解説 1 /全7
2乗に比例する関数
ボールを落とすと、
1秒でおよそ 5 m。
では、2秒では 10 m?
ぼくは まるくん。中1では y=ax、中2では y=ax+b と、いつも「おく」ところから始めたね。中3で出会うのは、比例とも1次関数ともちがう、新しい関数だよ。
1. 落ちる距離を調べよう
高い所から、ボールをそっと手からはなすことを考えよう。投げるのではなく、静かに落とすんだ。ボールは下へ落ちていくね。落ちはじめてから1秒間で、ボールはおよそ 5 m 落ちることがわかっているよ。
では、2秒間では何 m 落ちるだろう。1秒で 5 m なら、2秒で 10 m、3秒で 15 m……と考えたくなるね。これは、「時間と落ちる距離は比例する」と考えたことになる。本当にそうかな?
落ちはじめてからの時間を x 秒、そのあいだに落ちた距離を y m として、表にしてみよう。「▶ 動かす」を押して、1歩ずつ進めてね。とちゅうで予想の問いが出てくるよ。
- x=0(手をはなした瞬間)は、まだ落ちていないので y=0。1秒間では、およそ 5 m 落ちる。
- 2秒間では、およそ 20 m。1秒のときの 5 m の4倍だね。
- 3秒間でおよそ 45 m、4秒間でおよそ 80 m。時間がたつほど、落ちる距離はぐんぐんのびていく。
予想1秒間でおよそ 5 m 落ちるボール。2秒間では、はじめからおよそ何 m 落ちる?
発見落ちる距離は、時間に比例していない。時間が1秒から2秒へ2倍になると、距離はおよそ 5 m から 20 m へ4倍になる。
2秒でおよそ 20 m、3秒でおよそ 45 m、4秒でおよそ 80 m。落ちるボールは、地球に引っぱられつづけるので、時間がたつほどどんどん速くなる。だから、同じ1秒間でも、あとの1秒間の方がたくさん落ちるんだ。はじめの1秒で 5 m、次の1秒で 15 m、その次の1秒で 25 m。1秒ごとに落ちる距離がのびていくので、時間に比例するよりも、ずっと大きな距離になるんだね。
2. x が2倍・3倍になると、y は?
表を横に見て、x が何倍になると y が何倍になるかを調べよう。比例 y=ax なら、x が2倍になると y も2倍、x が3倍になると y も3倍だったね。落ちる距離ではどうなるかな。
- x が 2 から 4 へ2倍になると、y は 20 から 80 へ4倍。1 から 2 へ2倍のとき(5 から 20)も4倍だったね。どこから2倍しても、y は4倍になる。
- x が 1 から 3 へ3倍になると、y は 5 から 45 へ9倍。3×3=9 だね。
予想x が 2 から 4 へ2倍になると、y は何倍になる?
予想では、x が3倍になると、y は何倍になると思う?
発見x が2倍になると y は4倍、x が3倍になると y は9倍になる。4=2×2、9=3×3 だから、y は「x が何倍になったか」を2乗した数だけ、倍になっている。
4=2×2=2²、9=3×3=3²。x が2倍、3倍、4倍……になると、y は 2²倍、3²倍、4²倍……、つまり4倍、9倍、16倍……になっている。1秒から4秒へ4倍になると、距離は 5 m から 80 m へ16倍だね。表で確かめてみよう。
この決まりを使えば、表にない時間でも考えられるよ。
予想では、x が5倍になると、y は何倍になると思う?
5秒間なら、1秒のときの 5²倍、つまり25倍で、およそ 125 m。反対に、時間が半分(1/2倍)になると、距離は (1/2)²=1/4 倍になる。1秒でおよそ 5 m なら、0.5秒ではおよそ 1.25 m だよ。時間を短くすると、距離はそれ以上に短くなるんだね。
x が2倍で y が4倍。この関係は、比例とも1次関数ともちがう、新しい関数の目じるしなんだ。
3. 何でわると一定になる?
