大石浩之の数学ノート · 方程式
この記事の単元:1次方程式(③方程式)
ランニングのペース計算、1kmから通過時間へ

Q. 走った距離とタイムから、1kmのペースや通過時間を計算するには?
合計時間を秒に直し、距離(km)で割ると1kmあたりの時間です。3kmを16分30秒なら990÷3=330秒、1km5分30秒。一定ペースなら距離を掛けて、2kmは11分、5kmは27分30秒です。実際の途中タイムや、同じペースで走れることを保証する数値ではありません。
1. ランニングのペースは、まず1kmへ割り戻す
ランニングのペース計算では、走った時間を距離で割り、1kmに何分何秒かかったかを求めます。「3kmを16分30秒で走った記録から、2kmや5kmの時間を考えたい」。そんなときは、合計タイムをいったん1km分に戻すと、距離を変えて計算できます。
内閣府「国民の祝日について」によると、2026年のスポーツの日は10月12日です。この記事の確認日は2026年9月30日。走る機会を前に、時計の数字を自分で読める形にしてみます。ここから使う3km・16分30秒は、計算を学ぶための仮の記録です。中学生が目指すべきタイムを示すものではありません。
少し意外なのは、ペースの数字が小さいほど、同じ距離を短い時間で走ることです。1km6分と1km5分30秒なら、後者が30秒短い。時速のように数字が大きいほど速い表示とは、向きが逆です。数字の横に「分/km」とあれば、1kmあたりの時間を読んでいます。
私は大石浩之(磐田市/不動産業)です。私は、商売で金額を1軒あたりや1年あたりに戻すのと同じように、走る時間も1kmあたりに戻して考えたいと思います。大きな合計の数字だけでは、自分が使う距離で判断しにくいからです。数字は、使う単位まで戻してこそ判断の材料になります。これは私の考えです。速さで人の価値を決める話ではありません。
「1あたり」にそろえる見方は、お米2kgと5kgを単価で比べる記事ともつながります。今回は値段でなく時間を割り戻します。分母にするのは走った距離の3km。16分30秒を「3」で割る前に、時間の単位をそろえましょう。
2. 3kmを16分30秒、1kmのペースを7段階で求める
3kmの合計16分30秒を、同じ時間の1km区間3つに分けると、一定ペースの模型になります。実際の3区間が同じタイムだったとは、まだ決めません。まずは「同じペースで走ったとしたら、1kmに何秒かかるか」を求めます。
図
横に並ぶ3つの区間を、それぞれ1kmとして描きます。全体の時間は16分30秒、1区間の時間は「?」。距離の区切りと時間の区切りを対応させた線分図です。
おく
求める1kmあたりの時間を、x秒とします。xは距離でも3kmの合計時間でもありません。「何を知りたいか」を文字の説明に残します。
表す
単位をそろえる:16分30秒は、16×60+30=990秒です。1分は60秒なので、16.30分として計算しません。1kmにx秒かかるなら、3kmの時間はx+x+x、つまり3x秒。「1kmあたりx秒×3km=全体の時間」という、小学校の単位量あたりの考え方です。部品の3つ組で、この掛け算の意味を確かめられます。
つなぐ
3x=990とつなぎます。等号の理由は、3区間を合わせた3x秒と、記録の990秒が、同じ3kmの合計時間を表すからです。単位は両側とも秒です。部分の合計と全体を等しくする「合計」の形になります。
解く
3x=990の両辺を3で割ると、x=330です。等しい量を同じ3等分にするので、等しい関係が保たれます。330秒は300秒と30秒、つまり5分30秒です。
確かめる
作った方程式3x=990に、x=330を代入します。左辺は3×330=990、右辺も990。両辺が一致するので、330は方程式の解です。割り算の結果を眺めるだけでなく、最初の合計に戻す検算です。
解けた
1kmあたりの時間は正の値で、3kmの合計より短く、3区間分で元の記録に戻ります。したがって平均ペースは1km5分30秒です。「3kmの通過時間が5分30秒」ではありません。答えに「1kmあたり」を添えて、問いに戻します。手順を振り返るなら7つの段階の考え方へ進めます。
3. 一定ペースなら、距離と通過時間は比例する
1km5分30秒の一定ペースなら、距離が2倍、3倍になると、出発からの経過時間も2倍、3倍になります。この関係が比例です。ここでいう通過時間は、スタートを0として数えた時間。午前9時などの時計の時刻とは区別します。
| 距離 | 秒での計算 | 通過時間 |
|---|---|---|
| 0km | 330×0=0 | 0分00秒 |
| 1km | 330×1=330 | 5分30秒 |
| 2km | 330×2=660 | 11分00秒 |
| 3km | 330×3=990 | 16分30秒 |
| 4km | 330×4=1320 | 22分00秒 |
| 5km | 330×5=1650 | 27分30秒 |
整数の距離だけでなく、1.5kmなら330×1.5=495秒、8分15秒です。495秒を分に戻すときは、8×60=480秒と残り15秒に分けます。距離がmで示されていたら、先に1000で割ってkmに直します。たとえば400mは0.4kmなので、330×0.4=132秒、2分12秒です。
ここからは関連する「比例」の見方への発展です。距離をd km、経過時間をt秒と書くと、関係はt=330d。330の単位は秒/kmです。dは調べたい距離に応じて変わり、tも一緒に変わります。先ほどの方程式は未知の1つのペースを求める式でした。この式は、決まったペースで距離と時間の対応を表しています。
