大石浩之の数学ノート · 関数

この記事の単元:関数 y=ax²(④関数)

制動距離の求め方、速度2倍で距離は何倍?

· 8分で読める · 中学生向け

秋の夕暮れの住宅街で、歩道にいる中学生と道路を走る黄色い車、手前のノートの曲線を描いた生成イラスト。正確な制動距離の数値は本文図で示す。
記事内容をもとに生成したイメージ。実在の場所や事故の記録ではありません。ノートの曲線はイメージで、正確な数値は本文図で示します。

Q. 速度が2倍になると、制動距離も2倍になる?

同じ条件で制動距離が速度の2乗に比例するモデルでは、速度2倍で制動距離は4倍です。速度をx、制動距離をyとしてy=ax²とおき、分かっている1組からaを求めます。今回は架空の20km/h・4mで練習します。空走距離を含む停止距離全体が4倍になるわけではありません。

夕方の帰り道で、車が近づいてくる。「速度が2倍なら、止まるまでの距離も2倍かな」。距離を頭の中だけで見積もる前に、ブレーキが利いてから進む部分を、数学の表と式で考えてみよう。

大石浩之(磐田市/不動産業)です。私は、数学で出した数字を、暮らしの判断へ戻すところまで伝えたいと考えています。今回は中3の「関数y=ax²」を使います。中1の比例を学んだ人も、まず表の倍率から読めます。資料の確認日は2026年10月19日です。

1. 制動距離は、ブレーキが利き始めてから測る

制動距離は、ブレーキが利き始めてから車が停止するまでに進む距離です。危険に気づいた場所からの距離とは、区切りが違います。気づいてからブレーキが利き始めるまでに進む部分は、空走距離と呼びます。

空走距離と制動距離を足したものが、停止距離です。「止まる距離」とだけ書くと、どちらを指すかが曖昧になります。今回求めるyは制動距離に限定します。速度を変えたときの倍率も、まずこの部分について調べます。

危険に気づく、ブレーキが利き始める、停止するという三つの時点。最初の区間が空走距離、次が制動距離、二つを合わせた区間が停止距離。区間の幅は実際の距離の比を表さない模式図。
距離の名前は、測り始める位置と終える位置で区別します。模式図であり、横幅は距離の比ではありません。

警察庁「薄暮時間帯における死亡事故に係る分析」は、2021〜2025年の死亡事故を集計しています。日の入り前後1時間を薄暮時間帯とし、その死亡事故は10〜12月に最も多く発生すると説明しています。10月の帰り道を考える入口になる資料です。

ただし、この集計に個々の車の制動距離が載っているわけではありません。事故の件数から一人の事故確率を決められない理由は、交通事故の確率と分母の記事で扱いました。ここでは別の問いとして、速度と距離の関係を計算します。

2. 速度と距離の1組から、y=ax²のaを求める

同じ条件で制動距離が速度の2乗に比例するとき、速度をx km/h、制動距離をy mとして、y=ax²と表せます。aは比例定数です。速度と距離の1組が分かれば、aの値を求められます。

日本自動車工業会発行・日本交通安全教育普及協会編集の「原付通学生実技教育実施マニュアル」は、冊子13ページで制動距離が速度の二乗に比例すると説明しています。同じページには路面とタイヤの摩擦係数を含む式もあります。路面などが違えば、同じ係数で計算できるとは限りません。

ここからは学習用の架空の設定です。「条件をそろえた車で、時速20kmの制動距離が4mだった」とします。この4mは資料の実測値ではなく、公的な目安でもありません。現実の車の距離を予測する数字として使わず、式を作る練習に使います。

まずy=ax²に、x=20、y=4を代入します。4=a×20²なので、4=400aです。両辺を400で割ると、a=4÷400=0.01となります。したがって、この学習用モデルの式はy=0.01x²です。

20²は20×20です。「2乗」とは2を掛けることではありません。式に戻して確かめると、0.01×20²=0.01×400=4となり、最初の1組と一致します。式を立てる順序は、関数y=ax²の考え方でも確認できます。

単位も固定します。xに入れる数字はkm/hで表した速度、yの数字はmで表した距離です。20km/hを別の速度の単位へ直してから、同じ0.01をそのまま使うことはできません。係数の数値は、量の関係だけでなく、選んだ単位にも結び付いています。

3. 速度2倍で4倍になる理由を、表とグラフで読む

y=ax²でaが一定なら、xを2倍にするとyは4倍です。2倍にした速度の2乗は、(2x)²=4x²になるからです。増え方は速度そのものへの比例ではなく、速度の2乗への比例です。

架空の式y=0.01x²に、時速20kmと40kmを入れてみます。20km/hでは4m、40km/hでは0.01×40²=16mです。速度の倍率は40÷20=2、距離の倍率は16÷4=4。二つの割り算で、何を何と比べたかまで確かめられます。

学習用モデルy=0.01x²の値。実測の制動距離ではありません。
速度x(km/h)x²制動距離y(m)
000
204004
309009
40160016
60360036
架空の式y=0.01x²を、横軸が速度0から60km/h、縦軸が制動距離0から40mのグラフにした図。20km/hで4m、40km/hで16m、60km/hで36m。速度が2倍で距離4倍、3倍で9倍になる。速度は0以上の範囲を使う。
架空の同条件モデル。点の位置と曲線の傾き方を、表の値と行き来して読みます。

