大石浩之の数学ノート · 方程式
この記事の単元:1次方程式(③方程式)
お米2kgと5kgはどっちが安い?単価で比較

Q. お米は2kgと5kg、どっちが安い?
税込価格を重さkgで割り、1kgあたりで比べます。架空の2kg・1,280円は640円/kg、5kg・2,980円は596円/kgで、5kg袋が割安です。ただし、一度の支払いは5kg袋のほうが1,700円多くなります。使い切れる量や予算も確かめて選ぼう。
家族との買い物で、2kgと5kgのお米が並んでいる。2kgの袋は支払う金額が小さい。でも、5kgの袋には量がたっぷり入っている。「米は2kgと5kg、どっちが安い?」と考えるなら、まず「安い」の意味をそろえよう。袋一つの支払いと、同じ重さあたりの値段は、別の比べ方です。
私、大石浩之(磐田市/不動産業)は、数学を自分の選び方を説明する道具として使ってほしいと考えています。計算が速くなくても、値札のどの数字を割るかが分かれば比較できます。この記事では実際の公表資料を入口に、架空の値札を使って考えます。
1. 2,971円/5kgは、お店の値札ではない
農林水産省の「スーパーでの販売数量・価格の推移」は、2026年9月18日公表分で、9月7〜13日の平均価格を税込2,971円/5kgとしています。2026年9月25日に原文1頁を確認しました。全国約1,000店舗のスーパーのPOSデータ、つまり販売記録に基づく集計です。
農林水産省の「5.米の価格を知りたい」には、この週次資料への案内があります。全国の動きを同じ単位で追えるのが資料の良さです。ただし、2,971円で必ず買えるお店を示す資料ではありません。近所の2kg袋と5kg袋のどちらが割安かは、それぞれの値札を見ないと決まりません。
平均価格を1kgあたりに直す計算は、2,971÷5=594.2円/kgです。ここに意外な点があります。594.2円/kgと計算できても、1kgを594.2円で買えるという意味にはならないのです。比較するために割り戻した値と、レジで払う金額を区別します。
平均値の使い方は、月までの平均距離を模型にする記事とも共通します。平均は見通しを作る材料ですが、特定の日や場所の答えを保証しません。以下の1,280円と2,980円は、資料の値段を再現したものではなく、計算を学ぶための架空の税込価格です。
2. 袋を比べる前に、1kgにそろえよう
架空の値札を「2kgで1,280円」「5kgで2,980円」とします。同じ種類・品質のお米を比べ、送料やポイントは考えない設定です。1kgあたりの価格は、袋の税込価格を、袋に入ったお米の重さで割って求めます。
| 袋の重さ | 税込価格 | 1kgあたり |
|---|---|---|
| 2kg | 1,280円 | 1,280÷2=640円 |
| 5kg | 2,980円 | 2,980÷5=596円 |
640-596=44なので、今回の5kg袋は1kgあたり44円割安です。一方、レジで一度に払う金額は2,980-1,280=1,700円多くなります。「5kgのほうが安い」とだけ言うと、この違いが抜けます。「1kgあたりは5kg袋が安い」と言えば、何を比較したかまで伝わります。
割る向きを迷ったら、答えの単位を見よう。円をkgで割ると円/kgとなり、「1kgあたり何円」が出ます。逆にkgを円で割ると、1円あたりの重さです。後者も意味のある量ですが、今回は問いに合わせて円/kgに統一します。単位量あたりの大きさの復習でも、この分け方を確かめられます。
同じ単価で5kg分に換算すると、2kg袋側は640×5=3,200円です。5kg袋との差は220円。ただし、2kg袋を2.5袋買える設定にはしていません。3,200円は比較用の換算額です。実際に2kg袋で5kg以上を用意するなら3袋で6kg、支払いは3,840円になります。
実際に同じ量を買う比較もできます。10kg必要なら、2kg袋は5袋で6,400円、5kg袋は2袋で5,960円です。差は440円で、1kgあたり44円の差を10kg分にした額と一致します。必要な量をそろえると単価の差が総額にどう表れるかも見えます。ただし、比較のためだけに10kg買う必要はありません。
3. 5kgが何円なら同じ単価?方程式で境目を出す
2kg・1,280円と同じ1kg単価になる5kg袋の価格を求めます。5kg袋の値段が変わっても使える比較の境目を、図から始める7つの段階で残してみよう。求めたい量は重さではなく、5kg袋一つの税込価格です。
図
分かっているのは2kgで1,280円という値札です。5kg側の価格を「?」にし、両方を1kgあたりに直した価格が等しい、という条件を図にします。まだ文字は使いません。
おく
2kg・1,280円と同じ単価になる5kg袋の税込価格を、x円とする。
表す
単位をそろえる。 金額は円、重さはkg、比較する単価は円/kgです。2kg袋の単価は1,280÷2、5kg袋の単価はx÷5と表せます。部品の3つ組でいえば「1kgの価格×重さ=袋の価格」を逆にたどり、全体を重さで割っています。
つなぐ
二つの袋の1kgあたりの税込価格が等しくなる、という条件なので、等号でつなぎます。 等号の理由は「D 条件」です。袋の価格そのものを等しくする式ではありません。
x÷5=1,280÷2
解く
x÷5=640
x=640×5
x=3,200