比例では、表をたてに見ると y÷x がいつも同じ数(比例定数 a)だったね。だから y=
- 比例なら y÷x が一定だった。ここで y÷x を計算すると 5、10、15、20。一定ではないね。
- こんどは x² の行をつくる。1×1=1、2×2=4、3×3=9、4×4=16。
- y÷x² を計算すると、5÷1、20÷4、45÷9、80÷16 で、どれも 5。いつも同じ数になった!
予想y÷x を計算すると、どうなると思う?
予想y÷x² を計算すると、どうなると思う?
発見y÷x は一定ではないけれど、y÷x² はいつも 5 になる。y は、x ではなく x² に比例している。
y÷x²=5 ということは、y=5×x²。かけ算の記号をはぶいて y=
このように、y が x の関数で、
y=
の形で表されるとき、y は x の2乗に比例する というよ。a を 比例定数 という。中1の比例と同じ言葉だね。落ちる距離の例では、a=5 だよ。この単元では、この関数を「関数 y=ax²」とよぶよ。
ポイントy が x の2乗に比例するとき、y=
「2乗に比例する」と問題に書いてあったら、まず y=
4. 1組の x・y で a が決まる
y=
予想y=
ポイント(-3)² と -3² はちがう。(-3)²=(-3)×(-3)=9、-3²=-(3×3)=-9。x に負の数を入れるときは、かならずかっこをつけて a×(-3)² と書こう。
では、例題で「おく」から順に進めてみよう。
例題1 y は x の2乗に比例し、x=2 のとき y=12 です。y を x の式で表しなさい。また、x=-3 のときの y の値を求めなさい。
- おく:y は x の2乗に比例するから、y=
ax2 とおく。 - 入れる:x=2、y=12 を代入すると、12=
a×22 、つまり 12=4a 。 - 求める:両辺を 4 でわって、a=
12÷4= 。3 - 式にする:y=
3x2 - 使う:x=-3 を代入する。負の数を入れるので、かっこをつけよう。y=
3×(-3)2= 3×9= 27 - 確かめる:x=2 を入れると 3×22=
12 。はじめの組と合っているね。
答え y=
x=-3 を入れたのに、y は正の数になったね。(-3)² は (-3)×(-3)=9 で、正の数だからだよ。x=3 を入れても、3×32=
例題2 y は x の2乗に比例し、x=4 のとき y=-8 です。y を x の式で表しなさい。また、x=6 のときの y の値を求めなさい。
- おく:y=
ax2 とおく。 - 入れる:-8=
a×42 、つまり -8=16a 。 - 求める:両辺を 16 でわって、a=
-816= 。-12 - 式にする:y=
-12x2 - 使う:y=
-12×62= -12×36= -18 - 確かめる:x=4 を入れると -12×42=
-8 。はじめの組と合っているね。
答え y=
a が負の数のときは、x に 0 以外のどんな数を入れても、y は負の数になる。x² はいつも正の数(x=0 なら 0)で、それに負の数 a をかけるからだよ。a が分数のときも、手順は同じ。「おく → 入れる → 求める → 式にする」の順に進めば、a がどんな数でも式が決まる。
x=0 のときは、どんな a でも y=
やってみよう
次のそれぞれで、y は x の2乗に比例する。y=
- (1) x=3 のとき y=18
- (2) x=-2 のとき y=-12
- (3) x=4 のとき y=4
答え
- (1) 18=
a×32 より 9a=18 で a=2。y=2x2 - (2) -12=
a×(-2)2 より 4a=-12 で a=-3。y=-3x2 - (3) 4=
a×42 より 16a=4 で a=1/4。y=14x2
どれも、はじめの組に戻して確かめてみよう。
5. 身のまわりの「2乗に比例」
2乗に比例する関係は、ものが落ちる場面のほかにも見つかるよ。
| 場面 | x | y | 式 |
|---|---|---|---|
