大石浩之の数学ノート · 関数
この記事の単元:比例と反比例(④関数)
自転車のギア比を比較、ペダル1回転で何m?

Q. 自転車のギアを変えると、ペダル1回転で進む距離はどう違う?
内装変速による倍率を1とすると、前の歯数÷後ろの歯数が後輪の回転数です。仮に前36歯、後ろ18歯なら2回転、12歯なら3回転。タイヤ外周2mで滑らず進む場合、ペダル1回転の距離は4mと6mになります。実際の速さには、同じ時間にこぐ回数も関わります。
1. 自転車のギア比は、条件をそろえて比較する
自転車のギア比を比べると、ペダルを同じ回数こいだときの後輪の回転数がわかります。ギアを変えると、足の回転と車輪の回転の対応が変わるのです。ペダルを1回転させても、後輪が1回転するとは限りません。
内閣府「国民の祝日について」の2026年の一覧では、スポーツの日は10月12日です。2026年10月11日に確認しました。体を動かす機会を前に、自転車を走らせず、紙の上で仕組みを比べてみます。
ここでは、前の歯車を36歯、後ろをAでは18歯、Bでは12歯とします。歯数とタイヤ外周2mは、説明のための仮の値です。実在する車種の仕様ではありません。内装変速機による回転比の変化はなく、チェーンが滑らず、こいでいる間は後ろの歯車と後輪が一緒に回るモデルです。
前の歯車は、ペダルを支えるクランクと一緒に回ります。「ペダル1回転」は片方のペダルが元の位置へ戻る1周を指します。右足と左足をそれぞれ踏む動きを、別々の1回転とは数えません。数える対象をそろえることから比較が始まります。
パナソニック公式FAQ「内装変速機の変速比」は、前の歯数を後ろの歯数で割り、内装変速比を掛けて回転比を求めています。さらにタイヤ外周長を掛けると、クランク1回転で進む距離になります。本記事では内装変速による倍率を1として、この関係を歯車から考えます。
2. 前36歯から、後ろ18歯と12歯へ
前36歯の歯車が1回転すると、チェーンは歯36個分だけ送られます。同じチェーンでつながる後ろの歯車にも、歯36個分が通過します。前後の回転数が同じなのではなく、通過する歯の数が同じです。
Aの後ろ18歯は、1回転で18歯分を受け取ります。36歯分なら、36÷18=2で2回転です。Bの後ろ12歯は、36÷12=3で3回転します。前の歯数をそろえると、後ろの歯車が小さいほうが、1回こぐ間に後輪がたくさん回ります。
「小さい歯車なのに、後輪は多く回る」という逆向きの関係が面白いところです。12歯の歯車は1周に必要なチェーンの量が少ないため、同じ36歯分で3周できます。割る順序に迷ったら、「送られる36歯分の中に、後ろの1周分が何個あるか」と読みます。
逆に確かめると、Aは18×2=36、Bは12×3=36です。どちらも前から送られた36歯分に戻ります。ここでのギア比2や3には長さの単位はありません。「ペダル1回転に対して後輪が何回転するか」という同じ種類の量の比です。ギアの段数を示す「2速」「3速」とも別の数です。
3. 後輪の回転から、比例の式と距離へ
ギアを途中で変えなければ、後輪の回転数はペダルの回転数に比例します。ペダルの回転数をx回、後輪の回転数をy回とします。1回こぐごとに同じ回転数が加わるため、関係をy=axとおけます。aはギアごとに決まる比例定数です。
Aではx=1、y=2を入れて、2=a×1からa=2です。式はy=2xになります。Bではx=1、y=3からa=3、式はy=3xです。1組の対応からaを決める手順は、教材の「y=axとおく」7つの段階でも確かめられます。
| ペダルx(回) | Aの後輪(回) | Bの後輪(回) | Aの距離(m) | Bの距離(m) |
|---|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 6 |
| 2 | 4 | 6 | 8 | 12 |
| 5 | 10 | 15 | 20 | 30 |
タイヤが滑らずに転がるなら、後輪1回転で外周1周分だけ進みます。外周2mでは、Aのペダル1回転あたりの距離は2×2=4m、Bは3×2=6mです。距離をd mとすると、Aはd=4x、Bはd=6x。右辺は「1回転あたりのm」に「回転数」を掛けた距離で、左辺と同じ量になります。
たとえばx=5を代入すると、Aは4×5=20m、Bは6×5=30mです。後輪の回転数からも、Aは10×2=20m、Bは15×2=30mとなり一致します。差は10m、比は30÷20=1.5です。「10m長い」と「1.5倍」は別の比較なので、どちらを尋ねているか確かめます。
この例は前進しながらこぐ回転数なので、xは0以上で考えます。数学の比例は負の数にも広げられますが、負のxをそのまま後ろ向き走行と読み替えることはできません。グラフの読み方は比例のグラフへ。原点を通る理由も、今回は「こいで進む距離を0から数える」という条件にあります。
表を横に見て、ペダルが1回から2回になれば距離も2倍になると読めます。縦に見れば、xが0でない列ではAの距離÷回転数がいつも4です。Bならいつも6。比例定数は、回転数に合わせて変える数ではありません。ギアを切り替えたら、別の比例定数の関係へ移ると考えます。
