回転しています。A とかみ合う歯車 B の歯の数が 16 のとき、B は1分間に何回転しますか。また、B を1分間に 8 回転させるには、B の歯の数をいくつにすればよいですか。
- 図:わかっている組は「歯の数 24 → 10 回転」。求めるのは「歯の数 16 → ? 回転」と「? 個 → 8 回転」。
- おく:B の歯の数を x、B の1分間の回転数を y 回転とする。かみ合う歯の数(歯の数×回転数)が一定だから、y は x に反比例する。y=
ax とおく。 - 入れる:B の歯の数が A と同じ 24 なら、B も 10 回転するから、x=24、y=10 を代入して 10=
a24 。 - 求める:両辺に 24 をかけて、a=
10×24= 。a は、1分間にかみ合う歯の数だね。240 - 式にする:y=
240x 。 - 使う:x=16 を代入すると、y=
24016= 。次に、y=8 を代入すると 8=15 240x 。両辺に x をかけて 8x=240 、x=30。 - 確かめる:16×15=
240 、30×8=240 で、どちらも 240 になる。歯の数が 24 より少ない 16 なら A より速く(15 回転)、多い 30 ならおそく(8 回転)回る。大きさも合っているね。
答え 15 回転、歯の数 30
3. 水そうと変域
場面の中では、x がとれる値に範囲(変域)があることが多い。変域があるときは、y がとる値の範囲も求められるよ。
例題2 水を入れる速さと時間
からの水そうを水でいっぱいにします。1分間に 20 L ずつ入れると、18 分でいっぱいになります。じゃ口は、1分間に入れる水の量を 12 L から 30 L まで調節できます。1分間に入れる水の量を x L、いっぱいになるまでの時間を y 分として、y の変域を求めなさい。
- おく:1分間に入れる水の量を x L、いっぱいになるまでの時間を y 分とする。水そうの容積(全体の量)は変わらないから、x×y は一定。y=
ax とおく。 - 入れる:x=20、y=18 を代入すると、18=
a20 。 - 求める:両辺に 20 をかけて、a=
18×20= 。水そうの容積は 360 L だね。360 - 式にする:y=
360x 。x の変域は 12≦x≦30。
両はしの x を代入する前に、グラフで y の変わり方を見て、予想してみよう。
- 点線は y=360/x のグラフ。x の変域が 12≦x≦30 なので、使うのは色のついた部分だけ。両はしの ● は、その点をふくむ印だよ。
- x=12 のとき y=30、x=30 のとき y=12。色のついた部分は右へ行くほど下がっているから、x の小さいはしが、y の大きいはしになる。この部分の y は、いちばん小さくて 12、いちばん大きくて 30 だね。
予想x の変域の小さいはし(x=12)のときの y は、y の変域の、どちらのはしになる?
- 使う:変域の両はしを代入する。x=12 のとき y=
36012= 、x=30 のとき y=30 36030= 。12 - 確かめる:12×30=
360 、30×12=360 で、どちらも容積と合う。グラフで見たとおり、変域の中では、y はいちばん小さくて 12、いちばん大きくて 30。
答え 12≦y≦30
x=12 のときの y が 30 で、x=30 のときの y が 12。x の小さいはしが、y の大きいはしになるね。a が正の数の反比例では、x が正の数の範囲で x が増えると y が減るので、はしが入れかわるんだ。変域は、いつも「小さい方≦y≦大きい方」の順に書こう。
はしが入れかわるのは、反比例だけではないよ。比例 y=
もう1つ、反比例では、x の変域に 0 をふくめることはできない。x=0 のときの y はないからね。似た問題は、問題集の 変域 007 にあるよ。
4. てこのつり合い
小学6年の理科で、てこが水平につり合うのは、「おもりの重さ×支点からの距離」が左右で等しいときだと学んだね(てこのうでの重さは考えないことにする)。この関係を、式で表してみよう。
予想てこの左側、支点から 20 cm の所に 30 g のおもりをつるした。右側に 60 g のおもりをつるすとき、支点から何 cm の所なら、つり合う?
左側のうでの、支点から 20 cm の所に 30 g のおもりをつるしておく。左側の「重さ×距離」は 30×20=
y=
おもりの重さ x と、つり合う距離 y は反比例する。重いおもりほど、支点の近くでつり合うんだ。
| おもりの重さ x(g) | 20 | 30 | 40 | 60 |
|---|---|---|---|---|
| つり合う距離 y(cm) | 30 | 20 | 15 | 10 |
たとえば x=40 なら y=
ここで、場面にもどって考えよう。右側のうでの長さが 30 cm しかないなら、y は 30 以下でなければならない。y=30 のとき x=
5. 比例と反比例のグラフの交点
比例のグラフと反比例のグラフが、同じ座標平面にあるとき、2つが交わる点を求めてみよう。
例題3 グラフの交点
比例のグラフ ℓ は点 (1, 2) を通り、反比例のグラフ m は点 (4, 2) を通ります。ℓ と m が交わる点のうち、x 座標が正の数である点の座標を求めなさい。
- ℓ は比例のグラフで、(1, 2) を通る。y=ax に入れると a=2。ℓ は y=2x。
- m は反比例のグラフで、(4, 2) を通る。ℓ の a とは別の数なので、m は y=b/x とおく。(4, 2) を入れると b=8。m は y=8/x。右上と左下の2つの曲線だね。
- 交わる点は (2, 4) と (-2, -4)。どちらの点も、ℓ の式にも m の式にも合っている。
予想m(y=8/x)は、ℓ(y=2x)といくつの点で交わると思う?
