保護者・先生の方へ
この単元は、中学2年の「1次関数」を、子どもが自分の頭で「関係を y=ax+b とおき、a と b を決める」ところから考えられるように作っています。ここでは、単元の設計の考え方、つまずきやすいところ、ご家庭や授業での使い方をまとめます。
1. 設計の考え方
「おく」から始める7つの段階
1次関数の問題は、どれも同じ7つの段階で解きます。
- 図:わかっている数と、求める「?」を表や図にする
- おく:x と y が何の量かを1文で書き、y=ax+b とおく
- 入れる:わかっている x・y の組(や、傾き・切片)を代入する
- 求める:a と b を求める
- 式にする:a と b を戻して、関係を式にする
- 使う:式に x(や y)を入れて、聞かれた数を求める
- 確かめる:使わなかった組や場面に戻して確かめ、問いに答える
中1の比例では、わからない数は比例定数 a の1つでした。1次関数では a と b の2つになり、決めるための条件も2つ要ります。「傾きと1点」「2点」「切片と1点」といった求め方を、別々の型として覚えるのではなく、「2つのわからない数を、2つの条件で決める」という1つの考え方の中に位置づけています。2点から求める方法は、変化の割合を使う方法と連立方程式を使う方法の両方を示し、連立方程式で2式をひくと変化の割合の計算になることにも触れています。
表・式・グラフを行き来する
a は、式では x の係数、表では変化の割合(どこで調べても一定)、グラフでは傾き(右へ 1 進んだときに上下に進む量)として現れます。b は、式では数の項、表では x=0 のときの y、グラフでは切片(y 軸との交点)です。どこから入っても a と b にたどりつけることが、1次関数の理解の中心になります。
予想してから、動かして確かめる
解説は「問い → 予想 → 動く図 → 発見 → 名前・式」の順に進みます。答えが画面に出る前に予想の問いを出し、図を最後まで動かしてから説明が出てくるようにしています。「変化の割合」「傾き」「切片」などの名前は、体験のあとに与えます。
2. つまずきやすいところと、その理由
- 傾きと切片の取りちがえ:y=3x+2 の傾きを 2 と答えてしまう。「数の順番」で覚えていると起きます。「x とくっついている数が a」「x=0 のときの y が b」と、意味で確かめると防げます。
- 増加量のひき算の順番:「あと-まえ」を逆にして、変化の割合の符号をまちがえる。x がへる場合や、負の数が入る場合に起きやすいです。
- 比例と思いこむ:はじめの量がある場面で y=ax とおいてしまう。「x=0 のとき y は 0 か」を確かめる習慣が助けになります。
- x と y の代入の取りちがえ:点 (2, 7) を 2=7a+b と入れてしまう。座標は (x, y) の順であることを、代入の前に言葉にするとよいです。
- x=h を1次関数と考える:x=2 のグラフは y 軸に平行な直線で、1つの x に y がいくつも対応するため、y は x の関数ではありません。単元では、ここを正確に扱っています。
- 変域の外で式を使う:燃えつきたろうそくの長さを負の数で答えてしまう。場面の式は変域の中でだけ成り立つことを、どの場面でも確かめています。
3. ご家庭での声かけ
答えを教えるかわりに、次のような質問で支えてみてください。答えを知らなくても使える問いかけです。
- 「x と y は、それぞれ何の量?」
- 「はじめ(x=0 のとき)は、いくつ?」
- 「1 増えるごとに、いくつ増える(へる)?」
- 「それは、どうして y=ax+b とおけるの?」
- 「求めた式に、問題の数を入れると合う?」
- 「グラフにすると、右上がり? 右下がり?」
まちがえたときは、よくある間違いの「どう確かめる?」を一緒に読むと、子ども自身が気づくきっかけになります。
4. 授業での使い方
- 導入:入口の問い「水そうに 5 L、毎分 3 L 入れると、何分後に 80 L?」を、まず表で考えさせ、式にするよさを話し合う材料にできます。
- 動く図と予想:解説の図は、1歩ずつ進めて予想の問いを出せるので、電子黒板で全体に示しながら、予想を出し合う場面に使えます。
- 求め方の比較:2点から式を求める2つの方法(変化の割合・連立方程式)を比べ、「なぜ同じ答えになるのか」を説明させる活動に向いています。
- 活用:料金プランの比較や、時間と道のりのグラフは、グラフの交点の意味を考える話し合いの題材になります。
- 診断:つまずき診断(11問)は、単元の前後に使うと、前の学習(正負の数、式の変形、連立方程式、比例)のどこに戻ればよいかがわかります。式の変形は、2元1次方程式を y について解く1問で確かめます。
5. 学習指導要領との対応
この単元は、中学校学習指導要領(平成29年告示)第2学年「C 関数」(1) の、ア(ア) 一次関数について理解すること、ア(イ) 事象の中には一次関数として捉えられるものがあることを知ること、ア(ウ) 二元一次方程式を関数を表す式とみること、イ(ア) 表・式・グラフを相互に関連付けて考察し表現すること、イ(イ) 一次関数を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること、を扱います。〔用語・記号〕の「変化の割合」「傾き」は解説3・4で、教科書で広く使われる「切片」は傾きと合わせて解説4で扱っています。事項ごとの対応は学習指導要領との対応をご覧ください。