グラフの横軸で2kmを選び、直線まで上に進んで、左の縦軸を読むと11分です。0kmのとき0分なので、線は原点を通ります。1km進むごとに縦へ5.5分ずつ増えるため、点は一直線に並びます。点を結ぶのは、点と点の間でも同じペースを続けると仮定しているからです。ここでは0〜5kmの範囲を描きました。
4. 平均ペースから、実際の途中タイムは決まらない
3kmの平均が1km5分30秒でも、実際に2kmを11分で通過したとは断定できません。たとえば1kmごとの時間が5分、5分30秒、6分でも、合計は16分30秒です。この場合の2km通過は10分30秒。同じ合計タイムから、違う途中経過が生まれます。
日本陸上競技連盟の「記録と数字で楽しむ第107回日本選手権10000m」(2023年12月2日公開)にも、平均ペースの説明があります。10000mを27分で走る場合は、1000mあたり2分42秒、400mあたり64.8秒。2026年9月30日に原文を確認しました。27分を1620秒に直し、10kmで割ると162秒/km。400mなら162×0.4=64.8秒となり、掲載値と一致します。
こうした換算の良いところは、長い距離の合計を身近な区間で読めることです。ただし、掲載された競技のペースを自分の目標にする必要はありません。本文の330秒/kmも説明用の数値です。計算は、どのペースがその人に適するかまでは決めません。
私は、通過時間表を目標として使うか、走り終えた記録の整理に使うかで、少し迷います。表があると見通しが立つ一方、数字に合わせようと無理をする使い方もあり得るからです。私なら、まず記録を理解するために使います。「予定より遅い」だけで終えず、どの区間に時間がかかったかを見たいのです。
坂道や信号、休憩があれば、一定ペースの直線から離れます。計測アプリが停止中の時間を除いているなら、出発から到着までの経過時間とも違います。休憩を含めるか、距離をどこから測るかをそろえて比較します。2人が動く場面へ広げるなら、追いつく時間と速さの差の記事で、条件が式を変える様子を読めます。
一定の変化で作った予想と実際の値を比べる練習は、奈良の10月の日の入りを1次関数で近似する記事でも、表とグラフから確かめられます。
集団の記録を比べるときは、50m走の2組を箱ひげ図で比較する記事で、中央値が同じでも散らばりが違う例を確認できます。
1回あたりに直して乗り物を比べるなら、自転車のギア比とペダル1回転の距離で、後輪の回転と進む距離を比例の式から確かめられます。
5. 今日の記録から、通過時間を1つ作ってみる
自分の通過時間表を作る最初の一歩は、距離と合計時間を同じメモに書くことです。記録がなければ、この記事の3km・16分30秒を使えます。新しく走ってタイムを測らなくても、紙と計算機で確かめられます。
- 合計時間を秒に直す。16分30秒なら990秒。
- 距離をkmにそろえ、時間÷距離で1kmの秒数を出す。
- 知りたい距離を掛け、答えを分と秒へ戻す。
- 元の距離を掛けたら元の時間に戻るか確かめる。
紙の表に「距離」「一定ペースなら」「実際の記録」の3列を作ると、予測と実測を混ぜずに済みます。途中の記録がなければ、実測欄は空欄のままにします。平均から作った値で埋めないこと。それだけで、わかっている数と仮定した数を区別できます。
割り算が割り切れない場合は、途中のペースを丸めずに距離を掛け、最後に秒単位へ丸めます。概算したときは「約」を添えましょう。もっと式から考えたい人は、速さの問題で、求める量と単位を決める練習ができます。
同じ400mでもレーンによって1周の長さが違う理由は、トラックのスタート位置と1周分の差の計算で、半円と測定線の図から確かめられます。
3kmの記録から別の距離の時間を求める道筋は、1kmへ割り戻し、その何倍かを考えることでした。比例の表も直線も、その同じ関係を違う形で表しています。実際の走行が表に合うかは別の問いです。掲載情報は更新される場合があり、計算例は運動指導や個別の健康判断を行うものではありません。体調や運動の可否は、必要に応じて専門家に確認してください。
よくある疑問
5分30秒は5.3分として計算してよい?
5分30秒は5.5分です。30秒は30÷60=0.5分なので、5に0.5を足します。5.3分だと小数部分は0.3×60=18秒で、5分18秒を表します。分と秒が混じる記録は、いったん秒に直すと取り違えを減らせます。掛け算や割り算の後に、60秒ずつまとめて分へ戻してください。
ランニングのペースと時速は何が違う?
ペースは1kmにかかる時間、時速は1時間に進む距離です。1km5分30秒なら、5.5分で1kmなので、時速は60÷5.5で約10.9kmです。ペースの時間は小さいほど速く、時速の距離は大きいほど速くなります。数字だけで比較せず、分/kmなのかkm/時なのか、単位とセットで読んでください。
平均ペースから実際の2km通過時間はわかる?
平均だけではわかりません。3km16分30秒なら平均は1km5分30秒ですが、各1kmを5分、5分30秒、6分で走った場合、2km通過は10分30秒です。一定ペースと仮定した表では11分になります。実際の通過時間を知るには途中の計測記録が必要です。記録のない区間を、計算上の値で実測として埋めないようにします。
参考にした一次資料
- 内閣府|国民の祝日について
2026年9月30日確認。2026年一覧のスポーツの日は10月12日。ページ公表日の明記なし。
- 日本陸上競技連盟|記録と数字で楽しむ第107回日本選手権10000m(男子)
2023年12月2日公開、2026年9月30日確認。10000m27分の平均ペースは1000m2分42秒、400m64秒8。一定ペースの通過時間表を参照。
資料確認日:2026-09-30。例題の金額・人数・場面は学習用の設定です。実際の価格や学校の決まりは、それぞれの条件を確認してください。