解説 3 /全7

変化の割合

y の増え方は、
どこで調べても同じ?

1次関数 y=ax+b の a は、「x が 1 増えると、y が a 増える」ことを表していたね。では、x が 3 増えたら? x が -2 から 5 まで増えたら? いろいろな増え方をくらべられる「ものさし」を作ろう。

1. 増加量は「あと-まえ」

1次関数 y=2x+1 を例にしよう。y=ax+b で a=2、b=1 の場合だね。表にして、x を 1 から 4 まで増やしたとき、y がどう変わるかを見よう。

y=2x+1 の表と増加量x-1012345y-11357911+3+6
  1. x=1 のとき y=3。ここを「まえ」とするよ。
  2. x を 1 から 4 まで増やす。x の増加量は 4-1=3。
  3. y は 3 から 9 まで増える。y の増加量は 9-3=6。
  4. y の増加量 6 は、x の増加量 3 の 2 倍。x が 1 増えるあたり、y は 2 増えている。

予想このとき、y の増加量はいくつ?

発見x が 1 から 4 まで 3 増えると、y は 3 から 9 まで 6 増える。y の増えた量は、x の増えた量の 2 倍になっている。

このように、x や y がどれだけ増えたかを表す量を増加量というよ。増加量は、いつも「あと の値 - まえ の値」で求める。

「まえ」と「あと」を入れかえて 1-4 と計算すると、-3 になってしまう。どちらが「まえ」かを先に決めてから、ひき算しよう。

へったときも、同じ「あと-まえ」で計算する。たとえば y が 7 から -5 に変わったら、y の増加量は -5-7=-12。「12 へった」ことを「-12 増えた」と表すんだ。正負の数で学んだ、反対の性質を負の数で表す見方だね。

2. 変化の割合

x の増加量に対する y の増加量の割合を、変化の割合というよ。

ポイント(変化の割合)=(y の増加量)÷(x の増加量)

y=2x+1 で、x が 1 から 4 まで増えるときの変化の割合は、y の増加量 6 を x の増加量 3 でわって、6÷3=2。「x が 1 増えるあたり、y は 2 増える」という意味だよ。

わる順番に気をつけよう。「x の増加量あたり、y がどれだけ増えるか」なので、y の増加量をわられる数に、x の増加量をわる数にする。逆にわると、3÷6=1/2 となって、ちがう数になってしまう。

では、ほかの所で調べても、変化の割合は 2 になるかな。予想してみよう。

予想y=2x+1 で、「x が 1 から 4 まで増えるとき」と「x が 4 から 5 まで増えるとき」の変化の割合をくらべると?

グラフの上で、いろいろな所の増え方を調べてみよう。赤い点線の三角形は、横が x の増加量、たてが y の増加量を表しているよ。

y=2x+1 のグラフと、いろいろな所の増加量xyy=2x+1+1+2+3+6+2+4-4-2246-8-44812O
  1. x が 1 から 2 まで 1 増えると、y は 3 から 5 まで 2 増える。変化の割合は 2÷1=2。
  2. x が -5 から -2 まで 3 増えると、y は -9 から -3 まで 6 増える。変化の割合は 6÷3=2。
  3. x が 3 から 5 まで 2 増えると、y は 7 から 11 まで 4 増える。変化の割合は 4÷2=2。どこで調べても 2 だね。

予想x が 3 から 5 まで増えるときの変化の割合は?

発見y=2x+1 では、x が 1 から 2、-5 から -2、3 から 5 と、どこで調べても変化の割合は 2。これは y=2x+1 の x の係数 a=2 と同じ。

3. 変化の割合は、いつも a

なぜ、どこで調べても同じになるのかな。y=2x+1 で、x が 1 から 4 まで増えるときを、計算しないで式のまま書いてみよう。

y の増加量は、(2×4+1)-(2×1+1)。+1 どうしは、ひき算で消えてしまうね。残るのは 2×4-2×1、つまり 2×(4-1)。ここで 4-1 は x の増加量だから、

(y の増加量)= 2 ×(x の増加量)

となる。b(ここでは 1)は、y の値ぜんたいを同じだけ持ち上げているだけ。まえ でも あと でも同じだけ持ち上げているから、ひき算すると消える。増え方を決めているのは a だけなんだ。

ポイント1次関数 y=ax+b の変化の割合は一定で、a に等しい。

この関係は、次のように使うこともできるよ。

(y の増加量)= a ×(x の増加量)

a が負の数のときも調べておこう。1次関数 y=-3x+4 の表で、x を 1 から 3 まで増やしてみるよ。

y=-3x+4 の表と増加量x-10123y741-2-5+2-6
  1. x が 1 から 3 まで増える。x の増加量は 3-1=2。
  2. y は 1 から -5 に変わる。y の増加量は -5-1=-6。
  3. 変化の割合は (-6)÷2=-3。y=-3x+4 の a と同じだね。x が増えると y はへるので、変化の割合は負の数になる。

予想y の増加量はいくつ?

