大石浩之の数学ノート · 方程式

この記事の単元:1次方程式(③方程式)

トラックのスタート位置、1周分の差を計算

· 8分で読める · 中学生向け

半円2つと直線2本でできた陸上トラックを斜め上から見たイラスト。カーブに沿ってスタート位置がずれ、外側では道のりが長くなる様子を、走路の外でノートを見る中学生と描く
記事内容をもとに生成したイメージ。実在の学校・人物・競技場や、正確なスタート位置を描いた図ではありません。

Q. トラックのスタート位置の差は、自分で計算できる?

半円2つは円1つ分なので、1周の距離の差は2×円周率×半径の差です。半径差1.22mの模型は、円周率3.14で約7.66m。縁石がある公認トラックでは第1・第2レーンの測定位置が違い、幅1.22mなら半径差は1.12m、計算機のπで約7.04mです。外側のスタートを前へずらし、走る距離をそろえます。

1. トラックの半円2つを、円1つにまとめる

トラックのスタート位置がずれるのは、外側のレーンほどカーブで走る距離が長くなるからです。同じ位置から出発して同じゴールへ向かうと、外側の人だけ長い道のりを走ります。そこで、1周を自分のレーンで走る競走では、外側のスタートを進行方向へ前に出し、残りの距離をそろえます。

内閣府「国民の祝日について」の2026年一覧では、スポーツの日は10月12日です。2026年10月6日に確認しました。スポーツの日を前に、競技場の写真で見える階段状のスタート位置を、紙の図と計算で確かめてみます。速さやタイムを求める話ではなく、走る道の長さを比べる話です。

まず、トラックを「同じ長さの直線2本と、半円2つ」でできた形と考えます。左右の半円は、同じ半径です。半円の曲がった部分だけを切り出し、片方を移動して合わせると、円1つの周りになります。線を移動しても長さは変わりません。半円のまっすぐな切り口は走路ではないので、足しません。

同じ長さの直線2本と左右の半円からなるトラックの模型。左右の半円の弧だけを取り出すと円1つになり、青い内側と橙色の外側の円周差を比べられる図
理想化した模型。曲線の半円2つで円1周分。色は同じ道の対応を示します。

この模型では、外側の直線も内側の直線も長さが同じです。位置が横へずれているだけで、直線の両端は同じ所でカーブにつながります。したがって、1周の差を生むのは2つのカーブです。トラック全体の外周を巻くひもと、各レーンの走行距離を混ぜずに考えます。

2. 半径の差1.22mなら、1周の差は約7.66m

同じ測り方の線が1.22mずつ外側へ離れる模型では、隣り合う線の半径差も1.22mです。円周は「直径×円周率」、つまり「2×半径×円周率」。円周率はπと書きます。小学校で学んだ円周の関係を使い、この記事の小数計算ではπを3.14とします。

日本陸上競技連盟の2023年3月20日公開記事「陸ジョブナビVol.16」には、レーン幅を2019年から1.22mに合わせたと説明があります。ただし、幅と測定線の半径差がいつも同じとは限りません。ここでは仕組みを先に見るため、測定線が1.22m離れる理想的な設定を使います。実際の第1・第2レーンは後で分けます。

内側の半径をr mと書くと、外側は(r+1.22)mです。1周分のカーブの長さは、内側が2πr m、外側が2π(r+1.22)m。差は2π(r+1.22)−2πr=2π×1.22です。半径rの分が両方にあるので、引くと消えます。直線の長さも差の計算では消えます。

よって、2×3.14×1.22=7.6616。最後に小数第2位まで丸め、約7.66mです。幅が1.22mだから走る差も1.22m、という計算ではありません。半径が広がることで、円1周分の曲線が約7.66m長くなるのです。「1レーン外へ移る」と「1周で増える距離」を対応させます。

