解説 7 /全7
いろいろな関数
式で表せなくても、
関数といえる?
比例、反比例、1次関数、y=ax²。4つの関数を学んできたね。でも、世の中の「ともなって変わる量」は、いつもこんな式で表せるのかな?
1. 階段のようなグラフ
ある駐車場の料金は、次のように決まっているとしよう(この単元で考えるために決めた料金だよ)。
- とめた時間が1時間以内なら 200 円
- 1時間をこえて2時間以内なら 400 円
- 2時間をこえて3時間以内なら 600 円
- 3時間をこえて4時間以内なら 800 円(4時間までとめられる)
とめた時間を x 時間、料金を y 円とする。x を決めると、y はただ1つに決まるね。だから、y は x の関数だよ。グラフにしてみよう。
- とめた時間が1時間以内(0<x≦1)なら 200 円。ちょうど1時間は 200 円なので ●(ふくむ)、0時間はとめていないので ○(ふくまない)。
- 1時間をこえて2時間以内(1<x≦2)なら 400 円。x=1 のところは 400 円ではないので ○。
- 2時間をこえて3時間以内なら 600 円。
- 3時間をこえて4時間以内なら 800 円。グラフは、階段のような形になる。
予想1時間30分(x=1.5)とめると、料金はいくら?
発見グラフは、水平な線分が階段のようにならんだ形になる。x を決めると y はただ1つに決まるので、y は x の関数である。
線分のはしの ● は「その点をふくむ」、○ は「その点をふくまない」という印だよ。x=1(ちょうど1時間)のとき、料金は 200 円。だから、x=1 の所では、200 円の線分の右はしが ●、400 円の線分の左はしが ○ になる。もし両方とも ● にすると、x=1 のとき y が 200 と 400 の2つになってしまい、「ただ1つに決まる」がくずれてしまうね。
表にすると、次のようになるよ。
| とめた時間 x(時間) | 料金 y(円) |
|---|---|
| 0<x≦1 | 200 |
| 1<x≦2 | 400 |
| 2<x≦3 | 600 |
| 3<x≦4 | 800 |
この関数では、y がとる値は 200、400、600、800 の4つだけ。とびとびの値で、300 円や 700 円になることはない。x の値は 0 より大きく 4 以下のどんな数でもよいのに、y の値はとびとびになる。これも、比例や1次関数、y=ax² にはなかった特徴だね。
この関数は、y=ax や y=ax² のような、これまでに学んだ1つの式では表せない。x の区間ごとに、y の値を決めているんだ。グラフもまっすぐな直線や、なめらかな曲線ではない。それでも、x を決めると y がただ1つに決まるから、関数だよ。
では、反対に y から x は決まるかな。
予想料金 y が 400 円だったとき、とめた時間 x はただ1つに決まる?
料金が 400 円でも、とめた時間は1時間10分かもしれないし、1時間50分かもしれない。y を決めても x はただ1つに決まらないので、「x は y の関数」とはいえない。どちらの量をもとにするかで、関数といえるかどうかが変わるんだ。
郵便料金や宅配便の料金、タクシーの料金なども、重さや距離の区切りごとに料金が決まっていることが多い。グラフにすると、同じように階段の形になるよ。実際の料金はときどき変わるので、調べるときは、その時点の料金表を見よう。
2. これまでの式では表しにくい関数
関数かどうかを決めるのは、「x を決めると y がただ1つに決まるか」だけ。式で表せるかどうかは関係ないんだ。次の表を見てみよう。自然数 x の約数が何個あるかを y とするよ。
- 1 の約数は 1 だけで1個。2 は 1、2 で2個。3 は 1、3 で2個。4 は 1、2、4 で3個。
- 5 は 1、5 で2個。6 は 1、2、3、6 で4個。
- 7 は 1、7 で2個。y=2 になる x は 2、3、5、7 と、いくつもある(素数だね)。
予想6 の約数の個数 y は?
