大石浩之の数学ノート · 式の計算
この記事の単元:式の計算(②式の計算)
カレンダーの9マスの和、なぜ中央の9倍?

Q. カレンダーの9マスの和が、中央の日付の9倍になるのはなぜ?
1週間を横7列に並べたカレンダーでは、中央の日付をnとすると、左右や上下のずれが足し算で打ち消し合うからです。同じ月の空欄を含まない3行3列なら、9個のnだけが残り、和は9nになります。月をまたいで日付が1に戻る囲み方には、そのまま使えません。
11月の予定を書き込む前に、カレンダーの数字だけを眺めてみます。横に1日、縦に1週間。毎日見ている並びにも、文字式で説明できる規則があります。今回の問いは、縦3マス・横3マスを囲んだとき、9個の日付の和がなぜ中央の9倍になるのか、です。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。私は、数学を計算の速さだけで測りたくありません。数字をいくつか試して気付いたことに、理由を付けられる。その面白さを、机の上にある予定表から考えます。正解を先に暗記する必要はありません。
1. 11月の予定表で、9マスを囲んでみる
2026年11月のカレンダーから、日付が全部そろった3行3列を選びます。国立天文台が2025年2月3日に発表した暦要項では、11月3日は文化の日、23日は勤労感謝の日です。11月の予定を確認するついでに、数字の並びを見てみよう。
下の図は日曜始まりです。11月1日は日曜日なので、1から7が最初の行に並びます。今回は中央を17として、上の行を9・10・11、真ん中を16・17・18、下の行を23・24・25と囲みます。祝日か平日か、文字の色が赤か黒かは、今回の計算には関係しません。
行ごとに足すと、9+10+11=30、16+17+18=51、23+24+25=72です。三つの和は30+51+72=153。一方、中央の17に9を掛けても17×9=153になります。別々の計算が一致しました。
ただし、1回の一致で「どこを囲んでもそうなる」とは決まりません。17を選んだときだけ偶然合った可能性を、まだ除いていないからです。別の日を中央にして試すと予想は強くなりますが、試した数を増やすことと、理由を説明することは分けて考えます。
ここで使う153は、9日間の長さではありません。9個の日付を表す整数を足した値です。囲んだ日付には12〜15などが入っていないので、連続した9日間でもありません。「日付の数の和」と「経過した日数」を混ぜないことが、予定表を数学にする最初の条件です。
2. 中央をnとすると、周りはどう表せる?
中央の日付を表す整数をnとします。左は1小さいのでn−1、右は1大きいのでn+1です。真上は7日前だからn−7、真下は7日後だからn+7になります。文字に置き換えても、日付の並び方を変えているわけではありません。
左上へは、1行上がってから1列左へ進みます。中央より7小さく、さらに1小さいのでn−8です。右上はn−7+1=n−6。左下はn+7−1=n+6、右下はn+8と表せます。「斜めだから7」と決めず、縦と横の移動を分けると、ずれの理由を説明できます。
これで上の行はn−8、n−7、n−6、中央の行はn−1、n、n+1、下の行はn+6、n+7、n+8です。nは今回の図では17ですが、説明の途中で17に固定しません。同じ条件を満たす別の囲み方にも、同じ式を使うためです。
式を立てる前に、文字が何を表すかを一言添えると、説明をたどりやすくなります。nは月の番号でも人数でもなく、囲んだ中央の日付です。今回のnには、同じ月の中に周囲8マスが収まるという条件も付きます。好きな数を無条件に入れてよい、という意味ではありません。
文字を置くところから確認したい場合は、式の計算の単元トップで、数の計算と文字式のつながりを見られます。数字の例から始め、文字で表し、最後に元の場面へ戻る。この往復が今回の説明の骨格です。
3. ずれが打ち消し合い、9個のnが残る
9マスの和が9nになる理由は、中央からのずれの合計が0になることです。9個をそのまま足すなら、和は(n−8)+(n−7)+(n−6)+(n−1)+n+(n+1)+(n+6)+(n+7)+(n+8)です。
足す順番とまとめ方を変え、nの項と数だけの項をそれぞれ集めます。nは9個あるので9nです。数だけの部分は−8−7−6−1+1+6+7+8。−8と8、−7と7、−6と6、−1と1がそれぞれ0になり、全部で0です。したがって和は9n+0=9nとなります。
n=17を式へ戻すと、左上のn−8は9、右下のn+8は25です。両方を足すと34で、中央17の2倍と一致します。他の3組も同じ34になるため、34×4+17=153です。図で数えた9個が式のどこに入ったかまで確かめると、文字式と具体例がつながります。
ここで使ったのは加法の交換法則と結合法則です。また、同じ文字の項を足してn+n=2nとまとめる背景には、1n+1n=(1+1)nという分配法則があります。文字があるから特別な計算をするのではなく、数で使ってきた規則を使っています。
図で向かい合う2マスを組にしても説明できます。(n−8)+(n+8)=2nです。同じように、ずれが7、6、1の組もそれぞれ2nになります。4組で8n、残った中央のnを足して9n。中央を通って反対側にある2マスは、実際の図では9と25、10と24、11と23、16と18です。