半径そのものを知らなくても、差だけで計算できるのは意外なところです。ただし、半径が同心で、左右が同じ半円、直線が同じ長さという条件が支えています。どんな形の校庭でも使える公式ではありません。「1あたり×いくつ分」の整理は、方程式の部品の3つ組でも確認できます。

3. 400mにそろえるスタートのずれを7段階で求める

内側の1周を400mとする学習用の模型で、外側のスタートを何m前へ出せばよいかを求めます。測定線の半径差は1.22m、πは3.14です。この近似計算では、外側の1周は400+7.6616=407.6616mになります。実際の競技場の設計値ではありません。

図

外側の全体407.6616mを、走る400mと、スタートを前へ出す「?」mに分けた線分図にします。ずれはレーンに沿った道の長さです。カーブ上の2つのスタートを、一直線の物差しで結んだ距離ではありません。

外側の1周407.6616mを、実際に走る400mと前へずらして走らない疑問符mに分けた線分図。余分な部分は読みやすく拡大しており、長さの比は実寸ではない
図の「?」が求めるずれ。細い差を見せるため、長さの比は実寸どおりではありません。

おく

外側のスタートを、レーンに沿って前へずらす距離をx mとします。xはトラックの半径でも、走る400mでもありません。求めたい量を言葉にしてから、文字を置きます。

表す

単位をそろえる:距離はすべてmにします。外側の全体407.6616mから、前へ出したx m分を除くと、走る距離は(407.6616−x)mです。前へ出すことで残りの道のりが短くなるので、引き算で表します。

つなぐ

407.6616−x=400とつなぎます。等号の理由は、外側の残りの距離と、内側の400mを等しくするという条件だからです。両辺の単位はmです。何と何をそろえるかを言葉にする練習は、等号の理由にあります。

解く

両辺にxを足すと、407.6616=400+x。両辺から400を引いて、x=7.6616です。等しい両側に同じ操作をするので、等しい関係が保たれます。

確かめる

x=7.6616を最初の式へ代入します。左辺は407.6616−7.6616=400、右辺も400です。丸めた7.66で代入すると400.0016になるため、検算は丸める前の値で行います。

解けた

ずれは正で、外側の全体より短く、前へ出せば残りが400mになります。条件に合うので、模型での答えは約7.66mです。後ろへ下げれば距離は増え、目的に合いません。7つの段階で、計算の解と場面への答えを分けて振り返れます。

4. 実際の測定線は、30cmと20cmで違う

縁石がある公認400mトラックでは、第1レーンと第2レーン以降で、距離を測る線の位置が違います。日本陸上競技連盟の2023年記事は、第1レーンを縁石から外側30cm、第2レーンを内側から20cmの位置で測ると説明しています。レーンの真ん中を測るわけではありません。

日本陸上競技連盟「陸上競技ルールブック2026」の競技規則TR14も照合しました。第1レーンは縁石の外縁から0.30m、縁石のない曲走路では内側の白線の外縁から0.20mです。国内で代用縁石を置く所は、縁石として扱います。第2レーン以降は内側の白線の外縁から0.20mで測ります。標準レーン幅は右側の白線を含む1.22mです。以下は縁石あり、幅1.22mの設定です。

カーブを中心から外側へ横切る半径方向の位置図。縁石の外縁を0m、第1レーンの測定線を0.30m、第1と第2レーンの境界白線の外縁を1.22m、第2レーンの測定線を1.42mとし、測定線の半径差が1.12mになることを示す
半径方向の位置を拡大した図。破線は説明用の測定線で、路面に描かれた線ではありません。

縁石の外縁を0と見ると、第1レーンの測定線は0.30mの位置です。第2レーンの内側の白線の外縁は1.22m。その20cm外なので、第2レーンの測定線は1.22+0.20=1.42mです。測定線の半径差は1.42−0.30=1.12mになります。

1周の差は2×3.14×1.12=7.0336、約7.03mです。円周率を計算機のπで計算すると約7.04mになります。先の7.66mと混ぜず、πを3.14とした近似か、πの精度を上げた値かを書き分けます。0.10mの半径差の違いが、1周では約0.63mになります。

