大石浩之の数学ノート · 数

この記事の単元:正負の数(①数)

小遣い帳の収支計算、−200円を数直線で確認

· 7分で読める · 中学生向け

小遣い帳をつける場面を描いたイラスト。開いた罫線ノートと青い鉛筆、硬貨の入った財布、貯金瓶、2枚のレシートが黄色い机に並ぶ。
記事内容をもとに生成したイメージ。実在の小遣い帳や取引記録ではありません。

Q. 小遣い帳の収支が−200円。財布に300円あるのは間違い?

小遣い帳の収支は、同じ期間の収入から支出を引いた増減です。架空例の収入1000円・支出1200円なら−200円。収支0から右へ1000円、左へ1200円と動く数直線で確かめられます。月初の残高が500円なら月末は300円で、収支と残高は別の数です。

小遣い帳を足してみたら、今月の収支が−200円。ところが財布には300円ある。「計算が合わない」と思ったら、今あるお金と、今月増えたり減ったりしたお金を分けてみよう。実は、この2つの数字は同時に成り立つ。

私、大石浩之(磐田市/不動産業)は、小遣い帳を自分で選ぶための道具にしてほしいと考えています。計算が速いかどうかより、数字が何を表しているかを説明できること。そのために正負の数を使います。

1. 小遣い帳の収支計算は、期間をそろえる

小遣い帳の収支は、決めた期間に入ったお金から、出たお金を引いた増減です。収入と支出が同額なら収支0円。増加を正、減少を負として表します。ここでの0は、財布が空という意味ではありません。

徳島県「消費生活の超きほん」は、10月17日を「貯蓄の日」と紹介しています。2026年10月4日に確認しました。記念日をきっかけに、何円貯めるかの前に、お金の動きを記録してみよう。

以下は計算用の架空例です。2026年10月の1か月分として、収入1000円、支出1200円だったと仮定します。10月4日現在の実績でも、中学生の平均額でもありません。支出の内訳は文房具400円、本800円とします。

架空の10月分。収入・支出欄には金額の大きさを書く
内容収入支出
小遣い1000円0円
文房具0円400円
本0円800円
合計1000円1200円

支出欄の1200円は、出ていった金額の大きさです。支出だからと、この欄にも負号を付ける必要はありません。一方、増減を1本の欄にまとめる方式なら、収入を+1000円、支出を−400円、−800円と書けます。

2列方式なら「収入の合計から支出の合計を引く」。符号付きの1列方式なら「増減を全部足す」。書き方が違うだけで、同じお金の動きです。支出を負の数で記録したうえで、もう一度支出として引かないようにします。

月初から月末までを調べたいのに、収入だけ1か月分、支出は1週間分では比較できません。まず小遣い帳の上に期間を書きます。0と基準を考える章では、何を基準に数字を読むかを確かめられます。

2. 収支0から動いて、−200円を確かめる

収支の数直線では、0を「期間内の収入と支出がつり合った状態」に置きます。右向きがお金の増加を表す正の向きです。図の1目盛りは200円。点はその時点までの累計収支、矢印は収入や支出による変化を表します。

まだ記録を加えていない累計収支0円から始めよう。収入1000円で右へ5目盛り進む。次に支出1200円で左へ6目盛り戻る。出発点の0を越えるだろうか。図を見る前に、指で行き先を予想してみよう。

収支0を基準にした数直線。右向きが増加、1目盛り200円。0から収入1000円で右へ5目盛り、+1000円から支出1200円で左へ6目盛り進み、累計収支−200円に着く
収支の図。支出は合計して1本の矢印にしています。財布の残高の図ではありません。

1000円の位置から左へ1000円分戻ると0円。支出はまだ200円分残っているので、さらに左へ1目盛り進む。到着点は−200円です。減った分が増えた分を200円上回ることが、負号の意味です。

収支:1000−1200=−200(円)
増減の合計:1000+(−1200)=−200(円)

1000−1200の「−」は引く操作、答えの−200の「−」は負の数を表す符号です。後の式では、減少を表す−1200を足しています。括弧は、その数全体を1つの増減として読むために付けています。

図を言葉に戻すなら「1000円入ったが1200円出たので、差し引き200円減った」。単に「答えは200」とすると、増えたのか減ったのかが抜けます。数直線を歩く章で、出発点・向き・動く量を分ける見方も試せます。

3. 収支が−200円でも、残高は300円になる

残高は、ある時点で残っているお金です。収支は、ある期間に増減したお金です。架空例に「10月の初めに500円持っていた」という条件を足すと、月末の残高は300円になります。

残高の数直線で月初500円から月末300円へ200円減る様子。下のカードで、期間の収支−200円と月末時点の残高300円を区別している。残高の0円は手元のお金がない状態
残高の図では、出発点は500円。収支−200円は変化、300円は到着した残高です。

月末の残高:500+(−200)=300(円)
取引を順に反映:500+1000−1200=300(円)

収支の図は0から始めましたが、残高の図は月初の500円から始めます。残高の数直線でも右を増加の向きにします。ただし、残高0円は手元のお金がない状態。2本の図は、何を数えているかが違うのです。

