大石浩之の数学ノート · データの活用

この記事の単元:箱ひげ図(⑨データの活用)

50m走の記録比較、箱ひげ図で2組を見る

· 8分で読める · 中学生向け

秋の学校の走路の脇で、中学生が記録用紙を一緒に見るイラスト。手前にストップウォッチと鉛筆があり、50m走の記録を振り返る場面を表している。
50m走の記録を見直す場面をもとに生成したイメージ。実在の学校や測定の写真ではありません。

50m走の記録、中央値が同じなら2組は同じくらい速いの?

中央値が同じでも、記録の散らばりは違います。架空の各8人の例では、両組の中央値は8.0秒ですが、四分位範囲はA組0.4秒、B組1.2秒です。同じ目盛りの箱ひげ図で中心と広がりを比べます。最速タイムだけで組全体を判断したり、集団の散らばりから個人の調子を決めたりはできません。

1. 50m走の記録は、何を比べたいかで読み方が変わる

50m走の記録比較では、最速タイム、中央値、散らばりがそれぞれ違う問いに答えます。最速タイムは最も短い記録、中央値は並べたときの中央です。クラスの記録がどれくらい広がっているかは、中央の値一つではわかりません。

内閣府「国民の祝日について」によると、2026年のスポーツの日は10月12日です。祝日を前に、体育の記録を順位以外から見直してみます。祝日の日付は2026年10月8日に確認しました。

次の記録は、この記事のために作った学習用の架空データです。実在する学校の成績でも、中学生の標準記録でもありません。A組・B組とも8人が1回ずつ50mを走り、秒で記録したと仮定します。両組で距離、計測方法、走る条件は同じとします。

50m走の架空の記録(小さい順、単位は秒)
順番A組B組
17.46.8
27.77.2
37.97.6
48.07.9
58.08.1
68.18.4
78.38.8
88.69.2

50mという同じ距離なら、時間の小さい記録ほど速く走ったことになります。最速はA組7.4秒、B組6.8秒です。この二つだけならB組に目が向きます。けれども、B組の8人全員がA組の8人より速いわけではありません。B組には9.2秒という記録もあります。

「どちらの組が速い?」という問いを、「一番速い人はどちらか」「中央はどのあたりか」「記録の幅はどれくらいか」に分けます。何を知りたいかを決めると、使う数字を選べます。

2. 並べて半分に分けると、中央値はどちらも8.0秒

箱ひげ図を作るには、小さい順に並べた記録から、最小値、第1四分位数、中央値、第3四分位数、最大値の五つを求めます。ここでは8人の記録を前半4人と後半4人に分け、それぞれの中央値を第1・第3四分位数にします。

A組全体の中央は4番目と5番目の間です。データが8個なので、中央の2個の平均を取ります。中央値は(8.0+8.0)÷2=8.0秒。B組は(7.9+8.1)÷2=8.0秒です。同じ中央値なのに、B組には8.0秒で走った人が一人もいません。中央値は、必ず誰か一人の記録になる数ではないのです。

A組8人の記録を前半と後半の4人ずつに分ける図。前半7.4、7.7、7.9、8.0秒の中央から第1四分位数7.8秒、後半8.0、8.1、8.3、8.6秒の中央から第3四分位数8.2秒を求める。全体の中央値は8.0秒。
A組の四分位数を求める手順。区切るのは時間の幅ではなく、並べた記録の個数です。

A組の前半は7.4、7.7、7.9、8.0秒。その中央の2個を平均し、第1四分位数は(7.7+7.9)÷2=7.8秒です。後半は8.0、8.1、8.3、8.6秒。第3四分位数は(8.1+8.3)÷2=8.2秒になります。

B組も同じ手順です。第1四分位数は(7.2+7.6)÷2=7.4秒、第3四分位数は(8.4+8.8)÷2=8.6秒です。四分位数は、最小値から最大値までを等しい時間幅で四つに切った位置ではありません。並べた順番から決める数です。

データが奇数個の場合、この教材では全体の中央値を除いて前半と後半に分けます。表計算ソフトには別の求め方もあるため、手計算と違ったら設定も確かめます。分け方は箱ひげ図の考え方で確認できます。代表値の違いは貯蓄の平均値と中央値の記事でも扱っています。

3. 同じ目盛りで見ると、箱の幅は0.4秒と1.2秒

箱ひげ図では、第1四分位数から第3四分位数までを箱にし、中央値の位置に線を引きます。この記事のひげは最小値と最大値まで伸ばします。外れた値を別の点にする方式は使いません。2組を同じ秒の目盛りに置くと、位置と広がりを直接比較できます。

共通の6.5秒から9.5秒の目盛りに置いたA組とB組の箱ひげ図。A組は最小7.4、第1四分位7.8、中央値8.0、第3四分位8.2、最大8.6秒。B組は最小6.8、第1四分位7.4、中央値8.0、第3四分位8.6、最大9.2秒。B組の箱と全体の幅が広い。
2組とも8人。左ほど時間が短く、速い記録です。箱の横幅は人数ではなく、秒の幅を表します。
五つの値と散らばりの比較(単位は秒)
見る値A組B組
最小値7.46.8
第1四分位数7.87.4
中央値8.08.0
第3四分位数8.28.6
最大値8.69.2
四分位範囲0.41.2
範囲1.22.4

総務省統計局「データの散らばりを捉える」は、第3四分位数から第1四分位数を引く四分位範囲を、中心付近の散らばりの目安と説明しています。A組は8.2−7.8=0.4秒、B組は8.6−7.4=1.2秒です。B組の四分位範囲はA組の3倍。ただし、走る時間や能力が3倍という意味ではありません。