第2・第3レーンはどちらも20cm外側で測るので、幅1.22mなら測定線の差も1.22mです。第1・第2レーンだけの7.04mを、すべての隣同士に使いません。白線の縁を基準にする規則まで含めて、同じ量を比べます。

私は大石浩之(磐田市/不動産業)です。私は、商売で数字を家1軒や1年の負担へ戻すのと同じように、レーン幅を走る人の1周へ戻して読みたいと考えます。数字は、誰の何mになるかまで戻して読みたい。幅の1.22mだけを見て終えると、1周の差を取り落とすからです。これは私の意見です。

私は、最初から測定線の違いまで説明するか、半円の模型だけにするかで迷います。模型は距離をそろえる仕組みを見せてくれます。ただ、模型の7.66mを現物の第2レーンに当てはめるとずれます。だから図を分けました。差の数字が何を表すかは、得失点差と総得点の違いでも別の場面から読めます。

5. 今日、半径の差だけで計算を確かめる

トラックのスタート位置の差を自分で確認するなら、紙に半円2つと直線2本を描き、測定線の半径差を決めるところから始められます。競技場へ行ったり、走路へ立ち入ったりする必要はありません。

  1. 半円2つの弧を、円1つ分として考える。
  2. 同じ長さの直線は、差の計算から除く。
  3. 測定線の半径差に、2と円周率を掛ける。
  4. 外側の全体から求めた差を引き、内側に戻るか確かめる。

練習として、理想模型で測定線を2レーン分、2.44m離してみます。2×3.14×2.44=15.3232で、約15.32mです。1レーン分の7.6616mを2倍した値とも一致します。これは同じ測定位置を使う模型の確認です。縁石のある第1レーンから第3レーンまでを測る現実の計算とは分けます。

200mは、通常の400mトラックで半円1つ分の差を扱うので、1周分をそのまま使いません。途中から内側へ入れる種目やリレーでは、別の条件も要ります。学校のトラックが半円2つの形か、レーン幅はいくらか、縁石があるかは、この記事だけではわかりません。実際の印を付け直す根拠にはせず、施設管理者や競技運営者に確認してください。

距離の条件が決まった後にタイムを考えるなら、ランニングのペースと通過時間の計算へつながります。スタートのずれは道のりをそろえるもの。速さや体力の違いまで消すものではありません。掲載した規則や施設条件は更新される場合があります。模型と実際の測定を分けて、まず「どの線の1周か」を紙に一行書いてみてください。

よくある疑問

トラックの直線も、外側ほど長くなる?

同じ長さの直線2本と、半円2つからなる模型では、直線の長さはレーンが違っても同じです。外側の1周が長くなるのはカーブの半径が大きくなるためです。学校の走路がこの形でない場合には、同じ計算をそのまま使えません。まず直線とカーブの形を確認し、実際の距離は施設管理者に確かめてください。

隣り合うレーンのスタートの差は、すべて同じ?

縁石がある公認400mトラックで、幅1.22mの場合、第1・第2レーンの測定線の半径差は1.12mで、1周の差は約7.04mです。第2レーン以降の隣同士は、同じ20cm外側で測るので半径差1.22m、約7.67mです。ここは計算機のπを使った値です。縁石の有無や幅が違えば、値も変わります。

200mでも、1周と同じだけスタートをずらす?

通常の400mトラックの200mでは、走るカーブは半円1つ分なので、同じ測定線を比べるなら差は1周分の半分です。1周のずれをそのまま使いません。800mやリレーなど、途中でレーンを離れる競走は別の条件があります。この記事は1周を各自のレーンで走る模型であり、実際の表示は競技運営者に確認してください。

参考にした一次資料

資料確認日:2026-10-06。例題の金額・人数・場面は学習用の設定です。実際の価格や学校の決まりは、それぞれの条件を確認してください。