月末から月初を引く方法でも確かめられます。300−500=−200(円)。記録した収支と一致しました。さらに、支出1200円と月末残高300円を足すと1500円。月初500円と収入1000円の合計1500円にも一致します。

「収支が負なら借金」とは言えません。今回の例は、前から持っていた500円のうち200円を使っただけで、借り入れはありません。収支の符号だけでは、残高も借金の有無も決まりません。

負の数を足して残高が減るところは、負の数を足す章につながります。基準によって数字の意味が変わる点は、平年差と前日差を比べる記事でも扱っています。何との差かを添える習慣は、お金にも気温にも使えます。

4. 小遣い帳で分かること、まだ分からないこと

小遣い帳は、お金の出入りを見直す材料になります。金融庁「アクセスFSA第53号」は、2007年3月26日に改訂・公表した副教材を紹介しています。中学生向けの第1章は、おこづかい帳を記入し、お金の流れを調べる内容から始まります。

2026年10月4日に確認したこの資料は、2007年の教材紹介です。2026年の学校で全員が使っている、という意味ではありません。公的な教材紹介にも、小遣い帳からお金の流れを見る入口があると分かります。

私は、記録すれば「何に使ったか」を自分の言葉で説明できる点がよいと思います。ただ、収支のプラスだけを目標にすると、必要な本を買った月まで失敗に見えてしまう。節約の掛け声より、使った内訳と次に必要なお金を見える形にしたい。小遣い帳は、自分を責める採点表にしない。

私にも、文房具400円や本800円がその人に必要だったかは、金額だけでは判断できません。来月に使う予定があったのか、長く欲しかった本なのかで考え方は変わります。計算は−200円と決まっても、買い方の評価まで自動では決まらない。その余地は残したいと思っています。

記録の範囲にも注意が要ります。財布と貯金箱を合わせて管理するなら、財布から貯金箱へ移したお金は内部の移動です。全体の収入にも支出にも数えません。財布だけを管理するなら出金として記録できますが、「買い物」と区別して移動先を残します。

今回の模型は、現金だけを扱い、借り入れ・立て替え・返金・電子マネーへの移動を含めていません。そうした動きがある小遣い帳では、何を収入・支出に含めるかを先に決めます。合計が一致しても、途中で払えるとは限りません。月初500円で収入より先に1200円の買い物はできないので、実際には日付順の残高も確かめます。

5. 今日の確認は、残高と収支を別々に書く

自分の小遣い帳を確かめるなら、まず記録する期間とお金の範囲を1行で書こう。2026年10月4日に始めるなら、「10月4日から17日まで、財布と貯金箱の現金」と決めてもよい。月初の残高が不明なら、分かる日から始められます。

  1. 開始時点の現金を数え、開始残高として記録する。
  2. 期間内の出入りに日付・内容・金額を付ける。
  3. 収入合計から支出合計を引き、収支を求める。
  4. 開始残高に収支を足し、実際の残高と比べる。

合わないときは、数字を合わせるための架空の支出を足さない。記入漏れ、同じ支出の二重記入、財布から貯金箱への移動を順に調べます。記録を訂正したら理由も一言残すと、次の確認に使えます。

買い物前の予定を立てるなら、文化祭の予算から作れる個数を考える記事も参考になります。予定の支出と、実際に払った支出は欄を分けよう。まだ買っていない物まで実績へ混ぜると、現金との照合ができなくなります。

最後に架空例をもう一度読む。「今月は200円減った。月末には300円残った」。この2文を分けて言えれば、−200円を自分で確かめられています。正負の数は、手元にない硬貨を想像するためではなく、お金の変化を向きまで含めて表すためにも使えるのです。

本記事の金額はすべて学習用の架空例です。出典の掲載内容は変わることがあります。金融商品の選び方や個別の契約判断は扱っていません。そうした判断が必要な場合は、保護者とともに金融機関などの専門窓口へ確認してください。

よくある疑問

小遣い帳の収支はどう計算する?

同じ期間の収入合計から支出合計を引きます。架空例で収入1000円、支出1200円なら、1000−1200=−200円です。収入と支出を別の欄に正の金額で書く方式と、増減を符号付きで1列に書いて足す方式を混ぜないようにします。収支の0円は増減がない状態で、財布が空という意味ではありません。

収支がマイナスなら借金していることになる?

収支が負というだけでは、借金の有無は分かりません。架空例では月初残高500円、収入1000円、支出1200円なら、収支は−200円で月末残高は300円です。前から持っていたお金を200円使っており、借り入れはありません。収支は期間の増減、残高はある時点で残っているお金として別々に確認します。

財布から貯金箱へ移したお金は支出に入れる?

財布と貯金箱を合わせて管理するなら、両者の間の移動は全体の収入・支出に含めません。財布だけを管理するなら財布からの出金として記録できますが、買い物と区別し、移動先を残します。どこまでのお金を数える小遣い帳なのかを先に決め、記録と実際の残高を同じ範囲で照合してください。

参考にした一次資料

資料確認日:2026-10-04。例題の金額・人数・場面は学習用の設定です。実際の価格や学校の決まりは、それぞれの条件を確認してください。