全体の広がりを表す範囲は、最大値から最小値を引きます。A組は8.6−7.4=1.2秒、B組は9.2−6.8=2.4秒。中央付近でも全体でも、今回のB組の記録はA組より広がっています。「中央値は同じだが、散らばりは違う」と数値を根拠に説明できます。

目盛りをそろえる理由も確かめてみます。A組だけ横軸を7.4〜8.6秒、B組だけ6.8〜9.2秒として同じ長さの枠に描くと、両組の最小値と最大値の間が同じ長さに見えます。実際の範囲は1.2秒と2.4秒です。別々の図を比べるときも、横軸の始まり、終わり、1目盛りが何秒かを先に確認します。

箱は中央付近の約半分のデータに対応する範囲です。同じ値が重なると、箱の端を含む区間内の人数がちょうど半分とは限りません。箱の長さを人数に読み替えないでください。今回は両組8人ですが、箱だけで人数を判断することはできません。読み取りの練習には箱ひげ図の問題集を使えます。

4. 組の散らばりから、一人の調子は決められない

箱ひげ図の良い点は、複数の集団の中心と広がりを同じ画面で比べられることです。順位表を一人ずつ追わなくても、A組の中央付近が狭い幅に集まる様子を読み取れます。一方で、図に残る五つの値だけでは、元の記録のすべては復元できません。

たとえばA組の最初の記録7.4秒を保ち、2番目の7.7秒を7.6秒に、3番目の7.9秒を8.0秒に変えても、第1四分位数は7.8秒です。他を変えなければ五つの値は同じままです。同じ箱ひげ図になる別の記録があるので、特定の秒数で走った人数を図だけから答えるのは無理な場合があります。

「8.2秒以下の人は何人か」と聞かれたら、元の表に戻ります。A組は6人、B組は5人です。知りたい値が五つの代表的な位置の間にある場合、箱の中の記録の配置までは読めません。箱ひげ図で全体の特徴をつかみ、細かな人数は記録表で数える。道具を行き来すると、図に書かれていないことを想像で埋めずに済みます。

注文したいのは、図を見た後の言葉です。「B組はばらつきが大きい」から「B組の人は調子が不安定だ」へ飛ばしてはいけません。このデータは別々の8人が1回ずつ走った記録です。一人の調子の変化を見るなら、その人が複数回走った記録と、それぞれの計測条件が必要です。

私は大石浩之(磐田市/不動産業)です。私はこう考えます。商売の数字も、総額だけでは負担の姿が見えません。何件分か、1件ではどれくらいかに戻して読みたい。50m走でも「散らばりが3倍」で止めず、中央付近の幅が0.4秒と1.2秒だと秒に戻す。数字の大きさに驚くより、その数字が何を測ったのかを確かめる。それが、自分で比較を選ぶための数学だと思います。

私は「どちらの組がよい」と結論を付けることには迷います。最速を知りたいのか、中央の記録を知りたいのかで答えが変わるからです。まして、タイムから人の努力や価値は測れません。今回言い切れるのは、決めた条件の架空データで、B組の四分位範囲と範囲が大きいということです。

実際の記録なら、人数、欠測、手動か機器かという計測方法、路面や天候も確認します。8人を一つの学年全体の代表とは扱いません。平均から途中の様子を決められない点は、ランニングのペースと通過時間の記事にもつながります。

5. 今日、二つの箱を自分でかいて確かめる

50m走の箱ひげ図を自分で確かめるには、この記事の架空データと紙だけで始められます。新たに走る必要はありません。五つの値を計算してから図に戻すと、図形の見た目と秒の意味を結び付けられます。

  1. 記録を小さい順に並べ、個数と単位を書く。
  2. 中央値、第1・第3四分位数、最小値、最大値を求める。
  3. 2組共通の目盛りをかき、五つの値の位置に印を付ける。
  4. 箱とひげを結び、四分位範囲と範囲を計算する。
  5. 「中央値は同じ8.0秒。四分位範囲はA組0.4秒、B組1.2秒」と根拠を書く。

最後に「図だけではわからないこと」を一つ添えてください。たとえば、誰の調子がよかったか、次に同じ記録が出るかはわかりません。グラフを読めることには、読めないことを区別する力も含まれます。理解の確認には箱ひげ図のたしかめを使えます。

掲載した公的情報は2026年10月8日確認で、更新される場合があります。数値例は学習用で、実際の運動能力の評価や個別の健康判断を行うものではありません。運動の可否などの個別判断は、必要に応じて専門家に確認してください。

よくある疑問

中央値が同じなら、一番速い記録も同じですか?

中央値と最速タイムは別の値です。この記事の架空データでは、両組の中央値は8.0秒ですが、最速はA組7.4秒、B組6.8秒です。中央値は小さい順に並べた中央、最速は最小値を見ます。最速の比較だけでは、残りの人の記録や組全体の広がりはわかりません。知りたいことに合わせて、比べる値を選びます。

箱が長い組は、人数が多いのですか?

箱の横幅は、第3四分位数から第1四分位数を引いた値で、記録の広がりを表します。50m走なら単位は秒です。この記事では両組とも8人ですが、箱の幅はA組0.4秒、B組1.2秒と異なります。箱の幅から人数は判断できません。同値がある場合、箱の端を含む区間内の人数も厳密に半分とは限りません。

散らばりが大きいと、一人ひとりの調子が不安定なのですか?

別々の人が1回ずつ走った記録の散らばりから、個人の調子の変化は判断できません。一人の安定性を調べるなら、その人が複数回走った記録が必要です。その場合も、計測方法や路面、天候などを確認します。組全体の箱ひげ図は集団の記録を比べる道具であり、努力や人の価値を評価するものではありません。

参考にした一次資料

資料確認日:2026-10-08。例題の金額・人数・場面は学習用の設定です。実際の価格や学校の決まりは、それぞれの条件を確認してください。