大石浩之の数学ノート · 相似・円・三平方

この記事の単元:相似(⑦相似・円・三平方)

A4をA3に拡大、141%なのに面積2倍?

· 8分で読める · 中学生向け

コピー機の横の机に、同じ花の絵を描いた小さな原稿と大きなコピーを並べ、拡大する場面を表したイラスト。長さや面積の正確な比を測る図ではない
A4の原稿を大きく掲示する場面を描いた生成画像。紙の寸法・倍率は本文の図で確認します。

A3はA4の2枚分なのに、拡大コピーはなぜ141%なの?

141%は、縦や横の長さを1.41倍にする指定です。面積は縦×横なので、1.41×1.41=1.9881倍となり、約2倍になります。形を保って面積をちょうど2倍にする長さの倍率は√2倍、約141.4%です。200%なら縦横が2倍になり、面積は4倍です。

1. A3の紙1枚に、A4は2枚入る

A4からA3への拡大で出てくる「141%」は、縦や横の長さの倍率です。一方、A3の面積はA4の2倍です。長さと面積という別の量を比べているので、141%と200%が同じ場面に出てきます。まずは計算する前に、紙を並べる様子を思い浮かべてみよう。

文化祭の案内をA4で作り、少し大きく掲示する場面を考えます。これは学習用の設定です。A4の紙を2枚、横長に向けて上下につなぐと、全体はA3の大きさになります。2枚を並べたのだから、紙が覆う広さは2倍です。では、絵や文字の高さも2倍になるのでしょうか。

キヤノンのTM-205公式マニュアル「用紙のサイズ」には、A4は210mm×297mm、A3は297mm×420mmと載っています。2026年10月7日に確認しました。以下では、この公称寸法を使います。実物の紙を測った細かなばらつきは扱いません。

幅297mm、高さ420mmのA3を上下に二等分すると、幅297mm、高さ210mmの横向きA4が2枚になる。分割前後で同じ長方形を覆い、面積が2枚分であることを示す図
A3を横に半分に分けた図。寸法の比に合わせて描き、画面上では縮小しています。

面積も計算で確かめます。A4は210×297=62,370mm²、A3は297×420=124,740mm²です。124,740÷62,370=2なので、この寸法での面積比は1:2になります。mm²は、1辺1mmの正方形がいくつ分かを表す単位です。

紙を2枚並べる操作と、紙に描いた絵を拡大する操作は分けて考えます。並べた図は面積を調べる道具です。元の絵を切って2か所へ置くことが、コピー機の拡大そのものではありません。この区別が、次の「辺は何倍か」を考える入口になります。

2. 長い辺どうし、短い辺どうしを比べる

A4の図柄を縦横の形を保ってA3へ拡大するときは、短い辺210mmを297mmへ、長い辺297mmを420mmへ対応させます。A4にもA3にも297mmがあるからといって、その2本を対応させると、短い辺と長い辺を取り違えます。

短い辺の倍率は297÷210=99/70、約1.4143倍です。長い辺の倍率は420÷297=140/99、約1.4141倍。どちらもおよそ1.414倍になります。倍率は「後の長さ÷前の長さ」なので、mmどうしが割り算で消え、単位のない数になります。

%は、1を100として表す書き方です。約1.414倍を%に直すと約141.4%。141%なら141÷100=1.41倍です。たとえば、原稿に引いた10cmの線を141%で拡大した理想的な画像では、線は10×1.41=14.1cmになります。20cmにはなりません。

キヤノンのTR9530 series公式マニュアル「拡大/縮小してコピーする」には、定型変倍の選択肢としてA4→A3の141%が載っています。これは実際の操作表示の例です。すべての機種で表示の桁数や設定方法が同じとは限りません。使う機器の案内を確かめます。

形を保つ拡大では、対応する辺が同じ倍率になり、対応する角の大きさは変わりません。この関係が相似です。辺の対応を先に見つける練習は、相似の「同じ形を見つける」に戻れます。紙の向きを回しても、短い辺と長い辺の役割は変わらないよ。

