解説 7 /全7

1次関数を使う

2つの料金プラン。
どちらを選ぶと安くなる?

ここまでで、y=ax+b とおいて、a と b を決める方法がそろったね。この解説では、身のまわりの場面を1次関数で表して、先のことを予想したり、くらべたりしてみよう。

場面を1次関数で考えるときも、7つの段階は同じだよ。とくに大事なのは次の3つ。

1. ろうそくの長さを予想する

例題1 長さのわからないろうそくに火をつけた。火をつけてから 6分後に長さをはかると 17 cm、14分後には 13 cm だった。ろうそくは一定の割合で短くなるものとする。火をつける前の長さと、燃えつきるのが何分後かを求めよう。

グラフで見ると、はかった2点から、見ていない時間のことまでわかるのがよくわかるよ。

ろうそくの時間と長さのグラフx(分)y(cm)+8-4102030405048121620O(0, 20)
  1. はかった2つの値を点にする。6分後に 17 cm、14分後に 13 cm。
  2. x が 6 から 14 まで 8 増えると、y は 17 から 13 まで 4 へる。変化の割合は (-4)÷8=-1/2。
  3. 2点を通る直線を、左へのばす。y 軸との交点 (0, 20) は、火をつける前の長さ 20 cm を表す。
  4. 右へのばすと、x 軸と点 (40, 0) で交わる。40分後に燃えつきる。

予想直線を左へのばすと、火をつける前(x=0)の長さは?

発見はかった2点 (6, 17)、(14, 13) を通る直線をのばすと、y 軸との交点 (0, 20) が火をつける前の長さ、x 軸との交点 (40, 0) が燃えつきる時間を表す。

2つの測った値から、「火をつける前」という過去のことも、「燃えつきる時間」という先のことも予想できたね。これが、1次関数で場面を表すよさだよ。

ただし、この式が場面を表すのは 0≦x≦40 のあいだだけ。x=50 を入れると y=-12×50+20=-5 になるけれど、燃えつきたろうそくの長さは -5 cm ではないね。

2. ばねの長さを予想する

ばねにおもりをつるすと、ばねはのびる。おもりの重さとばねの長さの関係も、ばねがのびすぎない範囲では1次関数とみなせるよ。

やってみよう

あるばねに 20 g のおもりをつるすと長さは 14 cm、50 g のおもりでは 17 cm になった。おもりの重さを x g、ばねの長さを y cm として、次の問いを考えよう。自分で解いてから、下の答えを見てね。

  1. y を x の式で表そう。
  2. 何もつるさないときのばねの長さは?
  3. 80 g のおもりをつるすと、長さは何 cm?

答え:1. y=ax+b とおく。変化の割合は 17-1450-20=330=110。14=110×20+b から b=12。式は y=110x+12。2. x=0 のときの y だから、12 cm(ばねの「自然の長さ」)。3. y=110×80+12=20 で、20 cm。確かめ:x=50 のとき y=110×50+12=17。

a=1/10 は「1 g あたり 0.1 cm のびる」、b=12 は「何もつるさないときの長さ」。ここでも a は1あたりの量、b ははじめの量になっているね。

3. 料金プランをくらべる

例題2 ある電力会社の料金プランは、次の2つ。どちらを選ぶと安くなるかを、式とグラフで調べよう。

1か月に使う電気の量を x kWh、料金を y 円とする。どちらのプランも、1 kWh ごとに同じ金額ずつ増えるから、A プランを y=ax+b、B プランを y=cx+d とおける。a・c は 1 kWh あたりの料金、b・d は基本料金だね。

では、どちらのプランが安いかな。予想してから、グラフで確かめよう。

予想A プラン(基本料金 1500 円、1 kWh ごとに 25 円)と B プラン(基本料金 0 円、1 kWh ごとに 30 円)。どちらが安い?

2つの料金プランのグラフx(kWh)y(円)A プランB プラン← B が安いA が安い →100200300400500200040006000800010000120001400016000O(300, 9000)
  1. A プラン y=25x+1500。x=0 でも 1500 円(基本料金)から始まる。
  2. B プラン y=30x。原点から始まるけれど、A より傾きが大きい(1 kWh あたりが高い)。
  3. 2本の直線は点 (300, 9000) で交わる。300 kWh 使うと、どちらも 9000 円。
  4. 交点より左(300 kWh より少ない)では B の直線が下なので B が安い。右では A が安い。

予想料金が同じになるのは、何 kWh 使ったとき?

