解説 2 /全7
7つの段階:y=ax² とおく
1秒でおよそ 5 m 落ちる。
4秒では、何 m 落ちる?
解説1 で、落ちる距離は時間の2乗に比例することを見たね。表を4秒まで書きつづけてもいいけれど、10秒、20秒となると大変。こういうときは、x と y の関係を式にしてしまおう。
関数 y=ax² の問題は、いつも同じ順番で考えるよ。問題が変わっても、順番と言葉は変わらない。
- 図:わかっている数と、求める「?」を表や図にする
- おく:x と y が何の量かを1文で書き、y=
ax2 とおく - 入れる:わかっている x と y の組を代入する
- 求める:a についての方程式を解く
- 式にする:求めた a を戻して、関係を式にする
- 使う:式に x(や y)を入れて、聞かれた数を求める
- 確かめる:はじめの組や場面に戻して確かめ、問いに答える
中1で「y=
ボールを静かに落とすと、落ちはじめてから1秒間におよそ 5 m 落ちます。落ちる距離は、落ちはじめてからの時間の2乗に比例するものとします(空気の影響は考えません)。落ちはじめてから4秒間では、およそ何 m 落ちますか。
1. 図
まず、わかっている数と、求める「?」を表にしよう。まだ x や式は使わないよ。
時間と落ちた距離は、ともなって変わる2つの量。時間を決めると、落ちた距離がただ1つに決まるから、距離は時間の関数だね。わかっているのは「1秒でおよそ 5 m」の1組だけ。求めるのは「4秒のときの距離」。
表を見て、「4秒は1秒の4倍だから、5×4=20 m」としたくなったら、ちょっと待って。それは比例のときの考え方だよ。問題文をもう一度読もう。「時間の2乗に比例する」と書いてあるね。図の段階では、答えを急がずに、「何がわかっていて、何を求めるのか」と「問題文に書いてある関係」を確かめるんだ。
2. おく
x と y が何の量かを1文で書いて、関係の形を決めよう。
落ちはじめてからの時間を x 秒、落ちた距離を y m とする。
次に、x と y の関係の形を決める。どの形でおけばいいかな。
予想x が2倍になると y が4倍、x が3倍になると y が9倍になる関係。どの形でおく?
距離は時間の2乗に比例する(問題文)から、y=
ここがいちばん大事なところ! a は「まだわからない数」だよ。1次方程式で、わからない数を x とおいたのと同じ。ここでは、わからないのは比例定数 a なんだ。
「2乗に比例する」と書いていなくても、表で「x が2倍になると y が4倍」「y÷x² が一定」になっていれば、y=
x と y を決める1文も大切。「時間を x、距離を y」と決めたから、次の「入れる」で、x には時間、y には距離を入れる。この1文があると、あとで迷わないよ。
3. 入れる
わかっている x と y の組を、おいた式に代入しよう。
x=1 のとき y=5 だから、y=
5=
x² の計算を先にしよう。1²=1 だから、5=
x と y を逆に入れないように気をつけよう。y=5 の方が「距離」、x=1 の方が「時間」だったね(「2. おく」の1文を見よう)。逆に入れると 1=
4. 求める
a についての方程式を解こう。この例題では、x² の値が 1 なので、そのまま
a=
a=5 は、「1秒間に落ちる距離(およそ 5 m)」そのものだね。x=1 を入れると y=a×1²=a になるので、x=1 のときの y の値が a になる。これは y=ax でも y=ax² でも同じだよ。
もし「2秒間でおよそ 20 m」という組がわかっていたら、20=
ここで、x² でわるところを x でわってしまう人が多いよ。比例のときの「a=y÷x」のくせが出てしまうんだね。20÷2=10 としてしまうと、a がちがってしまう。y=ax² では、a=y÷x² だよ。
5. 式にする
求めた a を、おいた式に戻そう。
a=5 を y=
y=
これで、時間と距離の関係が1つの式になった。何秒でも、この式に入れれば距離がわかるよ。グラフでも見ておこう(グラフのくわしいことは 解説3 で学ぶよ)。
- わかっているのは、x=1 のとき y=5。座標でいうと、点 (1, 5) だね。
- a=5 がわかったので、y=
5x2 のグラフがかける。点 (1, 5) を通り、右へ行くほど急に上がる曲線だよ。 - x=4 のとき y=80。グラフも点 (4, 80) を通っている。
予想y=
6. 使う
聞かれているのは、4秒間に落ちる距離。y=
y=
2乗を先に計算するのがポイント。5×4 を先に計算して 20²=400 としたり、4² を 4×2=8 としたりしないように気をつけよう。計算の順番は「累乗が先、かけ算があと」だよ。
表を4秒まで書かなくても、1行で求められたね。これが「式にする」よさだよ。3.5秒のような半端な時間でも、5×3.52=
7. 確かめる
はじめの組に戻して、式が合っているか確かめよう。
x=1 を y=
場面にも戻そう。 4秒は1秒の4倍。2乗に比例するなら、距離は 4²=16倍になるはず。およそ 5 m の16倍で、およそ 80 m。式で求めた答えと合っているね。もし比例のつもりで 20 m と答えていたら、ここで「4倍ではなく16倍のはず」と気づけるよ。
