解説 6 /全7
y=ax² を使う
時速 40 km で 8 m。
時速 80 km では?
ここまでで、y=ax² の式・グラフ・変域・変化の割合を学んだね。こんどは、身のまわりの場面や、グラフの問題を y=ax² で考えてみよう。出発点は、いつもの「おく」だよ。
1. ブレーキがきき始めてから止まるまで
自動車は、ブレーキがきき始めてから止まるまでに、しばらく進む。この距離を 制動距離 というよ。同じ車・同じ道路なら、制動距離は、ブレーキがきき始めたときの速さの2乗にほぼ比例することが知られているんだ。
例題1 ある自動車で、かわいた道路で調べると、時速 40 km で走っているときの制動距離は 8 m でした。制動距離は速さの2乗に比例するものとします。時速 80 km で走っているときの制動距離は何 m ですか。
計算する前に、予想してみよう。
予想時速 40 km で 8 m。速さが2倍の時速 80 km では、何 m になると思う?
7つの段階で確かめよう。
- 図:わかっているのは「時速 40 km で 8 m」。求めるのは「時速 80 km のときの距離」。
- おく:速さを時速 x km、制動距離を y m とする。制動距離は速さの2乗に比例するから、y=
ax2 とおく。 - 入れる:x=40、y=8 を代入して、8=
a×402 、つまり 8=1600a 。 - 求める:a=
8÷1600= 1200 - 式にする:y=
1200x2 - 使う:x=80 を代入して、y=
1200×802= 。6400÷200= 32 - 確かめる:速さが 40 から 80 へ2倍になると、距離は 2²=4倍になるはず。8×4=32 で合っているね。
答え 32 m
a=1/200 のように、a がとても小さい分数になることもある。x の値(速さ)が大きいので、x² はもっと大きくなる。それに小さな a をかけて、ちょうどよい大きさの距離になるんだ。
単位にも気をつけよう。x は時速 km、y は m と、単位がちがうね。x と y は別の量なので、そろえなくてかまわない。大事なのは、a を求めたときと、式を使うときで、同じ単位を使うこと。もし速さを秒速 m で考えるなら、a の値も変わってしまうよ。
グラフでも見てみよう。
- わかっているのは、時速 40 km のとき 8 m。点 (40, 8) だね。
- a=1/200 がわかったので、y=
1200x2 のグラフがかける。速さが大きくなるほど、急に長くなっていく。 - 時速 60 km では、60²÷200=3600÷200=18 で、18 m。
- 時速 80 km では 32 m。速さが2倍(40→80)になると、距離は4倍(8→32)。
予想時速 60 km では、ブレーキがきき始めてから止まるまで何 m 進む?
発見速さが2倍になると、制動距離は4倍になる。速さを少し上げただけでも、止まるまでの距離は大きくのびる。
時速 60 km(40 km の 1.5倍)では、距離は 1.5²=2.25倍で 18 m。時速 100 km では 1200×1002=
こんどは、y から x を求めてみよう。
例題2 例題1の自動車で、制動距離を 18 m 以下にしたいとき、速さを時速何 km 以下にすればよいですか。
- 使う:制動距離がちょうど 18 m になる速さを求める。y=18 を代入して、18=
1200x2 。両辺に 200 をかけて x2=3600 。x=60、x=-60。 - 確かめる:x は速さなので x>0。x=60 を選ぶ。グラフは x>0 の所で右上がりなので、x が 60 以下なら y は 18 以下になる。
答え 時速 60 km 以下
やってみよう
例題1の自動車が、ぬれた道路を走るとき、時速 40 km での制動距離は 12 m だったとする。ぬれた道路でも制動距離は速さの2乗に比例するものとして、時速 60 km での制動距離を求めよう。答えは下にあるよ。
答え
12=
2. 斜面を転がるボール
斜面の上にボールを置いて、静かに手をはなしたときも、転がる距離は、転がりはじめてからの時間の2乗に比例することが知られている(まさつや空気の影響が小さいとき)。はじめに勢いをつけて転がすと、2乗に比例しなくなるので気をつけよう。
