保護者・先生の方へ
この単元は、中学3年の「関数 y=ax²」を扱います。お子さんや生徒さんと一緒に使っていただくときの考え方と、つまずきやすい所、声のかけ方をまとめました。
設計の考え方
「おく」から始まる7つの段階
どの解説・問題も、「図 → おく → 入れる → 求める → 式にする → 使う → 確かめる」の7つの段階で進みます。中1の比例(y=ax とおく)、中2の1次関数(y=ax+b とおく)と同じ順番で、この単元では「y=ax² とおく」が出発点です。a は「まだわからない数」で、わかっている1組の x・y を代入すると決まります。
段階をそろえているのは、場面が変わっても同じ考え方で進められるようにするためと、つまずいた所を「どの段階か」で言えるようにするためです。問題集の段階3〜7の式は、データから計算して作り、生成のときにすべて検算しています。
表・式・グラフを行き来する
関数 y=ax² は、表では「x が2倍・3倍になると y が4倍・9倍」「y÷x² が一定」、式では y=ax²、グラフでは原点を頂点とする放物線として現れます。解説では、1つの場面を3つの見方で行き来するようにしています。動く図は1歩ずつ進み、答えが見える前に予想の問いが出ます。予想してから確かめる順番を大切にしています。
数学的に正しく、場面に正直に
落ちる距離は、空気の影響を考えないとき、およそ 4.9x² m です。この単元では扱いやすさのために「1秒でおよそ 5 m」(y=5x²)とし、答えには「およそ」をつけています。ブレーキの場面では「制動距離」(ブレーキがきき始めてから止まるまで)だけを扱い、実際の停止距離はそれより長いことを書いています。駐車料金のような階段状の関数は「中学校で学ぶ形の式では表せない」と書き、式で表す方法がないとは言っていません。
つまずきやすい所とその理由
- (-3)² と -3² の区別:y=2x² に x=-3 を入れて -18 とする誤りです。中1の累乗の書き方があいまいなまま残っていると起こります。かっこをつけて代入する習慣が大切です。
- 比例との混同:「1秒で 5 m なら4秒で 20 m」と考える誤りです。中1・中2で比例や1次関数に慣れているほど起こりやすく、「x が2倍のとき y は何倍?」と表で確かめると気づけます。
- a を y÷x で求める:比例の a=y÷x の習慣から、a=y÷x² とすべき所をまちがえます。求めた a で、はじめの組に戻して確かめる習慣が効きます。
- x が2つ出るとき:x²=9 から x=3 だけを答えたり、時間の場面で x=-3 も答えたりします。「式の答え」と「問題の答え」を分けて考え、選んだ理由を書くようにしています。
- 変域の 0:x の変域に 0 をふくむのに、両はしの y だけで y の変域を決めてしまいます。1次関数では両はしで決まったためです。だいたいのグラフをかく習慣で防げます。
- 変化の割合を a とする:1次関数の「変化の割合=a」をそのまま使ってしまいます。y=ax² では x の範囲によって変わることを、表とグラフで確かめています。
- グラフを折れ線や V 字にかく:点を直線で結んでしまいます。x=0.5 などの点をとると、なめらかな曲線になることがわかります。
家庭での声かけ
答えを教えるより、次のような質問をしていただくと、お子さんが自分で気づくきっかけになります。
- 「x が2倍になると、y は何倍になっている?」
- 「a はどうやって決めたの? はじめの組に戻すと合っている?」
- 「その x は、場面の中では何を表しているの? 負の数でもいい?」
- 「グラフをかくと、いちばん下(上)はどこになる?」
- 「その変化の割合は、x がどこからどこまでのとき?」
答えがちがっていても、まず「どう考えたのか」を聞いてみてください。解説の「どう考えた?」の欄に書いた文は、その端末の中にだけ残ります。書いた文を一緒に読むのも、よい対話のきっかけになります。
授業での使い方
- 導入:解説1の動く図を映し、「2秒で何 m 落ちる?」の予想をたずねてから動かすと、比例との違いが印象に残ります。
- 7つの段階の板書:解説2(7つの段階)の順番をそのまま板書の型として使えます。問題集の同じ例題(y=ax² の場面 001)で、生徒が自分で段階を開きながら確かめられます。
- 変域・変化の割合:解説4・5の図は、点が動く様子や増加量の三角形を1歩ずつ見せるので、グラフを使って説明する場面で使えます。
- 個別の復習:つまずき診断(10問)で、どの段階から確かめるかがわかります。よくある間違い は、なぜそう書きたくなるのかと、どう確かめれば気づけるのかを並べています。
- 記録:取り組んだ記録は各端末の中だけに残り、点数や順位は出しません。
学習指導要領との対応
中学校学習指導要領(平成29年告示)第3学年 C 関数 (1) の各事項と、解説・問題の対応は 学習指導要領との対応 にまとめています。概要は次のとおりです。
- ア(ア)「関数y=ax²について理解すること。」:解説1〜5
- ア(イ)「事象の中には関数y=ax²として捉えられるものがあることを知ること。」:解説1・6
- ア(ウ)「いろいろな事象の中に,関数関係があることを理解すること。」:解説7、問題「a とグラフの形・いろいろな関数」の料金表の問題
- イ(ア)「関数y=ax²として捉えられる二つの数量について,変化や対応の特徴を見いだし,表,式,グラフを相互に関連付けて考察し表現すること。」:解説3・4・5(放物線と直線は解説6、ほかの関数とのくらべ方は解説7でも扱います)
- イ(イ)「関数y=ax²を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること。」:解説2・6
第3学年には関数の〔用語・記号〕の項目はありません。「放物線」「軸」「頂点」は、教科書で広く使われる語として扱っています。