表の0km/h・0mは、すでに止まっているときのモデル上の対応です。速度の倍率を0との割り算で求めることはできません。倍率を調べるときは、20km/hのような0でない値を基準にします。

時速20kmから30kmへの増加では、距離は4mから9mへ5m増えます。30kmから40kmでは、9mから16mへ7m増えます。同じ10km/hの増加でも、距離の増分は同じではありません。グラフが右上がりの直線にならない理由を、表の隣どうしから読めます。

関数y=ax²のグラフ全体は放物線です。ただし今回のxは速さの数値なので、xが0以上の部分を使います。負の速さを入れて、実在の走行状態に読み替えることはしません。点の置き方は、放物線のグラフの章で練習できます。

4. 計算した16mを、そのまま横断の判断に使わない

制動距離のモデルは、条件をそろえたときの倍率を説明できます。一方、実際の停止位置を決めるには、路面やタイヤ、車両の状態、ブレーキ操作、勾配、空走する時間なども関わります。架空の式だけで、目の前の車が止まれる位置は決まりません。

資料の良い点は、速度の違いを距離の違いへ結び付け、路面の摩擦係数も式の中で示していることです。私が読み手として付け加えたいのは、計算欄の隣に「同じにした条件」を書くことです。正しい掛け算でも、別の条件へ移せば、現実への当てはめ方を見直す必要があります。

私はこう考えます。数字を出す前に、どこからどこまでの距離かを決めたい。制動距離を求めたのに、危険に気づいてからの停止距離だと思えば、判断の材料がずれます。不動産の費用でも、どこまでを合計した数字かを確かめます。ここも、数える範囲を先に決める姿勢で読みたいのです。

私は、倍率を知るだけで帰り道の不安がなくなる、とまでは言えないと迷います。歩行者から、タイヤや路面の条件を全部見分けるのは難しいからです。それでも「速度が2倍でも距離は2倍で済む」と思い込まず、計算で言える範囲を知ることには意味があると考えます。これは私の意見で、事故現場での体験談ではありません。

また、制動距離の4倍を、停止距離全体の4倍と読むこともできません。同じ反応時間なら、空走距離は速度に比例して2倍になります。比例する部分と2乗に比例する部分を足すので、全体を一律に4倍にはできないのです。

この違いも、架空の数で確認できます。20km/hで空走距離が5m、制動距離が4mなら、停止距離は5+4=9mです。同じ反応時間で40km/hにすると、空走距離は10m、制動距離は16mとなり、合計26mです。9mの4倍である36mとは一致しません。この5mも説明用の設定です。

二つの区間を別の色で書けば、足す前にそれぞれの増え方が見えます。「4倍」という答えだけを覚えるより、何が4倍になるのかを言葉で添えるほうが、別の問いでも使えます。式を読むときも、xとyの名前を省かずに確かめたいところです。

5. 今日の確認は、条件を添えた紙上計算にする

今日試せるのは、紙の上で速度を変え、表・式・グラフが一致するかを確かめることです。車や自転車を走らせて制動距離を測る必要はありません。学習用の架空の式と、現実の交通場面の判断を区別して取り組めます。

たとえば時速20kmを半分の10kmにすると、式では0.01×10²=1mです。4mの半分ではなく、4分の1になります。速度の倍率が1/2なら、その2乗は1/4。先に倍率で予想し、次に式へ代入すると、別の道筋で同じ答えを確認できます。

書き終えたら、表の上に「同じ条件、学習用の架空の例、制動距離だけ」と一行足します。場面から式を作って使う練習は、関数y=ax²を使う章につながります。計算結果の隣に仮定を残すことが、数字を使う練習になります。

帰る時刻を考えるなら、日没の表も別に確認できます。10月の日の入りの変化を考える記事は、場所と日付をそろえて読む例です。距離の計算と時刻の確認を、一つの数字で済ませず、必要な材料をそれぞれ揃えます。

本記事は数学の学習用です。式や数値は車両ごとの性能や安全な横断を保証しません。交通の案内や資料は更新され得るため、実際の行動では信号・交通ルールを守り、周囲を確認してください。車両の性能や制動の個別判断は、メーカーや整備の専門家に確認してください。

よくある疑問

停止距離も、速度が2倍なら4倍ですか?

停止距離全体を一律に4倍にはできません。停止距離は空走距離と制動距離の合計です。同じ反応時間なら空走距離は速度に比例し、制動距離を2乗に比例するモデルで扱うと、速度2倍でそれぞれ2倍、4倍になります。まず、どこから測った距離かを確かめて区別します。

y=0.01x²は、どの車でも使えますか?

使えません。0.01は、この記事の架空の「20km/hで4m」から求めた係数です。路面やタイヤ、車両などの条件が変われば、同じ係数とは限りません。速度の単位を変えても係数の数値は変わります。実車の停止位置や安全な横断を判断するための式ではありません。

速度を半分にすると、制動距離も半分ですか?

同じ条件でy=ax²と表せるなら、速度が半分のとき制動距離は4分の1です。(1/2)²=1/4となるためです。架空の式y=0.01x²では20km/hで4m、10km/hで1mになります。空走距離を含む停止距離全体や、条件の異なる車の実測値には、そのまま当てはめられません。

参考にした一次資料

資料確認日:2026-10-19。例題の金額・人数・場面は学習用の設定です。実際の価格や学校の決まりは、それぞれの条件を確認してください。