例題3 ゆるやかな斜面の上にボールを置いて、静かに手をはなしたところ、転がりはじめてから2秒間で 120 cm 転がりました。転がる距離は時間の2乗に比例するものとします。(1) 3秒間では何 cm 転がりますか。(2) 斜面の長さが 480 cm のとき、ボールが斜面の下に着くのは、転がりはじめてから何秒後ですか。
- おく:時間を x 秒、転がった距離を y cm とする。距離は時間の2乗に比例するから、y=
ax2 とおく。 - 入れる:120=
a×22 、つまり 120=4a 。 - 求める:a=
120÷4= 30 - 式にする:y=
30x2 - 使う:(1) x=3 を代入して、y=
30×32= 。(2) y=480 を代入して、480=270 30x2 、x2=16 。x=4、x=-4。 - 確かめる:(2) x は時間なので x>0。x=4 を選ぶ。4秒は2秒の2倍なので、距離は4倍の 480 cm になるはず。合っているね。
答え (1) 270 cm (2) 4秒後
表にすると、次のようになるよ。わく(2秒で 120 cm)が、わかっていた組だね。
- わかっているのは、2秒で 120 cm。a=30 だから、1秒では 30×1²=30 cm。
- 3秒では 30×3²=30×9=270 cm。例題3の (1) の答えだね。
- 4秒では 30×4²=480 cm。2秒のときの4倍だね。1秒ごとに転がる距離は、30、90、150、210 cm と、60 cm ずつ増えている。
予想1秒ごとに転がる距離は、0〜1秒で 30 cm、1〜2秒で 120-30=90 cm。この1秒ごとの距離は、何 cm ずつ増えていく?
発見斜面を転がるボールも、落ちるボールと同じく y=ax² で表せる。a の値は、斜面の傾きによって変わる。
1秒ごとに転がる距離は、30、90、150、210 cm と、60 cm ずつ大きくなっていく。落ちるボール(5、15、25、35 m で、10 m ずつ)と同じように、だんだん速くなっていることがわかるね(解説5)。
斜面が急になるほど、ボールは速く転がり、a は大きくなる。落ちるボールの式 y=5x²(y は m)を cm で表すと y=500x²。ゆるやかな斜面の a=30 は、それよりずっと小さいね。ゆるやかな斜面では、ゆっくりと速くなっていくんだ。
3. 放物線と直線の交点
こんどは、グラフの上で y=ax² を使おう。放物線と直線が交わる点を求める問題だよ。
例題4 関数 y=ax² のグラフは、点 (4, 4) を通ります。このグラフと、直線 ℓ:y=(1/2)x+2 との交点の座標を求めなさい。
- おく:原点を頂点とする放物線なので、y=
ax2 とおく。 - 入れる:4=
a×42 、つまり 4=16a 。 - 求める:a=
4÷16= 14 - 式にする:放物線は y=
14x2 、直線 ℓ は y=12x+ 。2
計算する前に、2つのグラフをかいて、交わる点がいくつあるか見てみよう。図の後半では、例題5で使う三角形も出てくるよ。
- 直線 y=
12x+ をかく。2 - 交わる点は A(-2, 1) と B(4, 4)。2次方程式 x²-2x-8=0 の解 x=-2、4 が、交点の x 座標になっている。
- 直線が y 軸と交わる点は C(0, 2)。OC を底辺にすると、面積が求めやすい。
- 三角形 OAB を y 軸で2つに分ける。△OAC=2×2÷2=2、△OBC=2×4÷2=4。合わせて 6。
予想直線 y=
交点は、2つのグラフの両方の上にある点。だから、交点では x も y も同じだね。2つの式の y が等しいとおいて、
14x2=
- 使う:両辺に 4 をかけて x2=
2x+ 。移項して x2-8 2x- 。左辺を因数分解すると x2-8= 0 2x- なので、(x+8= (x+ 2)(x- 4) 2)(x- 。だから x=-2、x=4。 x=-2 のとき y=4)= 0 14×(-2)2= 、x=4 のとき y=1 14×42= 。4 - 確かめる:(-2, 1) を直線 ℓ の式に入れると 12×(-2)+