発見2本の直線は点 (300, 9000) で交わる。300 kWh より少なければ B プランが安く、300 kWh より多ければ A プランが安い。ちょうど 300 kWh なら、どちらも 9000 円。

交点の x 座標は、2つの式を連立方程式として解けば求められる(解説6)。

25x+1500=30x

5x=1500 で、x=300。そのとき y=30×300=9000。

グラフを見ると、どちらが安いかは「どちらの直線が下にあるか」でわかる。交点の左では B の直線が下、右では A の直線が下。1 kWh ごとの料金は B の方が 5 円高いので、使う量が増えるほど、基本料金 1500 円の差がうまっていく。1500÷5=300 kWh で、ちょうど差がなくなるんだ。

たとえば、1か月に 250 kWh 使う家では、A は 25×250+1500=7750 円、B は 30×250=7500 円で、B の方が 250 円安い。400 kWh 使う家では、A は 25×400+1500=11500 円、B は 30×400=12000 円で、A の方が 500 円安い。

4. 時間と道のりのグラフ

例題3 A さんは、家から 2400 m はなれた駅に向かって、分速 60 m で歩いて家を出た。B さんは、A さんが家を出てから 8分後に駅を出発し、分速 100 m で走って家に向かった。2人が出会うのは、A さんが家を出てから何分後で、家から何 m の所かを求めよう。

A さんが家を出てからの時間を x 分、家からの道のりを y m とする。

A さんと B さんの時間と道のりのグラフx(分)y(m)A さんB さん8162432404008001200160020002400O(20, 1200)
  1. A さんは家(y=0)から、1分に 60 m ずつ進む。グラフは原点を通る直線 y=60x。
  2. B さんは 8分後に駅(y=2400)を出て、1分に 100 m ずつ家に近づく。グラフは右下がりの直線 y=-100x+3200。
  3. 2本のグラフは点 (20, 1200) で交わる。20分後に、家から 1200 m の所で出会う。

予想2人が出会うのは、A さんが家を出てから何分後?

発見2人のグラフは点 (20, 1200) で交わる。A さんが家を出てから 20分後に、家から 1200 m の所で出会う。

出会うのは、2人が同じ時刻に同じ場所にいるとき。グラフでいえば交点だね。式で求めると、60x=-100x+3200 から 160x=3200、x=20。そのとき y=60×20=1200。

確かめよう。20分後、A さんは 60×20=1200 m 進んでいる。B さんは 8分後に出発したから、20-8=12 分で 100×12=1200 m 進み、駅から 1200 m、つまり家から 2400-1200=1200 m の所にいる。2人とも家から 1200 m で、合っているね。

時間と道のりのグラフでは、傾きが速さを表している。A さんのグラフの傾き 60 は分速 60 m。B さんの傾き -100 は、分速 100 m で家に近づいている(道のりがへっている)ことを表しているよ。グラフの傾きが急なほど、速く動いているんだ。

5. 動く点と面積

例題4 下の図の長方形 ABCD で、AB=6 cm、BC=8 cm。点 P は B を出発して、辺 BC、CD、DA の上を通って A まで、毎秒 1 cm の速さで動く。P が B を出発してから x 秒後の三角形 ABP の面積を y cm² とする。

長方形 ABCD と、辺の上を動く点 Pたて AB=6 cm、横 BC=8 cm の長方形 ABCD(方眼の1目もりは 1 cm)。点 P は B から C、D を通って A まで動く。図は P が辺 BC 上で B から 3 cm の所にあるときで、三角形 ABP に色をぬってある。 8 cm6 cmABCDP
方眼の1目もりは 1 cm。P は B → C → D → A と動く

P が どの辺の上にいるかで、面積の求め方が変わるよ。P が A に着くのは、8+6+8=22 秒後。

x と y の関係をグラフにしてみよう。

三角形 ABP の面積のグラフx(秒)y(cm²)48121620246121824O(8, 24)(14, 24)
  1. P が辺 BC 上(0≦x≦8)。BP=x cm、高さ AB=6 cm で、y=(1/2)×x×6=3x。x=8(P が C)で 24 cm²。
  2. P が辺 CD 上(8≦x≦14)。底辺 AB=6 cm、高さ BC=8 cm のままなので、y=24 で変わらない。グラフは x 軸に平行な線分。
  3. P が辺 DA 上(14≦x≦22)。AP=(22-x) cm で、y=(1/2)×6×(22-x)=-3x+66。x=22(P が A)で面積は 0。

予想P が C から D まで動く間、三角形 ABP の面積はどうなる?

