解説 5 /全7
変化の割合
落ちるボールの速さは、
ずっと同じ?
中2の1次関数では、変化の割合はいつも同じだったね。y=ax² では、どうなるかな?
1. 1秒ごとに落ちる距離
解説1 のボールの表を、もう一度見てみよう。落ちはじめてからの時間を x 秒、落ちた距離を y m とすると、およそ y=
- 0秒から1秒までの1秒間に、およそ 5 m 落ちる。
- 1秒から2秒までの1秒間には、20-5=15 で、およそ 15 m。
- 2秒から3秒までの1秒間には、45-20=25 で、およそ 25 m。
- 3秒から4秒までの1秒間には、およそ 35 m。1秒ごとに落ちる距離は、10 m ずつ大きくなっていく。
予想2秒から3秒までの1秒間に、およそ何 m 落ちる?
発見x が1ずつ増えても、y の増え方は 5、15、25、35 とだんだん大きくなる。y=5x² では、y の増え方は一定ではない。
同じ1秒間でも、あとの1秒間ほど、たくさん落ちている。ボールがどんどん速くなっているからだよ。しかも、1秒ごとの距離はおよそ 5、15、25、35 m と、10 m ずつ大きくなっている。これもおもしろい決まりだね(理由は「数学ではどう考える?」で)。
5、15、25、35 は、5×1、5×3、5×5、5×7 と書ける。1秒ごとの距離は、はじめの1秒の 1倍、3倍、5倍、7倍と、奇数の倍になっているんだ。そして 1+3=4、1+3+5=9、1+3+5+7=16。奇数を順にたしていくと、2乗の数 4、9、16 が出てくる。2秒間の合計が1秒間の4倍、3秒間の合計が9倍になるのは、このためだよ。
1次関数 y=
2. 変化の割合を求めよう
中2で学んだ 変化の割合 を思い出そう。
変化の割合=(y の増加量)÷(x の増加量)
1次関数 y=
- x が 1 から 2 まで1増えると、y は 1 から 4 まで3増える。変化の割合は 3÷1=3。
- x が 2 から 3 まで1増えると、y は 4 から 9 まで5増える。変化の割合は 5÷1=5。同じ1でも、y の増え方がちがう。
- x が 1 から 3 まで2増えると、y は 1 から 9 まで8増える。変化の割合は 8÷2=4。点線は2つの点を結ぶ直線で、その傾きも 4。
- x が -3 から -2 まで1増えると、y は 9 から 4 へ5減る(増加量は -5)。変化の割合は (-5)÷1=-5。負の数になることもある。
予想x が 2 から 3 まで1増えると、y はいくつ増える?
予想x が -3 から -2 まで増えるときの変化の割合は?
発見y=x² の変化の割合は、x の範囲によって変わる。1 から 2 までは 3、2 から 3 までは 5、1 から 3 までは 4、-3 から -2 までは -5。一定ではない。
x の増加量が同じ1でも、x が 1 から 2 のときと 2 から 3 のときで、y の増加量はちがう。グラフが曲線だから、場所によって傾きぐあいがちがうんだ。
変化の割合を計算するときは、増加量を「あと-まえ」で求めよう。x が 1 から 3 まで増えるとき、
- x の増加量:3-
1= 2 - y の増加量:32-
12= 9- 1= 8 - 変化の割合:8÷2=
4
変化の割合 4 は、グラフの上の2点 (1, 1) と (3, 9) を結んだ直線の傾きになっているよ(図の点線)。1次関数で学んだ「傾き」と、同じ意味だね。y=ax² の変化の割合は、「グラフの上の2点を結んだ直線の傾き」と考えることができるんだ。
x が負の数の所では、どうなるかな。x が -3 から -2 まで増えるとき、y は 9 から 4 へ減る。y の増加量は「あと-まえ」で 4-
では、a が 1 でないときも確かめてみよう。
予想y=
ポイントy=ax² の変化の割合は一定ではない。x がどこからどこまで増えるかによって変わるので、いつも「x が □ から □ まで増えるとき」と範囲を決めて計算する。「変化の割合は a」は1次関数の決まりで、y=ax² では使えない。
3. 1次関数とくらべよう
1次関数 y=