発見y=-3x+4 で x が 1 から 3 まで 2 増えると、y は 1 から -5 まで変わり、y の増加量は -6。変化の割合は (-6)÷2=-3 で、a=-3 と同じ。

変化の割合が負の数のときは、x が増えると y はへる。「x が 1 増えるごとに y が 3 へる」ことを、変化の割合 -3 が表しているんだ。

a が分数のときはどうかな。y=12x+3 なら、変化の割合は 1/2。「x が 1 増えると y は 1/2 増える」は、言いかえると「x が 2 増えると y は 1 増える」。x が 4 増えれば y は 12×4=2 増える。分数の変化の割合は、分母の数だけ x を増やすと、y の増え方が整数で見やすくなるよ。

x がへるときも、変化の割合は同じになる。y=2x+1 で x を 4 から 1 に変えると、x の増加量は 1-4=-3、y は 9 から 3 に変わって増加量は 3-9=-6。変化の割合は (-6)÷(-3)=2。「あと-まえ」を守れば、x が増えても へっても、同じ a が出てくるよ。

4. 変化の割合を使う

例題1 1次関数 y=-2x+5 で、x が -1 から 3 まで増えるとき、y の増加量を求めよう。

【方法1:y の値を出してひく】x=-1 のとき y=-2×(-1)+5=7、x=3 のとき y=-2×3+5=-1。y の増加量は -1-7=-8。

【方法2:変化の割合を使う】x の増加量は 3-(-1)=4。変化の割合は a=-2 だから、y の増加量は (-2)×4=-8。

どちらも -8 になったね。方法2なら、y の値を1つも求めずに増加量がわかる。

例題2 1次関数で、x が 2 増えるごとに y が 6 増え、x=0 のとき y=-1 である。この1次関数の式を求めよう。

例題3(分数・負の数) ある1次関数は、x が 4 増えると y が 3 へる。また、x=2 のとき y=5 である。x=10 のときの y の値を求めよう。

式を全部作らなくても、「変化の割合」と「わかっている1組」があれば、ほかの x のときの y が求められる。これも変化の割合の使いみちだよ。ただし、「変化の割合」と「y の増加量」を取りちがえないようにしよう。この例題の変化の割合は -3/4 で、「x が 8 増えるときの y の増加量」は -6。問題がどちらを聞いているかを、最後にもう一度読んで確かめよう。

例題4(場面) はじめ 24 cm で、1分に 2 cm ずつ短くなるろうそくは、y=-2x+24 と表せた(解説1)。このときの変化の割合 -2 は、「1分あたりの長さの変わり方」、つまり、ろうそくが短くなる速さを表している。10分間で y は (-2)×10=-20、つまり 20 cm 短くなる。場面の変化の割合は、「1あたりの量」や「速さ」として読めることが多いよ。

やってみよう

自分で解いてから、下の答えを見てね。

  1. 1次関数 y=4x-7 の変化の割合は?
  2. 1次関数 y=-23x+1 で、x が 6 増えるときの y の増加量は?
  3. ある1次関数で、x が 2 から 5 まで増えると、y は 7 から -2 に変わる。変化の割合は?

答え:1. x の係数だから 4。2. -23×6=-4 で、-4(4 へる)。3. -2-75-2=-93=-3 で、-3。

5. 1次関数ではない関数とくらべる

比例 y=ax も1次関数(b=0)だから、変化の割合は一定で a。では、1次関数ではない反比例 y=12x ではどうだろう。予想してみよう。

予想反比例 y=12x で、x が 1 から 3 まで増えるときの変化の割合は?