右辺の割り算を計算し、両辺に同じ5を掛けました。等しい二つの量に同じ計算をするので、等しい関係が保たれます。小数への丸めは必要ありません。
確かめる
元の方程式のxに3,200を代入します。左辺は3,200÷5=640、右辺は1,280÷2=640。両辺が一致するので、3,200はこの方程式の解です。
解けた
5kg袋が税込3,200円なら、2kg・1,280円と同じ単価です。3,200は正の整数で、円単位の価格としても意味があります。5kg袋が3,200円より安ければ割安、高ければ割高です。今回の2,980円は境目より220円安いので、単価比較の結論とも合います。
4. 単価が安くても、使い切れる量は別に考える
単価比較の良いところは、袋の見た目に左右されず、同じ重さで価格を説明できることです。家族が違う袋を選んだときも、「こっちは1kgあたり44円安い」と、確かめられる材料を出せます。選択の理由を言葉にできるのも、数学の面白さです。
ただし、単価の式に入っていない条件は残ります。置く場所、持ち帰る重さ、食べる量、好み、今日使えるお金です。文化祭の予算の記事で予備のお金を考えたように、同じ計算結果からでも選び方は分かれます。安い単価だけで、家族の答えまで決めつけないようにします。
使い切る日数も架空の条件で比べてみよう。家族全体で、炊く前のお米を1日250g使うと仮定します。2kgは2,000gなので2,000÷250=8日分。5kgは5,000gなので5,000÷250=20日分です。これは食べる量を一定にした計算で、おすすめの摂取量や保存できる日数ではありません。
炊いた後のご飯250gを、この計算に入れることはできません。値札のkgは炊く前のお米の重さだからです。水を含んだご飯の重さとは条件が違います。保存方法は袋の表示などで確認し、表示が分からなければ販売店に聞きます。残っているお米や外食の予定でも、買い足す量は変わります。
私はこう考えます。単価が安いことと、家計に合うことは別です。 1kgに割り戻したら、次は財布から出る総額と、食べ切るまでの日数に戻す。数字を生活の負担に翻訳してこそ、比べた意味があります。使い切れる見通しがないなら、単価が高くても小さい袋を選ぶ理由はあります。
私は「5kgが得」と言い切る説明に迷います。44円という差ははっきりしていますが、家庭ごとの消費量は分かりません。だから、計算で決まる単価と、家族で確かめる条件を分けて示したいのです。2kgを選んだ人が計算を理解していない、と決めつけることはできません。
5. 今日の値札で、比較メモを1枚作ろう
お店で今日できる確認は、二つの袋の税込価格と内容量を書き、1kgあたりにそろえることです。まず銘柄や種類の違いも見ます。価格だけを比べたいのか、品質の違いも含めて選びたいのかを家族と話すと、計算の役割がはっきりします。
メモは「重さkg」「税込価格円」「円/kg」「一度に払う円」の4項目で十分です。100gあたりの単価表示があれば、1kgは100gの10倍なので、その価格を10倍して比較します。丸めて表示された単価で差が小さいときは、袋の価格と重さから計算し直します。
最後に、家にある量と使う量を確認しよう。電卓を使っても構いません。「何で割ったのか」「何と何が等しいのか」を説明できることが、この記事で持ち帰ってほしい力です。価格や販売条件は変わります。この記事の架空の値札を実際の買い物の価格とせず、その日の表示で確かめてください。
よくある疑問
5kgなど大きい袋のほうが、必ず安い?
必ずではありません。税込価格をkgで割って比較します。2kgが1,280円なら640円/kgなので、5kgが3,200円で同じ単価です。5kgが3,200円より高ければ、2kg袋のほうが割安になります。特売などで値段が変わるため、袋の大きさだけでは決められません。比べる銘柄や種類も確かめます。
値札に100gあたりの価格が書いてあったら?
1kgは100gの10倍なので、100gあたりの価格を10倍すると1kgあたりになります。逆に両方を100gあたりにそろえても比較できます。税込と税抜もそろえます。表示が丸められていて差が小さい場合は、袋の税込価格を内容量で割って計算し直し、比較の途中で何度も丸めないようにします。
1kg単価が安いほうを買えば、それでよい?
単価に加え、支払い総額、使い切れる量、置く場所を確かめます。架空の5kg・2,980円は2kg・1,280円より単価が安くても、一度に払うお金は1,700円多くなります。炊く前のお米を家族でどれだけ使うかを確認し、袋の保存表示も見ます。今回の日数計算は、保存期限や摂取量の目安ではありません。
参考にした一次資料
- 農林水産省|スーパーでの販売数量・価格の推移(POSデータ、全国・週次)
2026年9月18日公表資料の1頁を2026年9月25日確認。9月7〜13日は税込2,971円/5kg。全国約1,000店舗のスーパーのデータに基づく集計。リンク先は更新される資料です。
- 農林水産省|5.米の価格を知りたい
2026年9月25日確認。米の価格に関する情報とスーパーのPOSデータに基づく週次資料への案内を確認。店舗数・期間・税込価格は上記PDF1頁で照合。
資料確認日:2026-09-25。例題の金額・人数・場面は学習用の設定です。実際の価格や学校の決まりは、それぞれの条件を確認してください。