解説 1 /全7
1次関数ってなに?
はじめから 5 L 入っている水そう。
水の量は、時間に比例する?
ぼくは まるくん。中1では、比例 y=
1. 比例では表せない水そう
水そうに、はじめから水が 5 L 入っているよ。ここに、1分間に 3 L ずつ水を入れていく。
水を入れはじめてからの時間を x 分、水そうの水の量を y L とする。時間 x を決めると、水の量 y はただ1つに決まるね。だから、y は x の関数だよ(中1で学んだ「関数」の意味)。
では、水の量 y は、時間 x に比例しているかな。表を作る前に、予想してみよう。
予想はじめに 5 L 入っている水そうに、毎分 3 L ずつ水を入れる。水の量 y L は、時間 x 分に比例している?
表にして確かめよう。下の「▶ 動かす」を押してね。
- x=0(入れはじめ)のとき、水はもう 5 L 入っている。y=5。
- 1分たつと 3 L 増えて 8 L。x=1 のとき y=8。
- 2分で 11 L、3分で 14 L。1分ごとに 3 L ずつ増えていくね。
- 4分で 17 L、5分で 20 L。はじめの 5 L に、1分ごとに 3 L ずつたしていくんだ。
予想x=4 のとき、y はいくつになる?
発見x が1増えるごとに、y はいつも 3 ずつ増える。でも、x=0 のとき y は 0 ではなく 5。x が2倍になっても、y は2倍にならない。
比例なら、x が2倍、3倍になると、y も2倍、3倍になるはずだね。この水そうでは、x が 1 から 2 に2倍になっても、y は 8 から 11 になるだけで、2倍の 16 にはならない。x=0 のとき y=0 にもなっていない。
だから、この水そうの水の量は、時間に比例していない。でも、「1分に 3 L ずつ、いつも同じだけ増える」ところは、比例とそっくりだね。どこが同じで、どこがちがうのか。式にして調べていこう。
2. 式にしてみよう
x 分後の水の量を、言葉で組み立ててみよう。水の量は、次の2つを合わせたものだね。
- 入れた水:1分に 3 L ずつ、x 分入れたから 3×x(L)
- はじめからあった水:5 L
だから、x 分後の水の量 y L は、
y=
たとえば 4 分後なら、y=
この式を、比例の式 y=
- まず、比例 y=3x の値。x に 3 をかけた数だよ。
- 次に、3x+5 の値。どの列でも、すぐ上の 3x より 5 大きい。
- 3x+5 の行も、x が 1 増えるごとに 3 ずつ増える。増え方は、比例 y=3x と同じだね。
- x=0 の列:3x は 0、3x+5 は 5。この 5 が「はじめの量」。ちがいは、ここだけなんだ。
予想3x+5 の行は、3x の行とくらべてどうなっている?
発見y=3x+5 の y は、比例 y=3x の y に、いつも 5 をたした値。x が 1 増えるごとに 3 ずつ増えるところは比例と同じで、ちがうのは「はじめの量」5 だけ。
式の右側 3x+5 は、2つの部分でできているよ。
- 3x:x に比例する部分(時間とともに増えていく水)
- 5:x に関係なく、いつも同じ部分(はじめからある水)
「比例する部分」と「いつも同じ部分」をたしたもの。これが、この単元で学ぶ関係の正体なんだ。
3. 1次関数という名前
y=
1次式は、中1の「文字と式」で学んだね。3x のように1次の項(x の項)だけの式や、3x+5 のように1次の項と数の項の和の式のこと。x² のような2乗の項は入らない。
一般に、1次関数は、a と b を定数(決まった数)として、
y=
と表される。a は x の係数、b は数の項だよ。ただし、a は 0 ではない。a=0 だと y=
ポイントy が x の1次式 y=ax+b(a≠0)で表されるとき、y は x の1次関数であるという。
a と b は、関数ごとに決まっている数(定数)。水そうの例では a=3、b=5 だね。それぞれの意味を、表とつなげておこう。
| 文字 | 水そうの例 | 表では | 場面では |
|---|---|---|---|
| a | 3 | x が 1 増えるごとに増える y の量 | 1分に増える水の量 |
| b | 5 | x=0 のときの y の値 | はじめの水の量 |
「y=
比例 y=
4. 比例は1次関数のなかま
y=
からっぽの水そう(はじめの水が 0 L)に毎分 3 L ずつ入れるなら、水の量は y=
ポイント比例 y=ax は、1次関数 y=ax+b の b=0 の場合。比例は1次関数のなかまだよ。
反対に、1次関数がいつも比例になるとはかぎらない。b が 0 でなければ、x=0 のとき y は 0 にならないし、x を2倍しても y は2倍にならない。はじめの水そうの例が、そうだったね。
では、比例のほかに、どんな式が1次関数になるのかな。次の式の中から、1次関数ではないものを選んでみよう。
予想次のうち、y が x の1次関数ではないものはどれ?
