大石浩之の数学ノート · 関数

この記事の単元:1次関数(④関数)

日の入りは毎日何分早くなる?奈良の10月で考える

· 8分で読める · 中学生向け

秋の夕空の下、かばんを背負って住宅街を帰る中学生と、時刻を書き留めるためのノートと時計を描いたイラスト。奈良の特定の場所や実際の観測記録ではない
秋の帰宅と時刻の記録を題材にした生成画像。実在の場所や日の入りの観測写真ではありません。

秋の日の入りは、毎日何分ずつ早くなるの?

日の入りが毎日何分早くなるかは、場所と時期で変わります。奈良の2026年10月1日は17時42分、31日は17時04分。30日間で38分早まり、平均は1日約1.27分(76秒)です。ただし毎日同じ量ではありません。10月の短い区間を直線で近似し、途中の日の時刻と比べて確かめます。

筆者:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)。教室で学ぶ関数を、秋の帰り道の疑問につなげて考えます。

1. 奈良の10月、31日分の表でも間隔は30日

奈良の2026年10月の日の入りは、1日の17時42分から31日の17時04分へ早まります。国立天文台「日の出入り@奈良」の「入り」欄から、下の5日を抜き出しました。2026年10月7日に確認した計算上の時刻です。未来の日付の欄も、当日に観測した記録ではありません。

秋の帰り道で「同じ時刻なのに暗くなるのが早い」と感じたら、まず場所と月をそろえます。この記事で使うのは奈良の日本標準時です。磐田や東京の日の入りとしては使いません。公表日はページに記載がないため、確認日と区別します。

2026年の日付日の入り17時からの分数
10月1日17時42分42分
10月7日17時33分33分
10月11日17時28分28分
10月21日17時15分15分
10月31日17時04分4分

1日と31日の時刻差は42−4=38分です。ただし、平均を出す分母は31ではなく、31−1=30日。1日から2日へ進むと1日間なので、日付の個数と間隔の個数は一つ違います。表に31日分の値が載っていても、端から端までの経過は30日間です。

38÷30=19/15分で、1日あたり約1.27分早まります。秒に直せば、38×60÷30=76秒。これは両端の掲載値から求めた平均です。「毎日きっかり76秒早まる」という意味ではありません。17時42分を17.42時間と書いて引く方法も使えません。時刻の42は100進法の小数ではなく、60分で1時間になる分の欄だからです。

2. 1日あたりの変化を、符号と単位で読む

日の入りの変化を比べるには、「あと−まえ」の差を経過日数で割ります。1日から11日なら、時刻の変化は28−42=−14分です。早くなると、17時から数えた分数は減ります。だから変化の符号は負になります。

同じ10日間で区切ると、1〜11日は−14÷10=−1.4分/日、11〜21日は−13÷10=−1.3分/日、21〜31日は−11÷10=−1.1分/日です。「1日あたり早まる量」として言うなら、それぞれ1.4分、1.3分、1.1分。符号付きの変化と、早まる量の大きさを言い分けます。

月全体の平均より、10日ずつの平均のほうが変化の違いを読み取れます。掲載表では1日から2日は2分、2日から3日は1分早まっています。ただし、表の表示は分単位です。隣り合う欄の差だけから、秒単位のなめらかな変化まで断定することはできません。

計算の形を練習したいときは、教材の1次関数の変化の割合につなげられます。分子は時刻の変化、分母は日数の変化です。割る向きを逆にすると単位も変わります。基準を取り違えやすい場合は、平年差と前日差の違いも、「何から引くか」を考える材料になります。

3. y=ax+bで10日間の直線を作る

奈良の10月1日から11日までを、一定の割合で変わる直線として近似します。近似とは、複雑な変化を扱いやすい形でおおよそ表すことです。実際の日の入りが厳密な1次関数だと決めるのではありません。

10月1日からの経過日数をx日、日の入りを17時から数えた分数をy分とします。x=0は10月1日、x=10は10月11日です。日付そのものをxにしない点に注意します。y=ax+bとおき、まずx=0でy=42だからb=42。次に10日間で14分減るので、a=−1.4です。

近似モデルの式はy=−1.4x+42です。42の単位は分、−1.4の単位は分/日。日数xを掛けた−1.4xも分になるため、42分と足せます。この等号は、作った直線の上で成立する関係です。天文台の全掲載値にぴったり等しいという保証ではありません。

横軸は10月1日からの経過日数、縦軸は17時からの分数。奈良の5日分の掲載値を点で示し、1日と11日を結ぶ近似直線を実線、31日までの延長を破線で示す。31日の掲載値4分と延長の0分が離れている
点は国立天文台の掲載値。直線は本文で作った近似モデルです。縦軸の42分は17時42分を表します。

確かめにx=10を代入すると、−1.4×10+42=28です。出発点にもx=0を代入すると42が戻ります。両端を通るように作った式なので、この二つが合うだけでは途中の日まで合うといえません。式の作り方は2点から1次関数の式を求める教材で復習できます。

グラフでは横へ10日進む間に縦へ14分下がります。右下がりの傾きは、日の入りが早まる向きです。切片42は10月1日の値で、日の入りまで42日という意味ではありません。横軸と縦軸の量を先に書くと、数字の役割が見えてきます。

4. 直線からのずれは、間違い探しの材料になる

10月7日を近似式で予想すると、掲載値とは36秒ずれます。7日は1日から6日後なので、x=6。y=−1.4×6+42=33.6分となり、17時33分36秒に相当します。掲載値の17時33分に対して、モデルは0.6分、36秒遅い値です。