| 正方形の面積 | 1辺の長さ x cm | 面積 y cm² | y=x²(a=1) |
| 円の面積 | 半径 x cm | 面積 y cm² | y=πx²(a=π) |
| 斜面を転がるボール | 時間 x 秒 | 転がった距離 y m | y=ax²(a は斜面の傾きで決まる) |
| 自動車のブレーキ | 速さ 時速 x km | 制動距離(ブレーキがきき始めてから止まるまで)y m | y=ax²(a は車と道路のようすで決まる) |
正方形の1辺が2倍になると、面積は4倍になる。1辺 2 cm の正方形は 4 cm²、1辺 4 cm の正方形は 16 cm² だね。円の面積も、半径が2倍になると4倍になる。半径 3 cm の円は 9π cm²、半径 6 cm の円は 36π cm² で、ちょうど4倍。同じ厚さのピザなら、直径が2倍になると、食べられる量は4倍になるんだ。
円の面積の式 y=πx² では、比例定数 a が π(およそ 3.14)になっている。a は整数や分数だけでなく、π のような数になることもあるんだね。
反対に、2乗に比例しない例もあるよ。たて 3 cm、横 x cm の長方形の面積 y cm² は y=
斜面・ブレーキの場面は、解説6 でくわしく考えるよ。
まとめ
- y が x の関数で、y=
ax2 (a≠0)と表されるとき、y は x の2乗に比例するという。a を比例定数という。 - x が2倍、3倍、4倍…になると、y は 2²倍、3²倍、4²倍…(4倍、9倍、16倍…)になる。
- x≠0 のとき、y÷x² はいつも a。1組の x・y を入れれば a が決まる。
- 負の数を入れるときは (-3)² のようにかっこをつける。(-3)²=9、-3²=-9。
どう考えた?
y が x の2乗に比例するかどうかを、表から判断するには、どうすればいいかな。落ちるボールの表を例にして説明してみよう。
説明の例を見る
x が2倍、3倍になったときに、y が4倍、9倍になっているかを調べる。または、x が 0 でない所で y÷x² を計算して、いつも同じ数になるかを調べる。落ちるボールの表では、5÷1²、20÷2²、45÷3²、80÷4² がどれも 5 になるので、y は x の2乗に比例していて、y=5x² と表せる。
数学ではどう考える?
数学では、次のように考えるよ。
- 関数 y=
ax2 の a は 0 でない定数。a=0 だと、どんな x でも y=0 になってしまうので、「2乗に比例する」とはいわない。 - x が □ 倍になると y が □² 倍になる理由:x のかわりに □×x を入れると、a×(□×x)²=□²×(a×x²)。だから y は □² 倍になる。□ は正の数でも負の数でも分数でもよい。たとえば x が -1 倍(符号だけ反対)になると、y は (-1)²=1 倍、つまり変わらない。
- x≠0 のとき y÷x²=a。x=0 のときは y=0 で、0 でわることはできないけれど、y=a×0² は成り立っている。
- x² をひとまとまりの量と見て X とおくと、y=aX。つまり y は x² に「比例」している。「2乗に比例する」という名前は、ここからきているよ。
- 落ちる距離:空気の影響を考えないとき、落ちはじめてから x 秒間に落ちる距離は、およそ 4.9x² m になる。4秒間なら 4.9×16=78.4 で、およそ 78 m。この単元の「5」は、4.9 を使いやすくした数なので「およそ」とつけている。落ちる距離が時間の2乗に比例することは、ガリレオ・ガリレイが斜面を転がる球の実験で調べたといわれているよ。
次は、y=ax² の問題をいつも同じ順番で解く「7つの段階」を見ていこう。出発点は「y=
この解説で、できるようになったこと
- y が x の2乗に比例するとき、y=ax² と表せることを説明できる
- x が2倍・3倍になると y が4倍・9倍になる理由を説明できる
- 表から y÷x² を調べて、2乗に比例するかを判断できる