反比例 y=
| 式 | 1次関数? そのわけ |
|---|---|
| y= |
○ a=-2、b=7。a は負の数でもよい |
| y= |
○(比例) a=4、b=0 |
| y= |
○ x/2 は (1/2)x のこと。a=1/2、b=-1 |
| y= |
× x でわっている。1次式ではない |
| y= |
× x の2乗がある(中3で学ぶ関数) |
| y= |
× x の項がない(a=0) |
式の形が少しちがって見えても、変形すると y=ax+b の形になるものは1次関数だよ。
- y=
5- は、項の順番を入れかえると y=2x -2x+ 。a=-2、b=5。「先に書いてある数が a」ではないので気をつけよう。5 - y=
x+ は、12x+4 22 と同じ。a=1/2、b=2。 - y=
3(x- は、かっこをはずすと y=1) 3x- 。a=3、b=-3。3
a は「x の係数」、b は「数の項」。式を y=ax+b の形に整理してから読もう。
5. 身のまわりの1次関数
1次関数は、「はじめの量」があって、そこから「一定の割合」で増えたり、へったりする場面にあらわれるよ。
ろうそく:長さ 24 cm のろうそくに火をつけると、1分に 2 cm ずつ短くなるとする。火をつけてからの時間を x 分、ろうそくの長さを y cm として、表で追いかけてみよう。
- 火をつける前(x=0)の長さは 24 cm。y=24。
- 1分で 2 cm 短くなって 22 cm、2分で 20 cm。
- 3分で 18 cm、4分で 16 cm、5分で 14 cm。1分ごとに 2 cm ずつ、いつも同じだけへっていくね。
予想x=5 のとき、y はいくつになる?
発見x が1増えるごとに、y は 2 ずつへる。はじめの長さは 24 cm。
はじめの量があって、そこから一定の割合でへっていく。だから、ここでも y=
- a を読む:a は、x が 1 増えるごとに増える y の量。1分に 2 cm ずつ短くなるのは、「1分に -2 cm ずつ増える」と考えられるから、a=-2。
- b を読む:b は、x=0 のときの y の値。火をつける前の長さだから、b=24。
- 式にする:y=
-2x+ 。24 - 確かめる:x=3 を入れると y=
-2×3+ 。表の 3分後の長さ 18 cm と合っているね。24= 18
へっていく場面では、a が負の数になるよ。
ろうそくは、24÷2=12 で、12分後に燃えつきる。x=13 を式に入れると y=
ばね:何もつるさないときの長さが 12 cm のばねがある。10 g のおもりをつるすごとに、2 cm ずつのびるとする。おもりの重さを x g、ばねの長さを y cm として、ここでも y=
1次関数ではない例も見ておこう。
- 1辺が x cm の正方形の面積 y cm²:y=
x2 。x が 1 増えても、y の増え方は同じではない。 - 面積が 12 cm² の長方形のたて x cm と横 y cm:y=
12x (反比例)。
どちらも y は x の関数だけれど、1次関数ではないね。「1あたり同じだけ増える(へる)」かどうかが、見分けるポイントだよ。
やってみよう
次の x と y の関係を式に表して、y が x の1次関数かどうかを考えてみよう。「はじめの量」と「1あたりに増える量」がありそうなら、y=
- 1本 60 円のえんぴつを x 本と、120 円のノートを1冊買うときの代金 y 円
- 時速 40 km で x 時間走ったときの道のり y km
- 12 km の道のりを、時速 x km で進むときにかかる時間 y 時間
- 気温が 18℃ の朝から、1時間に 1.5℃ ずつ気温が上がっていくときの、x 時間後の気温 y℃
答え:1 は y=
まとめ
- y が x の1次式 y=
ax+ (a≠0)で表されるとき、y は x の1次関数であるという。b - a は「x が 1 増えるごとに y が増える量」、b は「x=0 のときの y の値(はじめの量)」。
- 比例 y=
ax は、b=0 の1次関数。反比例 y=ax や y=x2 は1次関数ではない。 - はじめの量があって、一定の割合で増えたりへったりする場面は、1次関数で表せる。ただし、式が使えるのは変域の中だけ。
どう考えた?
1次関数 y=ax+b の a と b は、それぞれ何を表しているかな。水そうか、ろうそくの場面の言葉で説明してみよう。
説明の例を見る
水そうの例(y=3x+5)では、a=3 は「1分に増える水の量が 3 L」、b=5 は「水を入れはじめる前(0分)に入っていた水の量が 5 L」を表している。ろうそくの例(y=-2x+24)では、a=-2 は「1分に 2 cm ずつ短くなる」こと、b=24 は「火をつける前の長さが 24 cm」を表している。
数学ではどう考える?
数学では、1次関数を次のように考えるよ。
- 定義:y が x の1次式で表されるとき、つまり a、b を定数(a≠0)として y=ax+b と表されるとき、y は x の1次関数であるという。
- a≠0 が大事:a=0 のときの y=b(どんな x でも y は b)は、x を決めると y がただ1つに決まるので関数ではあるけれど、1次関数とはいわない。グラフは x 軸に平行な直線になる(解説6で見るよ)。
- 比例との関係:比例 y=ax(a≠0)は、b=0 の1次関数。「比例は1次関数の特別な場合」といえる。反対に、b≠0 の1次関数は比例ではない。x=0 のとき y=b≠0 だからね。
- 場面と変域:場面を1次関数で表すとき、式が成り立つのは変域の中だけ。ろうそくの式 y=-2x+24 は、0≦x≦12 でだけ場面を表している。式が負の長さを出してきても、それは場面の答えではないよ。
- 「みなす」ということ:本物のろうそくは、1分ごとにきっちり同じ長さだけ短くなるとはかぎらない。「一定の割合で短くなる」と考えることで、1次関数として扱えるようになる。場面を数学で表すときは、どこを同じとみなしたのかを意識しておこう。
次は、1次関数の問題をいつも同じ順番で解く「7つの段階」を見ていこう。出発点は「y=
この解説で、できるようになったこと
- y が x の1次式で表されるとき、y は x の1次関数であると説明できる
- 比例 y=ax は、1次関数 y=ax+b の b=0 の場合だと説明できる
- 身のまわりから1次関数として捉えられる場面を見つけられる