2= 、(4, 4) を入れると 12×4+1 2= 。どちらも直線 ℓ の上にもあるね。4
答え (-2, 1)、(4, 4)
発見放物線と直線の交点の x 座標は、2つの式の y を等しいとおいてできる2次方程式の解になる。
2次方程式の2つの解が、そのまま2つの交点の x 座標になっているね。図で見た2つの交点と合っている。場面の問題とちがって、ここでは x<0 の点も座標平面の上のふつうの点なので、2つとも答えだよ。
交点の y 座標は、放物線の式と直線の式のどちらに入れても求められる。片方で求めて、もう片方で確かめると、計算のまちがいに気づけるよ。
4. 三角形の面積
例題5 例題4の2つの交点を、x 座標の小さい方から A、B とします。原点を O とするとき、△OAB の面積を求めなさい。ただし、座標の1目もりを 1 cm とします。
△OAB は、どの辺も x 軸や y 軸に平行ではないので、底辺と高さが見つけにくい。そこで、直線 ℓ と y 軸の交点 C で、三角形を2つに分けよう。
- 直線 ℓ の切片は 2 なので、C(0, 2)。OC=2。
- △OAC:底辺を OC=2 とすると、高さは A から y 軸までの距離で、A の x 座標 -2 の絶対値の 2。面積は 2×2÷2=
2 。 - △OBC:底辺を OC=2 とすると、高さは B の x 座標の 4。面積は 2×4÷2=
4 。 - △OAB=△OAC+△OBC=2+
4= 6
答え 6 cm²
y 軸で分けると、どちらの三角形も「底辺は OC、高さは x 座標の絶対値」になるのがポイント。まとめて 2×(2+
まとめ
- 場面の中の「2乗に比例する」量は、y=
ax2 とおき、1組の値から a を求める。 - y から x を求めると x が2つ出ることがある。時間や速さなど、場面では x>0 の方を選び、理由を書く。
- 放物線と直線の交点は、2つの式の y を等しいとおいた2次方程式を解いて求める。
- 放物線と直線でできる三角形の面積は、y 軸などで2つに分けると求めやすい。
どう考えた?
制動距離が速さの2乗に比例することから、「スピードを出しすぎるとあぶない」理由を、数を使って説明してみよう。
説明の例を見る
制動距離は速さの2乗に比例するので、速さが2倍になると制動距離は4倍、3倍になると9倍になる。例題の車では、時速 40 km で 8 m だった制動距離が、時速 80 km では 32 m になる。速さは2倍でも、止まるまでの距離は4倍にのびるので、前の車や人にぶつかる危険が大きくなる。
数学ではどう考える?
数学では、次のように考えるよ。
- 放物線 y=ax² と直線 y=mx+n の交点の x 座標は、2次方程式 ax²=mx+n、つまり ax²-mx-n=0 の解。解が2つなら交点は2つ、解が1つ(「重解」という。高校で使う用語)なら直線は放物線にふれるだけ(接する)、解がなければ交わらない。
- 2つの交点の x 座標を p、q とすると、ax²-mx-n=a(x-p)(x-q) と表せる。右辺を展開して x の係数をくらべると m=a(p+q)。直線の傾きは a(p+q) で、解説5 の変化の割合と同じ式になる。例題4では (1/4)×{(-2)+4}=1/2 で、直線 ℓ の傾きと合っているね。
- 定数の項をくらべると n=-apq。例題4では -(1/4)×(-2)×4=2 で、直線 ℓ の切片と合っている。
- 落ちるボールや斜面のボールは、止まった状態から一定の割合で速くなる運動なので、進んだ距離が時間の2乗に比例する。ブレーキは一定の割合でおそくなる運動なので、止まるまでの距離が、はじめの速さの2乗に比例する。高校の物理で、くわしく学ぶよ。
次は、y=ax² のような、これまでの式では表しにくい関数も見てみよう。
この解説で、できるようになったこと
- 身のまわりの場面を y=ax² で表し、先のことを予想できる
- 放物線と直線の交点を、2次方程式を解いて求められる
- 放物線と直線でできる三角形の面積を求められる