1次関数 y=2x+1 では、x が1増えると y はいつも 2 増える。変化の割合はどこでも 2 で、グラフはまっすぐな直線。y=x² では、x が1増えるごとの y の増加量が 1、3、5、7 と変わっていき、グラフは曲がっていく。
a の符号と x の範囲で、変化の割合の符号がどうなるかも見ておこう。y=x²(a>0)では、
- x が正の数の所で増えるとき(たとえば 1 から 3):y も増えるので、変化の割合は正の数。
- x が負の数の所で増えるとき(たとえば -3 から -2):y は減るので、変化の割合は負の数。
- x が -2 から 2 まで増えるとき:y は 4 から 4 で、増加量は 0。変化の割合は 0。
a<0 のときは、正と負が反対になる。1次関数では、変化の割合の符号は a の符号だけで決まったけれど、y=ax² では x の範囲でも変わるんだ。
例題1 y=
- x=1 のとき y=
-2×12= 、x=3 のとき y=-2 -2×32= 。-18 - x の増加量は 3-
1= 、y の増加量は -18-2 (-2)= 。-16 - 変化の割合は -16÷2=
-8 。
答え -8
a<0 なので、x が正の数の所で増えると、y は減る。変化の割合が負の数になるのは、グラフの右半分が右下がりだからだね。y の増加量を計算するとき、-18-(-2) のひき算で符号をまちがえやすいので、かっこをつけて計算しよう。
変化の割合を求める手順は、いつも同じだよ。
- x がどこからどこまで増えるかを確かめ、その2つの x を式に入れて y を求める。
- x の増加量と y の増加量を、どちらも「あと-まえ」で求める。
- (y の増加量)÷(x の増加量)を計算する。
- 符号が、グラフの向き(右上がりか右下がりか)と合っているか確かめる。
4. 平均の速さ
落ちるボールの話にもどろう。「2秒後から4秒後までに、ボールは平均して秒速何 m で落ちたか」を考えるよ。
小学校で学んだ速さは、(道のり)÷(時間)だったね。2秒後から4秒後までに進んだ道のり(落ちた距離)は、y の増加量。かかった時間は、x の増加量。だから、
平均の速さ=(y の増加量)÷(x の増加量)=変化の割合
時間と距離の関係では、変化の割合は、その間の 平均の速さ を表しているんだ。
2秒後から4秒後までの平均の速さは、
- x の増加量:4-
2= (秒)2 - y の増加量:5×42-
5×22= (m)80- 20= 60 - 平均の速さ:60÷2=
30 で、秒速およそ 30 m
1秒ごとの表でも見てみよう。0秒から1秒までの平均の速さは秒速およそ 5 m、1秒から2秒までは秒速およそ 15 m、2秒から3秒までは秒速およそ 25 m、3秒から4秒までは秒速およそ 35 m。ボールはどんどん速くなっているね。変化の割合が一定でないことは、「速さが変わっていく」ことを表しているんだ。
しかも、1秒ごとの平均の速さは 5、15、25、35 と、いつも秒速 10 m ずつ増えている。落ちるボールは、1秒ごとにおよそ秒速 10 m ずつ速くなっていく、ということだね(空気の影響を考えないとき。くわしくは秒速 9.8 m ずつ)。速さの増え方は一定で、距離の増え方は一定ではない。この2つを区別しておこう。
「平均の」とつけるのは、その間ずっとその速さで落ちたわけではないからだよ。2秒後から4秒後までの間、ボールは秒速およそ 30 m よりおそいときも速いときもあった。平らにならすと秒速およそ 30 m になる、という意味なんだ。
では、「ちょうど4秒後の速さ」はどう考えればいいだろう。時間の範囲をせまくしていくと、平均の速さは、その時刻の速さに近づいていく。3秒後から4秒後までなら、(80-45)÷1=35 で秒速およそ 35 m。3.9秒後から4秒後までなら、3.9秒で 5×3.9²=76.05 m 落ちているので、(80-76.05)÷0.1=39.5 で秒速およそ 39.5 m。範囲をせまくするほど、秒速 40 m に近づいていくよ。4秒後のボールは、およそ秒速 40 m で落ちているんだ。
例題を7つの段階で解いてみよう。