3. 縦も横も2倍なら、面積は4倍

縦横を同じ倍率で拡大すると、面積には倍率を2回掛けます。長方形の面積が「縦×横」だからです。縦だけに倍率を掛けて計算を終えると、横も伸びた分が抜け落ちます。

まず、1辺10cmの正方形を考えよう。面積は10×10=100cm²です。200%、つまり縦横とも2倍にすると、1辺は20cm。面積は20×20=400cm²になります。元の正方形が縦に2個、横に2個入り、全部で4個分です。

上に1辺10cmで面積100平方cmの正方形。下に縦横を200%にした1辺20cmの正方形を示し、10cm四方の正方形4個に区切っている。長さ2倍と面積4倍を見分ける図
同じ縮尺の正方形。200%は縦横の倍率で、面積は400%になります。

141%の場合も同じ順で計算できます。1辺14.1cmなら、面積は14.1×14.1=198.81cm²。元の100cm²で割ると1.9881倍です。つまり面積は198.81%で、ほぼ200%になります。「141%を2倍する」のではなく、1.41×1.41と掛け合わせます。

一般に、元の縦をa、横をb、長さの倍率をkとすると、拡大後の面積は(ka)×(kb)=k²abです。元の面積abのk²倍になります。この式ではa、b、kは正の数です。正方形だけの偶然ではなく、縦と横へ同じ倍率を掛けたことが理由です。

相似な図形の面積比は、相似比の2乗になります。長方形から他の図形へ考え方を広げる学習は、面積比・体積比の章で確認できます。この記事は紙の広さを扱うので、厚さを含む体積の倍率とは分けて読みます。

高さも含む空間の量を自分で測るなら、箱の体積の求め方を60サイズから考える記事で、内寸の掛け算と配送の3辺合計を比べられます。

4. 面積をちょうど2倍にする長さは√2倍

形を保ったまま面積をちょうど2倍にしたいなら、長さの倍率kはk²=2を満たします。長さの倍率は正なので、k=√2です。√2は「2乗すると2になる正の数」で、約1.41421356です。%にすると約141.421356%になります。

中学3年の平方根をまだ学んでいなくても、1.4×1.4=1.96、1.5×1.5=2.25を比べられます。面積2倍を作る長さの倍率は、1.4と1.5の間です。その数を正確に表すために√2という記号を使います。面積から辺へ戻る考え方は、平方根の意味につながります。

ここで2種類の近似を分けておこう。1つは、コピー機の表示や設定に使う141%という数です。1.41を2乗した1.9881は、2と等しくありません。だから「141%で面積がちょうど2倍」とは書けません。「およそ2倍」です。

もう1つは、mm単位で示した紙の寸法です。210mm×297mmと297mm×420mmでは、先ほどの縦横の倍率がわずかに違います。この公称寸法の長方形を厳密に計算すると、完全な相似ではありません。面積比が正確に2でも、辺の比まで両方ぴったり√2になるわけではないのです。

141%を寸法に掛けると、210×1.41=296.1mm、297×1.41=418.77mmです。A3の公称寸法より、それぞれ0.9mmと1.23mm小さくなります。これは理想的な等方拡大の計算値であり、機械の印刷位置や余白を測った結果ではありません。

5. コピーの画面では、倍率と余白を別々に見る

実際にA4原稿をA3へコピーする場面では、画像の拡大率に加え、用紙の向きや印刷できる範囲を確認します。用紙全体の面積と、インクが載る範囲は同じとは限りません。端まで描いた枠が欠けるかどうかは、面積比だけでは判断できません。

TR9530 seriesの案内では、自動変倍は用紙に収まるように原稿を拡大・縮小する機能です。定型変倍とは選び方が違います。同じ「A3へ印刷」でも、自動で合わせる設定と倍率を指定する設定を混ぜず、プレビューと機器の説明を見てください。

