解説 2 /全7
7つの段階:y=ax+b とおく
水そうに 5 L 入っている。
毎分 3 L ずつ入れると、何分後に 80 L?
1分ごとに表を書いていくと、80 L になるまで何十列も書くことになるね。こういうときは、x と y の関係を式にしてしまおう。
1次関数の問題は、いつも同じ順番で考えるよ。問題が変わっても、順番と言葉は変わらない。
- 図:わかっている数と、求める「?」を表や図にする
- おく:x と y が何の量かを1文で書き、y=
ax+ とおくb - 入れる:わかっている x と y の組を、おいた式に入れる
- 求める:a と b を求める
- 式にする:求めた a と b を戻して、関係を式にする
- 使う:式に x(や y)を入れて、聞かれた数を求める
- 確かめる:はじめの組に戻して確かめ、問いに答える
中1の比例では「y=
1次方程式の「7つの段階」を学んだ人は、「x とおく」を思い出してね。わからない数に名前をつけて、式を作ってから求める。関数でも、考え方は同じなんだ。
水そうに水が 5 L 入っています。この水そうに、毎分 3 L ずつ水を入れていきます。水そうの水の量が 80 L になるのは、水を入れはじめてから何分後ですか。
1. 図
まず、わかっている数と、求める「?」を表にしよう。まだ x や式は使わないよ。「▶ 動かす」で、1つずつ書きこんでいこう。
- はじめ(0分)に、水は 5 L 入っている。
- 1分ごとに 3 L ずつ増える。1分後に 8 L、2分後に 11 L。
- 水の量が 80 L になるのは何分後? これが求める「?」だよ。
予想2分後の水の量は何 L?
時間と水の量は、ともなって変わる2つの量だね。時間を決めると、水の量がただ1つに決まる。
表をよく見ると、問題文の中に大事な数が2つあることがわかる。「はじめ(0分)の 5 L」と「1分に増える 3 L」だよ。この2つが、このあとの「おく」「入れる」の手がかりになる。
2. おく
x と y が何の量かを1文で書いて、関係の形を決めよう。
水を入れはじめてからの時間を x 分、水そうの水の量を y L とする。
どちらを x にするかは、ふつう「先に決める量」を x、「それにつれて決まる量」を y にするよ。ここでは、時間を決めると水の量が決まるから、時間が x、水の量が y だね。問題文で「x 分後の水の量を y L とする」と決められているときは、そのとおりにしよう。
では、x と y の関係は、どの形でおけるかな。
予想この水そうの x と y の関係は、どの形でおける?
水の量は、1分に 3 L ずつ、いつも同じだけ増える(増え方が一定)。そして、x=0 のとき y=5 で、0 ではない。だから、比例 y=
y=
ここがいちばん大事なところ! a と b は「まだわからない数」だよ。1次方程式で、わからない数を x とおいたのと同じ。1次関数では、わからない数が a と b の2つあるんだ。
わからない数が2つあるときは、決めるための手がかりも2つ要る。この問題では「はじめに 5 L」と「毎分 3 L」の2つが、その手がかりだね。問題文の言葉と、表・式をつなげておこう。
| 問題文の言葉 | 表では | 決まる数 |
|---|---|---|
| はじめに 5 L 入っている | x=0 のとき y=5 | b |
| 毎分 3 L ずつ入れる | x が 1 増えると y は 3 増える | a |
「増え方が一定(0 でない同じ量ずつ)かどうか」と「x=0 のときの y が 0 かどうか」。この2つを見れば、y=
3. 入れる
わかっている x と y の組を、おいた式に入れよう。
表から、x=0 のとき y=5。y=
5=
もう1組、x=1 のとき y=8(はじめの 5 L に、1分で 3 L 増えた)。これも代入すると、
8=
x と y を逆に入れないように気をつけよう。x は時間、y は水の量だったね(「2. おく」の1文を見よう)。「x=0 のとき y=5」を、「x に 5、y に 0」と入れてしまうのが、よくあるまちがいだよ。
4. 求める
1つめの式から見よう。a×0 は、a がどんな数でも 0 だね。だから、
b=
b=5 を2つめの式に入れると、8=
a=
a=3 は「1分あたり 3 L ずつ増える」ということ、b=5 は「はじめ(0分)の水の量が 5 L」ということ。問題文の2つの数が、そのまま a と b になったね。
発見y=ax+b の b は x=0 のときの y(はじめの量)、a は x が 1 増えるときの y の増え方(1あたりの量)。場面から、a と b を直接読むこともできる。
慣れてきたら、「3. 入れる」「4. 求める」は、場面から直接「a=3、b=5」と読んでいいよ。問題集では、この読み方を「場面から読む」とよんでいる。ただし、なぜそう読めるのかは、いまの代入で説明できるようにしておこう。「x=0 を入れると ax が消えて b だけ残る」から b がはじめの量になり、「x が 0 から 1 に増えると ax が a だけ増える」から a が1あたりの量になるんだ。
5. 式にする
求めた a と b を、おいた式に戻そう。
a=3、b=5 を y=
y=
これで、時間と水の量の関係が1つの式になった。どんな時間でも、この式に入れれば水の量がわかるし、どんな水の量でも、何分後かがわかる。
式をグラフにすると、下のような直線になるよ。80 L になる時間を、グラフでもさがしてみよう。
- x=0 のとき y=5。はじめの 5 L を表す点 (0, 5) から始まる。
- 1分ごとに 3 L ずつ増えるので、グラフは右上がりの直線になる。
- y=80 の高さから横に進んで、直線とぶつかる所をさがそう。
- ぶつかった点は (25, 80)。25分後に 80 L になる。グラフでも見つけられるけれど、式を使えば目もりにない数でも正確に求められるよ。
予想ぶつかった点の x 座標は?