意外なのは、全部の日付を一つずつ覚えていなくても、中央と並び方だけで和が決まることです。9倍になるのは、数字の偶然ではなく配置の規則によります。式の計算の学習ページでは、同類項や式による説明を順に確かめられます。
文部科学省のJSL数学授業事例「文字の式を使った証明」では、整数の性質を文字式で表し、一般的に説明する学習を扱っています。資料の題材は2桁の自然数で、カレンダーではありません。本記事はその学び方とつながる別の例として、日付の並びを使っています。
4. 月をまたぐ囲み方には、そのまま使えない
今回の説明は、1週間が横7列で、右へ1ずつ、下へ7ずつ増える配置が前提です。同じ月の数字が全部入った3行3列を選びます。月曜始まりでもこの増え方は同じなので、条件を満たす囲みなら和は中央の9倍になります。
一方、月末の隣に翌月の1日を載せるカレンダーでは注意が要ります。日付が30から1へ戻る場所を含むと、隣がn+1とは表せません。空欄を0として埋めても、縦に7ずつ増える条件は崩れます。式が悪いのではなく、説明に使った前提と選んだ図が合わなくなるのです。
横の行を折り返し、土曜日の右を次の行の日曜日として数える囲み方も、紙の上の3行3列とは違います。今回の図では、長方形の枠から外れない9マスを選びます。日付を縦に1ずつ並べた手帳や、営業日だけを載せた予定表にも、横7列の式をそのまま当てはめないでください。
「何個か試したら合った」と「条件から説明できた」は異なります。ISBNの最後の数字を確かめる記事でも、計算が合うことと確認できる範囲を分けています。数学の答えを使うときは、計算結果の横に条件も残す。その習慣は、予定や数字を読み違えないためにも役立ちます。
5. 今日の予定表で、予想と理由を分けて書く
手元のカレンダーで別の3行3列を囲み、まず9個を足してみます。次に中央の9倍を求め、結果を比べます。一致したら、同じ色のペンで向かい合う4組を結びます。借り物や共有の予定表なら、別の紙に写して試せます。
ノートには「中央は何か」「周囲をどう表すか」「なぜずれが消えるか」の3行を残してみよう。答えが違ったときは、足し算だけでなく、中央の取り方や空欄の有無も見ます。確かめる順番があれば、違いを次に調べる材料にできます。
説明の練習では、中央を10に替えた3行3列も使えます。上は2・3・4、中央は9・10・11、下は16・17・18です。和は90で、10の9倍になります。17の例と答えは違っても、左右と上下のずれの組は同じです。変わる数字と、変わらない関係を別々に指さしてみると、nを使う理由が見えてきます。
私は、先に9倍という答えを見せるか、少し待って予想してもらうかで迷います。驚きを入口にしたい一方、当てる遊びだけで終わらせたくないからです。私は、すぐに覚えると決めなくてもよいと考えます。図に戻れば理由を確かめられる状態を、今日の成果にしたいのです。
自分の言葉で説明できたら、式の計算の問題集で別の数量にも使ってみよう。予定そのものを組みたいときは、14日間の読書計画の記事がつながります。今回足した日付の数と、読書に使える日数は違う量です。問いに合う数字を選ぶところから、数学の使い方が変わります。
本記事は2026年10月22日に確認した一次資料を用いた学習用の説明です。祝日の日付は国立天文台の2026年暦要項に基づきます。実際の開館日や営業日は、祝日だけでは決まりません。出かける予定は施設の最新案内も確認し、計算の規則と暮らしの判断をつなげてください。
よくある疑問
月曜始まりのカレンダーでも中央の9倍になりますか?
同じ月の数字がそろった3行3列なら成り立ちます。月曜始まりでも右に1、下に7ずつ増える並びは変わりません。中央をnとした周囲のずれが、反対側のマスと打ち消し合います。ただし囲める日付の組は日曜始まりと違います。祝日や曜日の色は、この和には影響しません。
月をまたぐ9マスでも使えますか?
日付が翌月の1日に戻る囲み方には、今回の式をそのまま使えません。右が1大きく、下が7大きいという前提が崩れるためです。空欄を0とみなす場合も同じです。同じ月の中で日付がすべて入った3行3列を選びます。使う前に配置の条件を確かめるところまでが、数学の説明です。
何回か計算が合えば、証明したことになりますか?
試した例で合うことは確認できますが、それだけでは条件を満たす全ての場合の理由にはなりません。中央をnとして9マスを表すと、数が変わってもずれが消え、和が9nになることを説明できます。数の例は予想や検算に、文字式は条件の下で一般的に成り立つ理由に使います。
参考にした一次資料
- 国立天文台|令和8(2026)年暦要項の発表
2025年2月3日公表。2026年10月22日確認。「国民の祝日」に11月3日文化の日、11月23日勤労感謝の日を掲載。9マスの図と計算は本記事で作成した教材です。
- 文部科学省|JSLカリキュラム数学科・事例7「文字の式を使った証明」
2026年10月22日確認。資料内の公表日記載なし。74〜75頁に、整数の性質を文字式で表し、計算して一般的に説明する学習を記載。資料の題材は2桁の自然数であり、本記事のカレンダー図の出典ではありません。
資料確認日:2026-10-22。例題の金額・人数・場面は学習用の設定です。実際の価格や学校の決まりは、それぞれの条件を確認してください。