例題2 ゆるやかな斜面の上にボールを置いて、静かに手をはなします。転がりはじめてから x 秒間に転がる距離を y m とすると、y は x の2乗に比例し、2秒間で 2 m 転がりました。転がりはじめて2秒後から4秒後までの平均の速さを求めなさい。
- おく:時間を x 秒、距離を y m とする。距離は時間の2乗に比例するから、y=
ax2 とおく。 - 入れる:2=
a×22 、つまり 2=4a 。 - 求める:a=
2÷4= 12 - 式にする:y=
12x2 - 使う:x=2 のとき y=2、x=4 のとき y=
12×42= 。平均の速さは (8-8 2)÷(4- 。2)= 6÷2= 3 - 確かめる:2秒後から4秒後までの2秒間に、2 m の所から 8 m の所まで 6 m 進んだ。6÷2=3 で、秒速 3 m。はじめの2秒間の平均の速さ(2÷2=1 で秒速 1 m)より速い。だんだん速くなる場面と合っているね。
答え 秒速 3 m
やってみよう
次の変化の割合を求めよう。答えは下にあるよ。
- (1) y=
3x2 で、x が 1 から 2 まで増えるとき - (2) y=
x2 で、x が -4 から -1 まで増えるとき - (3) y=
12x2 で、x が -2 から 4 まで増えるとき
答え
- (1) (12-3)÷(2-1)=9
- (2) (1-16)÷{(-1)-(-4)}=(-15)÷3=-5
- (3) (8-2)÷{4-(-2)}=6÷6=1
まとめ
- 変化の割合=(y の増加量)÷(x の増加量)。求め方は1次関数と同じ。
- y=ax² の変化の割合は一定ではなく、x の範囲によって変わる。
- 変化の割合は、グラフの上の2点を結ぶ直線の傾き。
- 時間と距離の関係では、変化の割合は平均の速さを表す。
どう考えた?
「y=ax² の変化の割合は a」と考えた友だちに、それがいつも正しいわけではないことを、例を使って説明してみよう。
説明の例を見る
たとえば y=x²(a=1)で、x が 1 から 2 まで増えるときの変化の割合は (4-1)÷(2-1)=3、x が 2 から 3 まで増えるときは (9-4)÷(3-2)=5 で、どちらも a=1 ではない。しかも、範囲によって値が変わる。「変化の割合は a」は、グラフが直線になる1次関数 y=ax+b のときの決まりで、グラフが曲線になる y=ax² には使えない。
数学ではどう考える?
数学では、次のように考えるよ。
- y=ax² で、x が p から q まで増えるとき(p≠q)の変化の割合は、(aq²-ap²)÷(q-p)。ここで aq²-ap²=a(q²-p²)=a(q+p)(q-p) と因数分解できるので、q-p でわって、変化の割合=a(p+q) になる。
- 例:y=x² で x が 1 から 3 まで → 1×(1+3)=4。y=2x² で x が 1 から 3 まで → 2×(1+3)=8。y=x² で x が -3 から -2 まで → 1×{(-3)+(-2)}=-5。どれも、表やグラフで求めた値と合うね。
- p と q が 0 をはさんで反対の数(q=-p)なら、変化の割合は 0。グラフの上の2点が、同じ高さにあるからだよ。
- 落ちるボール y=5x² で、x が p から p+1 まで(1秒間)の変化の割合は 5{p+(p+1)}=10p+5。p が1増えるごとに 10 ずつ大きくなる。1秒ごとの距離が 10 m ずつのびていたのは、このためだよ。
- 範囲をどんどんせまくしていくと、変化の割合は、その瞬間の速さに近づいていく。y=5x² で x が 4 から q まで増えるときの変化の割合は 5(4+q)。q を 4 に近づけると、40 に近づく。これが4秒後の瞬間の速さ(秒速およそ 40 m)。高校で学ぶ「微分」は、この考えを使っているよ。
次は、y=ax² を身のまわりの場面や、放物線と直線の問題で使ってみよう。
この解説で、できるようになったこと
- y=ax² の変化の割合を求められる
- 変化の割合が一定でないことを、表とグラフで説明できる
- 変化の割合を平均の速さとして読める