6. 使う
聞かれているのは「80 L になるのは何分後か」。つまり、y=80 のときの x を求めればいいね。y=
80=
これは、x についての1次方程式(中1で学んだ形)だよ。5 を移項して、
3x=
両辺を 3 でわって、
x=
x=25。25分後だね。グラフで見つけた点 (25, 80) と合っている。
x から y を求めるときは、代入して計算するだけ。y から x を求めるときは、代入してから1次方程式を解く。どちらも同じ1つの式から求められる。これが「式にする」よさだよ。
7. 確かめる
求めた答えを式に戻し、はじめの組でも確かめよう。
x=25 を y=
はじめの組 x=0 も入れてみよう。y=
場面にも戻そう。25分で入れた水は 3×25=
確かめは、計算のまちがいを見つけるためだけのものではないよ。問題文の条件を式が本当に満たしているかを見ることで、「おく」や「入れる」のまちがいにも気づける。たとえば、a と b を取りちがえて y=
答え 25分後
発見x と y の関係を y=ax+b とおき、2つの手がかりで a と b を決めれば、どんな x に対しても y が、どんな y に対しても x が1行で求められる。
8. もう1問:へっていく場面
へっていく場面でも、7つの段階は同じだよ。こんどは、はじめの量と、もう1組の値から a と b を求める。
長さ 18 cm のろうそくに火をつけたら、4分後に 12 cm になりました。ろうそくは一定の割合で短くなるものとします。長さが 3 cm になるのは、火をつけてから何分後ですか。
図:わかっている数と「?」を表にする。
おく:火をつけてからの時間を x 分、ろうそくの長さを y cm とする。一定の割合で短くなり、x=0 のとき y=18(0 ではない)から、y=
入れる:x=0 のとき y=18 だから 18=
求める:1つめの式から b=18。これを2つめの式に入れると 12=
式にする:a=-3/2、b=18 を戻して、y=
使う:y=3 を代入すると 3=
確かめる:x=10 を入れると y=
答え 10分後
このろうそくは、y=0 になる 12分後に燃えつきる。だから、この式が場面を表しているのは 0≦x≦12 のあいだだけだよ。答えの 10分後は、その中に入っているね。
自分でやってみよう
はじめの水そうの例題は、問題集の 1次関数の場面 001 にあるよ。「ヒントをひとつずつ見る」を選ぶと、7つの段階を1つずつ開きながら進められる。
答えが出たら、次の3つを自分に聞いてみてね。
- なぜ y=
ax+ とおいてよいと言えるのか(y=b ax ではないのはなぜか) - a と b を決めた2つの手がかりは、問題文のどこか
- はじめの組に戻すと、本当に合っているか
どう考えた?
1次関数の問題で「y=ax+b とおく」とき、a と b はそれぞれ何を表しているかな。水そうの例題の場面の言葉で説明してみよう。
説明の例を見る
a は「x が 1 増えるときの y の増え方」、つまり1分あたりに増える水の量を表していて、この例題では a=3。b は「x=0 のときの y の値」、つまり水を入れはじめる前に入っていた水の量を表していて、この例題では b=5。わからない数が a と b の2つなので、「毎分 3 L」と「はじめに 5 L」の2つの手がかりで決めた。
数学ではどう考える?
- 「y=
ax+ とおく」とは、「y は x の1次関数である」という関係を、まだわからない定数 a、b を使って式に表すこと。b - わからない数が2つあるので、ふつうは条件が2つ要る。たとえば「x の値がちがう2組の x・y」「a と1組の x・y」「b と1組の x・y」。1組の x・y だけでは、その点を通る直線が何本もあって、1つに決まらない(解説5でくわしく見るよ)。
- x=0 の組を入れると y=
a×0+ で ax の項が消えるので、b がすぐに求まる。x=0 の組がわかっているときは、まず b を決めると計算が楽になる。b - 「6. 使う」で y から x を求めるとき、a≠0 なので、ax+
b= を x について解くと、x はただ1つに決まる。1次関数では、x を決めると y がただ1つ、y を決めると x もただ1つに決まる。y - 場面の式は、変域の中でだけ場面を表す。求めた x が変域の中にあるかどうかも、「7. 確かめる」で見ておこう。
この解説で、できるようになったこと
- 問題を7つの段階の順に解ける
- 「y=ax+b とおく」ことの意味(a・b はまだわからない数)を説明できる
- わかっていることから a と b を求め、式にして使える