発見面積のグラフは、区間ごとに式がちがう、折れ線になる。はじめは増え、途中は一定、最後はへって 0 になる。

区間ごとに y=ax+b の形の式が変わるので、それぞれの区間でおき直して考えるんだ。まん中の区間の y=24 は、x が変わっても y が変わらない関係で、a=0 だから1次関数ではない。区間のつなぎ目では、x=8 のとき y=3×8=24、x=14 のとき y=-3×14+66=24 と、両方の式で同じ値になって、グラフがつながっているね。

たとえば「面積が 12 cm² になるのは何秒後?」と聞かれたら、2つの区間それぞれで考える。0≦x≦8 では 12=3x で x=4。14≦x≦22 では 12=-3x+66 で 3x=54、x=18。答えは 4秒後と 18秒後の2つだよ。求めた x が、その区間の変域に入っているかも確かめよう(4 は 0≦x≦8、18 は 14≦x≦22 に入っている)。

6. 入口の問いにもどる

この単元の入口の問いを、もう一度見てみよう。

水そうに 5 L 入っている。毎分 3 L ずつ入れると、何分後に 80 L?

はじめは、1分ごとに表を書いていくしかないように見えたかもしれない。いまなら、「時間を x 分、水の量を y L とし、はじめの量 5 L が b、1分あたりの 3 L が a だから y=3x+5」と式にして、80=3x+5 を解けば 25分後と、1行でわかるね。

問いを少し変えても、同じ考え方で進められるよ。「5 L 入っている水そうに一定の割合で水を入れたら、10分後に 45 L になった。80 L になるのは何分後?」なら、a が問題文に書いていない。でも、2組 (0, 5)、(10, 45) から、45-510-0=4 で a=4、式は y=4x+5。80=4x+5 を解くと x=754、つまり 18分45秒後だ。

わからない a と b を、場面の中の2つの手がかりで決める。それさえできれば、どんな時間の水の量も、どんな水の量になる時間も、先回りして予想できる。これが「y=ax+b とおく」ことの力なんだ。

まとめ

  • 場面の中の「はじめの量」が b、「1あたりに変わる量」が a。2組の値がわかれば、変化の割合で a を求めて、式にできる。
  • 式を使うと、見ていない時間(過去や先)の値も予想できる。ただし、変域の中だけ。
  • 2つの場面をくらべるときは、2本のグラフの交点が境目になる。交点は連立方程式で求める。
  • 時間と道のりのグラフでは、傾きが速さを表す。
  • 区間によって式が変わる場面では、区間ごとに y=ax+b とおき直して考える。

どう考えた?

料金プランの例題で、「300 kWh より多く使うなら A プランが安い」と言えるのはなぜかな。グラフと式の両方を使って説明してみよう。

説明の例を見る

グラフでは、2本の直線は x=300 の所で交わり、それより右では A プランの直線が B プランの直線より下にある。下にある方が料金が安い。式で考えると、B プランは 1 kWh ごとに A プランより 5 円高いので、使う量が 1 kWh 増えるごとに料金の差が 5 円ずつ変わる。はじめ(x=0)は A の方が 1500 円高いが、1500÷5=300 kWh で差が 0 になり、それより多く使うと B の方が高くなる。

数学ではどう考える?
  • 区間ごとの式:動く点の例のように、x の変域によって式がちがう関数もある。それぞれの区間では1次関数(や一定の値)で、つなぎ目では両方の式が同じ値になる。答えを求めたら、どの区間の式を使ったか、求めた x がその区間に入っているかを確かめる。
  • 交点の意味:2つの1次関数 y=ax+b と y=cx+d(a≠c)の交点の x 座標は、ax+b=cx+d を解いた x=(d-b)÷(a-c)。交点の左右で、どちらの y が大きいかが入れかわる。a=c(傾きが同じ)なら平行で交わらず、いつも同じだけ差がある。
  • 傾きと速さ:時間 x と道のり y のグラフの傾きは、(道のりの増加量)÷(時間の増加量)で、速さになる。傾きが負のときは、基準の場所(ここでは家)に近づいていることを表す。
  • みなすこと:場面を1次関数で表すのは、変化の割合が一定だとみなす「モデル」を使うこと。モデルで求めた値は予想であって、実際の値とは少しちがうことがある。

これで、1次関数の解説はおしまい。問題集で、7つの段階を使っていろいろな場面を解いてみよう。中3では、変化の割合が一定ではない関数 y=ax2 に出会うよ。「y=ax2 とおく」ところから、また始めよう。

この解説で、できるようになったこと

  • 身のまわりの場面を1次関数の式に表し、先のことを予想できる
  • 2つのプランの料金を、グラフの交点を使って比べられる
  • 時間と道のりのグラフから、速さや出会う時刻を読み取れる

問題で確かめよう

前の単元・次の単元

  1. 前に学ぶ単元比例と反比例、1次方程式
  2. いまの単元1次関数(中2)
  3. 次に学ぶ単元関数 y=ax²

関連する単元

分野のつながりは ④関数 のページで見られるよ。