- おく:グラフの横の軸を x 軸、たての軸を y 軸とする。ℓ は比例のグラフだから y=
ax 、m は反比例のグラフだから y=bx とおく。2つの比例定数は別の数なので、ちがう文字にしておくよ。 - 入れる:ℓ に (1, 2) を入れると 2=
a×1 。m に (4, 2) を入れると 2=b4 。 - 求める:a=
2 。b=2×4= 。8 - 式にする:ℓ は y=
2x 、m は y=8x 。 - 使う:交わる点は、ℓ の上にも m の上にもある。つまり、同じ x に対して、2つの式の y が等しくなる。だから 2x=
8x 。x は 0 ではないので、両辺に x をかけると 2x2=8 、両辺を 2 でわって x2=4 。x は「2乗して 4 になる数」だから、22=4 、(-2)2=4 より、x=2 と x=-2。x 座標が正の数の点は x=2 で、そのとき y=2×2= 。4 - 確かめる:点 (2, 4) を m の式に入れると、y=
82= で合う。ℓ の式にも m の式にも合っているね。もう1つの交点 (-2, -4) も、y=4 2×(-2)= 、y=-4 8-2= で、どちらの式にも合う。-4
答え (2, 4)
交点は2つあったね。問題は「x 座標が正の数である点」を聞いているから、(2, 4) を答える。最後に問題文をもう一度読んで、聞かれている点を答えよう。この例題は、問題集の 比例と反比例を合わせて 001 にあるよ。
x²=4 のような式の解き方は、中学3年で「平方根」として学ぶよ。今は「2乗して 4 になる数は?」と考えれば大丈夫。負の数の 2乗も正の数になるから、-2 をわすれないでね。
2つの交点が、原点をはさんで向かい合っているのには、理由がある。比例のグラフも反比例のグラフも、原点のまわりに半回転させると自分自身と重なる形だね。だから、交点 (2, 4) を原点のまわりに半回転させた点 (-2, -4) も、両方のグラフの上にあるんだ。
6. 場面にもどって確かめる
式を使って答えが出たら、最後に場面にもどることが大切だよ。次の3つを自分に聞いてみよう。
- 単位は合っている? 分と時間、cm と m がまざっていないか。
- 変域の中にある? 歯の数は整数、長さや時間は正の数、うでの長さ以上にはならない……。式の答えが、場面で起こりうる値になっているか。
- 大きさはおかしくない? 「速く歩けば時間は短くなるはず」「重いおもりほど支点に近いはず」のように、答えの大きさを場面の感覚と比べる。
身のまわりの量は、いつもぴったり比例・反比例するとはかぎらない。ばねはのびすぎるとこわれるし、歩く速さもずっと同じではない。比例・反比例の式は、場面を「ある範囲で、ある約束のもとで」表したものなんだ。だからこそ、範囲と約束を確かめてから使おう。
まとめ
- 場面では、「何が一定か」をさがしておく形を決める。y÷x が一定(x=0 のとき y=0 で、1あたりの量が一定)なら y=
ax 、x×y が一定(かけた量が一定)なら y=ax 。 - かみ合う歯車の歯の数と回転数、道のりが同じときの速さと時間、つり合うてこのおもりの重さと距離は、反比例する。
- 変域があるときは、両はしの x を代入して y を求め、「小さい方≦y≦大きい方」の順に書く。反比例(a>0)や a<0 の比例では、はしが入れかわる。
- 比例と反比例のグラフの交点は、2つの式の y が等しいとして、x を求める。
- 答えが出たら、単位・変域・大きさを場面にもどして確かめる。
どう考えた?
身のまわりから、比例の場面と反比例の場面を1つずつ見つけて、x・y・a がそれぞれ何を表すか説明してみよう。
説明の例を見る
比例:1本 60 円のえんぴつを x 本買うときの代金 y 円。y=60x で、a=60 は「1本あたりの値段」。反比例:48 枚の色紙を x 人で同じ数ずつ分けるときの1人分 y 枚。y=48/x で、a=48 は「色紙の全部の枚数」。x は人数だから正の整数で、48 がわりきれる数のときだけ、同じ数ずつ分けられる。
数学ではどう考える?
- モデルとしての関数:場面の関係を比例・反比例の式で表すことを、数学では「モデル化」という。式は場面そのものではなく、ある前提(すべらない歯車、うでの重さを考えないてこ、一定の速さ)のもとでの近い姿だよ。前提がくずれる所では、式も使えなくなる。
- 交点と連立方程式:交点を求めることは、「y=2x」と「y=8/x」を両方とも満たす x・y の組を求めることと同じ。中学2年では、このような「2つの式を同時に満たす組」を、連立方程式として学ぶよ。
- x²=4 の解:2乗して 4 になる数は 2 と -2 の2つある。中学3年では、これを平方根として学び、x=±2 と書く。
- 変域と最大・最小:比例も反比例も、変域の中で x が増えるにつれて y がいつも増えるか、いつも減るかのどちらかになる(反比例は、x の変域が正の数だけ、または負の数だけのとき)。だから、y のいちばん大きい値・小さい値は、x の変域の両はしで決まる。中学3年の y=ax² では、このことが成り立たない場合が出てくるよ。
これで、比例と反比例の解説はおしまい。最初の問い「3 m で 12 g の針金。250 m では何 g?」は、今ならどう見えるかな。y=
この解説で、できるようになったこと
- 身のまわりの場面から比例・反比例の関係を見つけ、式に表せる
- 場面に合う変域を考えて答えられる
- 比例と反比例のグラフの交点を、式を使って求められる