答えの大きさも考えよう。1秒でおよそ 5 m、2秒でおよそ 20 m、3秒でおよそ 45 m と、落ちる距離はどんどんのびていくので、4秒でおよそ 80 m は、表の流れとも合っている。最後に、問いに答える文を書こう。問題文が「およそ何 m」と聞いているので、答えにも「およそ」をつけるよ。
答え およそ 80 m
発見x と y の関係を y=
この例題でよくあるまちがいを、段階ごとに3つ見ておこう。
- おく のまちがい:比例と考えて、5×4=20 m とする。→ 問題文の「2乗に比例」を読み直そう。
- 求める のまちがい:「2秒で 20 m」から a を出すとき、20÷2=10 とする。→ y=ax² では a=y÷x²。20÷4=5 だよ。
- 使う のまちがい:5×4² を (5×4)²=400 とする。→ 2乗するのは x だけ。4²=16 を先に計算しよう。
どれも「確かめる」で、はじめの組に戻したり、場面の大きさを考えたりすれば気づけるよ。
y から x を求めるとき
こんどは反対に、「距離から時間」を求めてみよう。同じ7つの段階で進むよ。
例題2 同じようにボールを落とすとき、45 m 落ちるのは、落ちはじめてからおよそ何秒後ですか。
図・おく・入れる・求める・式にする は、さっきと同じ。時間を x 秒、距離を y m として、式は y=
使う:こんどは y=45 を代入して、x を求める。
45=
両辺を 5 でわると、x2=
式 y=
- x が 0、1、2、3 のとき、y は 0、5、20、45。
- 式 y=
5x2 には、負の数も入れられる。5×(-3)²=5×9=45、5×(-2)²=20、5×(-1)²=5。 - y=45 になる x は、3 と -3 の2つ。y から x を求めると、x が2つ出てくることがある。
予想y=
確かめる(場面に戻す):x は「落ちはじめてからの時間」だから、負の数にはならない。x=-3 は「落とす3秒前」という意味になってしまい、この場面には合わないね。だから x>0 の方を選んで、x=3。
x=3 を戻すと 5×32=
答え およそ3秒後
ポイントy から x を求めると、x が2つ出てくることがある(x²=9 なら x=3、-3)。場面の問題では、x>0 など、場面に合う方を選び、選んだ理由も書こう。
x=-3 は「計算のまちがい」ではなく、「式としては正しいけれど、場面に合わない」から選ばないんだ。答案には、「x は時間なので x>0。よって x=3」のように、選んだ理由もいっしょに書こう。反対に、グラフの上の点を求める問題のように x が負の数でもよいときは、2つとも答えになるよ(解説6)。
やってみよう
同じようにボールを落とすとき、次の問いに7つの段階で答えよう(空気の影響は考えない)。答えは下にあるよ。
- (1) 2.5秒間では、およそ何 m 落ちる?
- (2) およそ 125 m 落ちるのは、落ちはじめてから何秒後?
答え
- (1) 5×2.52=
31.25 で、およそ 31 m。 - (2) 125=
5x2 より x²=25 で、x=5、x=-5。x は時間なので x>0 を選んで、およそ5秒後。
どちらも、式 y=
自分でやってみよう
この例題は、問題集の y=ax² の場面 001 にあるよ。「ヒントをひとつずつ見る」を選ぶと、7つの段階を1つずつ開きながら進められる。
答えが出たら、次の3つを自分に聞いてみてね。
- なぜ y=
ax2 とおいてよいと言えるのか - はじめの組に戻すと、本当に合っているか
- x が2つ出てきたとき、どちらを選んだか、なぜ選んだか
どう考えた?
y=ax² の問題で「y=ax² とおく」とき、a は何を表しているかな。この例題の場面の言葉で説明してみよう。
説明の例を見る
a は「x が 1 のときの y の値」。この例題では、落ちはじめてから1秒間に落ちる距離(およそ 5 m)を表している。y=ax² に x=1 を入れると y=a×1²=a になるからだ。また、x が 0 でないとき、a は y÷x² の値でもある。
数学ではどう考える?
数学では、次のように考えるよ。
- 「y=
ax2 とおく」とは、「y は x の2乗に比例する」という関係を、まだわからない定数 a を使って式に表すこと。 - x≠0 のとき、y÷x² の値はいつも a なので、1組の x・y(x≠0)がわかれば、a=y÷x² で a がただ1つに決まる。x=0、y=0 の組は、どんな a でも成り立つので、a を決めるのには使えない。
- y から x を求めると、x²=(ある数)の形になる。その数が正の数なら、x は正と負の2つ(9 なら 3 と -3)。0 なら x=0 の1つだけ。負の数なら(たとえば 5x2=
-20 で x²=-4)、2乗して負の数になる数はないので、あてはまる x はない。 - この問題集では、x が整数や分数になるように数を選んでいる。x²=5 のような場合は、x=√5、-√5(中3の「平方根」)になるよ。
- 「確かめる」で、はじめの組を式に入れて成り立つことを確かめるのは、「求めた a を使った式が、問題の条件を満たしている」ことを確かめているんだよ。場面に戻すのは、「式の答え」の中から「問題の答え」を選ぶためなんだ。
この解説で、できるようになったこと
- 問題を7つの段階の順に解ける
- 「y=ax² とおく」ことの意味を説明できる
- y から x を求めるとき、x が2つあることに気をつけて、場面に合う方を選べる