発見自然数 x の約数の個数 y は、x を決めるとただ1つに決まるので、y は x の関数。でも、y を x の式で表すのはむずかしい。
x が 1、2、3、… と増えても、y は 1、2、2、3、2、4、2 と、増えたり減ったりする。比例や1次関数のような、決まった増え方はない。それに、y=2 になる x は 2、3、5、7、… といくつもある。約数が 1 とその数自身だけの数、つまり素数だね。
ほかにも、次のようなものは関数だよ。
- ある日のある場所で、時刻 x 時の気温 y ℃。時刻を決めると気温は1つ。でも、これまでの式では表しにくい。
- 円周率 3.14159… の、小数第 x 位の数字 y。x=1 なら 1、x=2 なら 4、x=3 なら 1、x=4 なら 5。x を決めると y は1つに決まるけれど、中学校で学んだ形の式では表せない。
反対に、関数でないものもある。
予想次のうち、y が x の関数でないものはどれ?
自然数 x の倍数 y は、x=3 なら 3、6、9、… といくつもある。x を決めても y がただ1つに決まらないから、関数ではないね。中1で見た「身長 x cm の人の体重 y kg」も、同じ身長でも体重はいろいろなので、関数ではなかった。
関数を表す方法は、式だけではないんだ。「1時間ごとに 200 円」のようなことば、駐車料金の表、階段のグラフも、どれも同じ関数を表している。式で表せるときは、式がいちばん短く正確に表せる。でも、式で表しにくいときでも、表やグラフやことばで、x と y の対応をはっきり決めれば、関数として調べることができるよ。
やってみよう
次のうち、y が x の関数であるものをすべて選ぼう。答えは下にあるよ。
- ア 1辺が x cm の正方形の周の長さ y cm
- イ x 才の人の身長 y cm
- ウ x 円持っていて、1冊 120 円のノートをできるだけ多く買うときの冊数 y 冊
- エ 絶対値が x になる数 y
答え アとウ。
アは y=
3. 4つの関数をくらべよう
中1から中3までに学んだ4つの関数を、グラフでならべてみよう。まずは、グラフが直線になる2つ。
- 比例 y=
2x 。原点を通る直線。x が1増えると、y はいつも 2 増える。 - 1次関数 y=
-x+ 。y 軸と (0, 3) で交わる直線。x が1増えると、y はいつも 1 減る。3
予想1次関数 y=
次は、グラフが曲線になる2つ。
- 反比例 y=
-6x 。x=0 のところで切れた、2つのなめらかな曲線(双曲線)。 - 関数 y=
12x2 。原点を頂点とし、y 軸について対称な放物線。
予想反比例 y=
発見比例と1次関数のグラフは直線で、変化の割合は一定。反比例と y=ax² のグラフは曲線で、変化の割合は一定ではない。
表にまとめると、次のようになるよ。
| グラフ | 変化の割合 | x が2倍になると | |
|---|---|---|---|
| 比例 y=ax | 原点を通る直線 | 一定(a) | y も2倍 |
| 反比例 y=a/x | 双曲線 | 一定ではない | y は 1/2 倍 |
| 1次関数 y=ax+b | 直線 | 一定(a) | 決まった倍にはならない(b≠0 のとき) |
| 関数 y=ax² | 原点を頂点とする放物線 | 一定ではない | y は4倍 |
どの関数でも、まず形を決めて「おく」。比例なら y=
形を見分けるには、表を見るのが近道だよ。
- x が2倍になると y も2倍 → 比例(y÷x が一定)
- x が2倍になると y が 1/2 倍 → 反比例(x×y が一定)
- x が1増えるごとに y が同じだけ増える → 1次関数(変化の割合が一定)
- x が2倍になると y が4倍 → 関数 y=ax²(y÷x² が一定)
- どれにもあてはまらない → ほかの関数か、関数でない関係
例題1 次の表の x と y の関係は、4つの関数のどれですか。式で表しなさい。
x:1、2、3、4 y:-3、-12、-27、-48
- 図:表を横に見ると、x が 1 から 2 へ2倍になると、y は -3 から -12 へ4倍。x が 1 から 3 へ3倍になると、y は -3 から -27 へ9倍。
- おく:x が2倍で y が4倍、3倍で9倍だから、y は x の2乗に比例する。y=
ax2 とおく。 - 入れる・求める:x=1、y=-3 を入れて -3=
a×12 で a=-3。 - 式にする:y=
-3x2 - 確かめる:x=4 のとき -3×42=
-48 。表と合っているね。y÷x² も、どれも -3 になっている。