ここで秒まで出たのは、分単位の表から作った式を計算したためです。天文台が7日の日没を秒まで保証した値ではありません。小数が出ても慌てず、0.6×60=36秒と換算し、計算の細かさと元資料の細かさを分けて読みます。

「短い区間なら必ず使える」とも決められません。今回は10日間を選びましたが、別の季節や地域でも同じ程度に合うかは、その表で調べる必要があります。どこまでを一つの直線で表すかは、結果を確かめてから決めます。点と直線が図では重なって見えても、数値で引き算すると差が見つかります。グラフは全体の傾向を見る道具、表は細かい差を確かめる道具として使い分けられます。

同じ直線を31日まで延ばすと、x=30でy=0、17時00分です。しかし掲載値は17時04分で、4分のずれになります。1〜11日から作った直線を、検証せずに月末へ伸ばすと外れます。どの期間でも同じ割合なら1次関数ですが、10日ごとの平均は−1.4、−1.3、−1.1分/日と変わっていました。

国立天文台「日の出入りの季節変化」は、太陽の南中高度と南中時刻の季節変化が重なると説明しています。南中は太陽が南の空で最も高くなるころのことです。ここでは天体の動きを計算し直さず、一定の割合が一年中続くと考えない根拠として使います。短い区間の直線は、天文計算そのものではありません。

私は、直線で見通せる点を数学の良さだと考えます。表の全日を暗記しなくても、出発点と変わり方で予想を作れるからです。その上で注文したいのは、予想の隣に掲載値を書くことです。平均と途中経過の区別は、ランニングの平均ペースと通過時間にも共通します。

5. 38分を、帰り道の段取りに戻す

仮に帰宅時刻を17時30分でそろえると、奈良の10月1日は日の入りの12分前、31日は26分後になります。同じ時計の表示でも、日の入りとの前後関係は変わります。38分という差を、自分の予定に置き直すと変化を捉えやすくなります。

17時30分を共通の帰宅時刻とする仮の例。10月1日は帰宅から12分後の17時42分に日の入り、31日は日の入り17時04分から26分後に帰宅となる。目盛りは5分間隔
帰宅17時30分は仮の設定です。日の入りとの時刻差を示し、道の明るさを測った図ではありません。

国立天文台のFAQによると、掲載時刻は地平線や水平線まで見通せる条件の計算です。近くの山や建物は考慮されません。表の時刻より前に太陽が建物の陰へ隠れても、表の誤りとは限りません。日の入り時刻だけで、家の前の道が何時に暗くなるかまでは決まりません。

私は、数字は段取りに戻してこそ使えると考えます。38分を眺めて終えるより、帰宅予定の横に日の入りを書きたい。とはいえ、平均に合わせて帰る時刻を決めてよいか、私は迷います。山陰の道や周囲の見え方は、この表に入っていないからです。平均に帰り道の判断を丸投げしない。式で見通しを作り、その場所の条件で選び直す姿勢を大切にしたいのです。

6. 今日、2点で予想し、3点目で確かめる

日の入りと1次関数を自分で結び付けるなら、同じ地域の3日分の時刻を使います。最初と最後の2点で直線を作り、間の1点を検証用に残します。途中の値を先に式へ合わせず、どれだけ違ったかを読む練習です。

  1. 地域・年・月と、使う日付を紙に書く。
  2. 基準時刻を決め、日の入りを分に直す。
  3. 時刻差を経過日数で割り、傾きを求める。
  4. 途中の日を代入し、掲載値との差と単位を書く。

この記事なら1日と11日から7日を予想できます。別の期間も試すなら、まず同じ月の掲載表を確認します。「何分のずれなら目的に使えるか」は、考えたいことによって違います。月の変化を眺めるのか、特定の日の時刻を知りたいのかを先に決めます。

使う範囲を決める練習は、1次関数を実際の場面で使う教材へ進めます。直線を引けたことと、現実を言い当てたことは別です。3点目を確かめる一手間までが、式を使う学びになります。掲載情報は更新される場合があります。特定の場所の正確な条件が必要なら、国立天文台などの専門機関の案内で確認してください。

よくある疑問

日の入りは毎日必ず同じ分数だけ早くなりますか?

毎日同じではありません。奈良の2026年10月の掲載値では、1〜11日は平均1日1.4分、11〜21日は1.3分、21〜31日は1.1分早まります。月全体の平均76秒は、1日と31日の差を30日間で割った値です。分単位の表示から、各日の秒単位の変化までは読み取れません。

奈良の10月の日の入りを、ほかの地域でも使えますか?

奈良の値を全国共通の時刻としては使えません。日の入りは地域や季節で変わるため、国立天文台の表で目的の地域・年・月を選びます。掲載時刻は地平線や水平線まで見通せる条件で、近くの山や建物を考慮しません。帰り道の明るさを考えるときは、地域の時刻表に加えて、その場所の条件も確認します。

1次関数の予想と時刻表がずれたら、計算ミスですか?

ずれだけでは計算ミスと判断できません。基準日、分への換算、代入を確かめた上で、一定の変化を仮定した影響を考えます。奈良の10月1〜11日から作った式は、31日を17時00分と予想しますが、掲載値は17時04分です。両端が合う式でも、使う期間を延ばせばずれることがあります。

参考にした一次資料

資料確認日:2026-10-07。例題の金額・人数・場面は学習用の設定です。実際の価格や学校の決まりは、それぞれの条件を確認してください。