グラフで同じ横の位置を選ぶのは、同じ回数こぐ条件をそろえることです。x=5の位置では、Aの高さが20、Bの高さが30です。一方、同じ距離へ届くまでの回転数を比べたいときは、横向きにグラフを読みます。どちらの量をそろえるかで、読み取る答えが変わります。
4. 1回転で遠く進むことと、速く走れること
ギア比だけでは、実際の走行速度は決まりません。ペダル1回転で進む距離に加え、同じ時間に何回こげるかが必要です。同じ1分間に同じ回数こげる条件ならBのほうが遠く進みますが、回転数が変われば結果も変わります。
仮にAを1分間に60回こぐと、4×60=240m進みます。Bを1分間に40回こぐ場合も、6×40=240mです。ギア比が違っても、この2つの走り方の平均の速さは同じです。60回と40回は比較用の仮定であり、推奨する回転数ではありません。
パナソニック公式FAQは、回転比や1回転で進む距離の数値が大きいほど、こぎが重くなると説明しています。ただし本記事の比例の式は、脚に必要な力や疲労を計算していません。坂の勾配、風、荷物などを入れていない式から、「Bなら誰でも速く走れる」とは言えません。
私は、数字を1回あたりに直すと、比べる材料が手元に残ると考えます。不動産の金額を面積あたりで見るのと同じく、ギア比3という数字も、ここでは1回こいで6mと読み直せます。ただ、6mだからBがよい、と決めるかは迷います。遠くへ進む量は見えても、こぐ本人の負担は表にないからです。私は、数字の大きいほうを勝者にする比較にはしたくありません。
走行中にペダルを止めても、自転車が進み続けることがあります。その距離まで含めると、d=4xやd=6xの対応から外れます。変速、空転、滑りがある場合も同様です。固定したギアで力が伝わり、タイヤが滑らず転がる区間だけを取り出した式だと、適用範囲を区切ります。
一定の条件から作る表と実際の記録を分ける見方は、ランニングのペースと通過時間にもつながります。式は条件の下での関係を示します。現実が条件どおりかを確かめる仕事は、計算の後にも残ります。
5. 紙の上で、後ろの歯数を24歯に変える
ギア比の理解を確かめるには、前36歯を固定して、後ろだけ24歯に変えた例を作れます。計算に入る前に、後ろ18歯のAより後輪の回転数が増えるか、減るかを予想します。1周に必要な歯数が増えるので、同じ36歯分で回れる回数は減ります。
計算は36÷24=1.5で、後輪は1.5回転です。1回転と半回転なので、答えが整数にならなくても構いません。タイヤ外周が2mなら1回こぐ距離は1.5×2=3m。ペダルを2回転させると後輪3回転、距離6mになります。24×1.5=36に戻ることも確かめられます。
紙に「前の歯数」「後ろの歯数」「後輪の回転数」「1回こぐ距離」の4欄を書けば、回転と長さを混ぜずに比べられます。タイヤ外周を変える場合は、歯数を固定してもう1枚作ります。一度に条件を変えすぎないほうが、何が差を生んだかを説明できます。
自分で式を作る練習は、比例・反比例を使うで続けられます。実車を使わず、今回の3組の歯数を計算し直すだけでも確認になります。車種の歯数や内装変速比は取扱説明書で確認し、わからない値を想像で埋めないようにします。
製品の仕様や掲載情報は更新される場合があります。本記事は仮の条件で数学を考える例で、部品交換や調整の手順ではありません。実車への適合や整備の判断は、販売店などの専門家へ確認してください。
よくある疑問
自転車のギア比はどう求めますか?
内装変速による倍率を1とする場合、前の歯数を後ろの歯数で割ります。前36歯・後ろ18歯なら2で、ペダル1回転に対し後輪は2回転です。内装変速機がある場合は、その変速比も掛けます。歯数だけで決めず、車種の取扱説明書などで条件を確認します。ギアの段数を表す数字とは別です。
ギア比が大きければ必ず速く走れますか?
必ず速くなるとは限りません。同じタイヤならペダル1回転で進む距離は増えますが、同じ時間にこげる回数も速さに関わります。仮に1回転4mを毎分60回と、1回転6mを毎分40回なら、どちらも毎分240mです。力や疲労はこの式では求めておらず、自分に適するギアを比の大小だけで決められません。
ギア比が同じなら、タイヤが違っても距離は同じですか?
タイヤ外周が違えば、ペダル1回転で進む距離も変わります。内装変速を含む回転比が同じなら後輪の回転数は同じですが、後輪1回転で進む距離は外周1周分だからです。外周2mとした記事の仮の値を、別の自転車へそのまま使わず、車種の仕様を確認します。タイヤが滑らず転がるという条件も必要です。
参考にした一次資料
- 内閣府|国民の祝日について
2026年10月11日確認。2026年のスポーツの日は10月12日。ページの公表日表記は確認できず。
- パナソニック公式FAQ|内装変速機の変速比
2026年10月11日確認。「ギヤ比の求め方」「GD値の求め方」の計算関係と、数値が大きいほどこぎが重くなる旨を確認。ページの公表日表記は確認できず。記事の歯数・外周長は仮の値。
資料確認日:2026-10-11。例題の金額・人数・場面は学習用の設定です。実際の価格や学校の決まりは、それぞれの条件を確認してください。