答え 関数 y=ax²(y は x の2乗に比例する)、y=
a が負の数なので、x が2倍になっても y は「-3 の4倍の -12」になる。符号はそのままで、絶対値が4倍になっているね。表を横に見るときは、符号も数に入れて何倍かを計算しよう。
もう1つ、別の表でも見分けてみよう。x:0、1、2、3 のとき、y:1、4、7、10 だとする。x が1増えるごとに、y はいつも 3 増えている。x=0 のとき y=1 で 0 ではないので、比例ではなく1次関数。変化の割合 3、x=0 のときの y が 1 だから、y=
例題2 次の表の x と y の関係は、4つの関数のどれですか。式で表しなさい。
x:1、2、3、6 y:6、3、2、1
- 図:表を横に見ると、x が 1 から 2 へ2倍になると、y は 6 から 3 へ 1/2 倍。x が 1 から 3 へ3倍になると、y は 6 から 2 へ 1/3 倍。
- おく:x が2倍で y が 1/2 倍、3倍で 1/3 倍だから、反比例。y=
ax とおく。 - 入れる・求める:x=1、y=6 を入れて 6=
a1 で a=6。 - 式にする:y=
6x - 確かめる:x=6 のとき 66=
1 。表と合っているね。x×y も、どれも 6 になっている。
答え 反比例、y=
y がだんだん小さくなるからといって、それだけで形は決まらない。y=-x+7 のような1次関数でも、x=1 で 6、x=2 で 5 と、y は小さくなるね。「2倍で4倍」か、「2倍で 1/2 倍」か、「1増えるごとに同じだけ減る」かを、表でしっかり確かめよう。
4つの関数の関係も見ておこう。比例 y=ax は、1次関数 y=ax+b の b が 0 のときだね。だから比例は1次関数の仲間で、どちらもグラフは直線。反比例と y=ax² は、それぞれ別の仲間で、グラフは曲線になる。高校では、y=ax² の仲間(2次関数)を、もっと広く学ぶよ。
まとめ
- x を決めると y がただ1つ決まるとき、y は x の関数。式で表せるかどうかは関係ない。
- 駐車料金のように、区間ごとに y が決まる関数のグラフは、階段のような形になる。● はふくむ、○ はふくまない。
- 「y は x の関数」でも、「x は y の関数」とは限らない。
- 比例と1次関数のグラフは直線で、変化の割合は一定。反比例と y=ax² のグラフは曲線で、変化の割合は一定ではない。
どう考えた?
身のまわりから、「y は x の関数だけれど、これまでの式では表しにくいもの」を1つ見つけて、なぜ関数といえるのかを説明してみよう。
説明の例を見る
たとえば、ある駐車場の「とめた時間 x 時間」と「料金 y 円」。1時間以内なら 200 円、2時間以内なら 400 円のように、とめた時間を決めると料金はただ1つに決まるので、y は x の関数である。でも、区間ごとに料金が決まるので、y=ax のような1つの式では表しにくい。グラフは階段のような形になる。
数学ではどう考える?
数学では、次のように考えるよ。
- 関数の約束は、「x の値を決めると、y の値がただ1つ決まる」こと。式・表・グラフは、関数を表す方法の1つにすぎない。
- 駐車料金の関数は、「x 以上の整数のうち、いちばん小さいもの」を使うと、y=200×(x 以上の最小の整数)と1つの式にできる。たとえば x=1.5 なら、1.5 以上の最小の整数は 2 で、y=400。高校以降では、こうした関数を記号で表すこともあるよ。だから正しくは、「中学校で学んだ形の式では表せない」関数だね。
- グラフで見分ける方法:関数のグラフは、y 軸に平行な直線と、2つ以上の点で交わることはない。1つの x に2つ以上の y があると、同じたての線の上に2つ以上の点がならぶからだよ。
- 「y は x の関数」でも「x は y の関数」とは限らない。y=x² も、y=4 のとき x=2、-2 の2つがあるので、x は y の関数ではない。x の変域を x≧0 にしぼれば、y を決めると x がただ1つに決まるので、x は y の関数になるよ。
これで、関数 y=ax² の解説はおしまい。はじめの問い「1秒でおよそ 5 m 落ちるボールは、4秒で何 m 落ちる?」は、いまならどう見えるかな。「2乗に比例するから y=
この解説で、できるようになったこと
- 階段状のグラフになる関数を、表とグラフで表せる
- 式で表せなくても、x を決めると y がただ1つ決まれば関数だと説明できる
- これまでの4つの関数を、表・式・グラフの特徴で比べられる