図を縦だけ2倍、横はそのままにすれば、面積は2倍になります。しかし元の図と同じ形にはなりません。正方形が細長い長方形になり、円は縦長の楕円になります。相似の面積比を使う前に、縦と横が同じ倍率かを確かめる必要があります。

私は大石浩之(磐田市/不動産業)です。私は、%だけで判断せず、10cmの線なら何cmになるかへ戻して考えたい。数字は、何の大きさを表すかまで読んで使う。面積なのか辺の長さなのかを言葉にすると、設定の意味を自分で確かめられるからです。これは私の考えです。

説明に√2を最初から出すか、私は迷います。記号を先に置くと、コピー機の身近な疑問が遠くなるかもしれません。まず紙2枚で広さを確かめ、次に辺を測り、最後に√2へ進む順にしました。縮尺の見方をもっと小さな模型で確かめるなら、月までの距離を縮尺で表す記事も読めます。

6. 今日、紙と定規で「2倍」を言い分ける

拡大率と面積比は、コピー機を使わなくても紙と定規で確かめられます。A4が2枚あれば、横長にして上下へ並べます。短い辺2本の合計が420mmになり、A3の長い辺に当たることを確認しよう。紙を切る必要はありません。

  1. 紙に1辺5cmの正方形を描き、面積を求める。
  2. 長さ150%の拡大なら、1辺を何cmにするか予想する。
  3. 1辺7.5cmの正方形を描き、面積を計算する。
  4. 元の面積で割り、「長さは何倍、面積は何倍」と別々に書く。

確かめの計算は、5×5=25cm²、5×1.5=7.5cm、7.5×7.5=56.25cm²です。56.25÷25=2.25なので、長さは1.5倍、面積は2.25倍になります。答えを先に見た場合も、図の縦横へそれぞれ1.5を書き込んで、2回掛ける理由を説明してみよう。

身近な図から量の関係を考える練習は、相似を身のまわりで使う章へ続きます。今日の問いへの答えは、「141%は長さ、約200%は面積」。同じ「大きくする」でも、何を測るかが決まると、計算の意味が見えてきます。

地図の長さを歩く距離へ直すなら、磐田のウォーキングマップで寄り道の増加分を求める記事で、縮尺と相似比を使えます。

面積から辺へ逆向きに考えるなら、面積2㎡の正方形で平方根の意味を考える記事で、√2が表す長さを図から確かめられます。

円の広さでも同じ見方を試すなら、ピザのMとLを直径と面積で比べる記事で、公表寸法から面積の比を確かめられます。

よくある疑問

A4を200%で拡大すると、A3になりますか?

縦横を200%にすると、それぞれの辺が2倍になり、面積は4倍です。A4の公称寸法210mm×297mmを2倍にすると420mm×594mmで、A2の公称寸法に当たります。A3はA4の面積2倍なので、形を保つ長さの倍率は約141.4%です。用紙の向きや印刷範囲も確認します。

141%と141.4%は、どちらが正しいですか?

面積をちょうど2倍にする理想的な長さの倍率は√2倍、約141.421356%です。141%も141.4%も近似値で、コピー機の表示や設定可能な桁数によって使い分けます。公称寸法がmmで示される紙では縦横の比もわずかに違います。実際の操作は機器の説明に従ってください。

面積だけ2倍なら、縦だけ2倍でもよいですか?

長方形を縦だけ2倍、横をそのままにすると面積は2倍です。ただし縦横の比が変わり、元の図とは相似になりません。絵や図形の形を保ちたいなら、縦と横を同じ倍率で拡大します。「広さだけを変えたい」のか「形を保ちたい」のか、目的を言葉にしてから倍率を選びます。

参考にした一次資料

資料確認日:2026-10-07。例題の金額・人数・場面は学習用の設定です。実際の価格や学校の決まりは、それぞれの条件を確認してください。