表でくわしく見てみよう。

反比例 y=12/x の表と増加量x が 1、2、3、4、6 のとき、y は 12、6、4、3、2。x が 1 ずつ増えても、y のへり方は 6、2、1 と変わっていく。x12346y126432+1+1+1+2-6-2-1-1
x が 1 ずつ増えても、y のへり方は同じではない

x が 1 から 2 まで増えると y は 6 へる(変化の割合 -6)。2 から 3 では 2 へる(-2)。3 から 4 では 1 へる(-1)。1 から 3 までなら、y の増加量は 4-12=-8 で、変化の割合は -8÷2=-4。反比例では、どこで調べるかによって変化の割合が変わってしまう。

この見方を使うと、表を見て、1次関数とみてよいかどうかを確かめられるよ。となりどうしの列で変化の割合を計算して、どれも 0 でない同じ数 になっているかを見ればいい。

x 1 3 4 7
y 5 11 14 23

x が 1 から 3 では 11-53-1=3、3 から 4 では 14-114-3=3、4 から 7 では 23-147-4=3。x の間かくがばらばらでも、変化の割合はどれも 3 だね。a=3 とすると、x=1 のとき y=5 から 5=3×1+b、b=2。表の4組は、どれも y=3x+2 に合っている。だから、この表の範囲では、1次関数 y=3x+2 とみてよい。

ただし、表にあるのは4組だけ。表にない x のときも同じ割合で変わるかどうかは、表の数だけでは決まらない。問題文の「1次関数である」「一定の割合で変わる」といった言葉で確かめてから、式を使おう。

反対に、x が 1、2、3、4 のとき y が 1、4、9、16 となる表では、変化の割合は 3、5、7 と変わっていく。これは1次関数ではない(y=x2 の表だよ)。x の間かくがそろっていないときは、y の増え方だけを見ずに、かならず x の増加量でわってくらべよう。

変化の割合が、どこでも 0 だったらどうかな。x が変わっても y がいつも同じ値、たとえば y=4 のような関数だ。変化の割合は一定だけれど、y=0x+4 と見ると a=0 なので、1次関数ではない(解説6で見る y=k の形だよ)。

変化の割合がどこでも同じで、しかも 0 でない。これは、1次関数だけがもつ大事な特徴なんだ。中3で学ぶ関数 y=x2 は、変化の割合が一定ではない関数だよ。そのときは、「どこからどこまで」を決めてから変化の割合を求めることになる。

まとめ

  • x や y がどれだけ増えたかを表す量を増加量という。増加量は「あと-まえ」で求める。へったときは負の数になる。
  • (変化の割合)=(y の増加量)÷(x の増加量)
  • 1次関数 y=ax+b の変化の割合は、どこで調べても一定で、a に等しい。b は増え方に関係しない。
  • (y の増加量)= a ×(x の増加量)を使うと、y の値を求めずに y の増加量がわかる。
  • 反比例や y=x2 では、変化の割合は一定ではない。

どう考えた?

1次関数 y=ax+b の変化の割合が、どこで調べても a になるのはなぜかな。「b」という言葉を使って説明してみよう。

説明の例を見る

x が「まえ」の値から「あと」の値まで変わるとき、y の値はどちらも「a×(x の値)+b」になる。y の増加量をひき算で求めると、まえ にも あと にもある +b が消えて、a×(x の増加量)だけが残る。だから、y の増加量を x の増加量でわると、どこで調べても a になる。b は y の値をいつも同じだけ持ち上げているだけで、増え方には関係しない。

数学ではどう考える?
  • 1次関数 y=ax+b で、x の値が p から q まで変わる(p≠q)とする。y の増加量は、(aq+b)-(ap+b)=a(q-p)。x の増加量は q-p。だから変化の割合は a(q-p)÷(q-p)=a で、p と q に関係なく一定になる。
  • 反対に、どの2つの x の値で調べても変化の割合が同じ数 a になる関数は、x=0 のときの y の値を b とすると、0 から x までの y の増加量が ax なので、y=ax+b と書ける。ただし a=0 のときは y=b で、1次関数ではない。「どこで調べても変化の割合が一定で 0 でない」ことと「1次関数である」ことは、同じことの言いかえなんだ。
  • 「1次関数ならば、どこで調べても変化の割合は a」は、いつでも正しい。けれど、表の何組かで変化の割合が同じになっていても、それだけで「1次関数だ」とは言い切れない。表にない x の値で何が起きているかは、表の数からはわからないからね。表から式を作るのは、「1次関数である」とわかっているとき(またはそうみなすとき)だけだよ。
  • 変化の割合は「x が 1 増えるあたりの y の増加量」であって、「y の増加量」そのものではない。「x が 3 増えるときの y の増加量」は 3a、「変化の割合」は a。問われている量を区別しよう。
  • 変化の割合は、グラフでは直線の傾きになる。次の解説4で見ていこう。

次は、1次関数のグラフを調べよう。変化の割合 a は、グラフでは「傾き」として見えてくるよ。

この解説で、できるようになったこと

  • 変化の割合を (y の増加量)÷(x の増加量) で求められる
  • 1次関数の変化の割合が一定で a に等しい理由を説明できる
  • 変化の割合を使って、y の増加量を求められる

問題で確かめよう

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関連する単元

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